安全データシート
ジアゾメタン
作成日2003年05月06日
改定日2006年05月29日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: ジアゾメタン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: メチル化剤、農薬原料、医薬原料

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 区分1
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 区分外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 分類対象外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 分類できない
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類できない
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 区分1
皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 区分外
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) 区分1(呼吸器系)、区分2(脾臓、肝臓)
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) 分類できない
吸引性呼吸器有害性 分類対象外
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 炎 腐食性 感嘆符 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 極めて可燃性・引火性の高いガス
皮膚刺激
重篤な眼の損傷
吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
呼吸器系の障害、脾臓、肝臓の障害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
換気が十分でない場合には呼吸用保護具を着用すること。
保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
ガスを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣を作業場から出さないこと。
【応急措置】
漏洩ガス火災:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。安全に対処できるならば着火源を除去すること。
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
眼に入った場合、直ちに医師の診断、手当てを受けること。
呼吸に関する症状が出た場合には、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激又は発疹がおきた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
換気の良い場所で施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: ジアゾメタン(Diazomethane)
別名: アジメチレン(Azimethylene)
ジアジリン(Diazirine)
ジアゾニウムメチリド(Diazonium methylide)
化学式: CH2N2
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 334-88-3
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(安衛法)2-(11)-14
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 98%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぎ取り去ること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
医師の手当、診断を受けること。
脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 医師の手当、診断を受けること。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入: 頭痛、息苦しさ、息切れ、咽頭痛、嘔吐、倦怠感。
症状は遅れて現れることがある。
皮膚: 発赤、灼熱感、痛み、重度の凍傷。
眼: 発赤、痛み。
肺水腫の症状は2〜3時間経過するまで現れない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。
喘息の症状は2〜3時間経過するまで現れない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別注意事項: 安静と医学的な経過観察が不可欠。

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤
大火災:散水、噴霧水
使ってはならない消火剤: 情報なし。
特有の危険有害性: 極めて引火性・可燃性の高いガス
加熱により容器が爆発するおそれがある。
破裂したボンベが飛翔するおそれがある。
火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと
安全に対処できるならば着火源を除去すること
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火活動は、有効に行える十分な距離から行う。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
漏洩部や安全装置に直接水をかけてはいけない。凍るおそれがある。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め、適切な化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
関係者以外の立入りを禁止する。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 気体が消えるまで区域を隔離する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気装置・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気装置、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
内容物を故意に吸い込まないこと。
目や口に入ると刺激を受けることがあり、使用の際には十分気を付けること。
ガスの吸入を避けること。
眼に入れないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 専用の高圧ガス容器に保管する。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
着火源から離して保管すること。
直射日光を避け、換気の良い場所で保管すること。
酸化剤、酸素、爆発物、ハロゲン、圧縮空気、酸、塩基、食品化学品等から離して保管する。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 高圧ガス保安法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV−TWA 0.2ppm
設備対策: 防爆仕様の局所排気装置を設置する。
気中濃度を推奨された許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用しなければ取扱ってはならない。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸用保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具、保護衣等を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 黄色の気体 1) , 4)
臭い: カビ臭 3)
pH: データなし
融点・凝固点: -145℃ 1) , 3) , 4)
沸点、初留点及び沸騰範囲: -23℃ 1) , 3) , 4)
引火点: 引火性のガス 1)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 525202Pa(3940mmHg)(25℃) 3)
蒸気密度(空気 = 1): 1.4 1)  1.45 3)
比重(密度): 1.45 1) , 3)
溶解度: 水と反応する。 1)  15g/L (25℃) 水 3) , 9)
エーテル、ジオキサンに可溶。ベンゼンに易溶。
エタノール、エチルエーテルに微溶。 3)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 2.00(推定値) 2)
自然発火温度: 100℃(爆発) 1) , 2)
分解温度: データなし
臭いのしき(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  爆発。
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 衝撃、摩擦、振動を加えると、爆発的に分解することがある。
100℃に加熱、粗面との接触、希釈していない液体又は濃縮溶液中に不純物や固体が存在する場合、高強度の光の下で爆発することがある。
危険有害反応可能性: アルカリ金属、硝酸カルシウムと接触すると爆発を引き起こす。
酸や酸性ガスとの接触で分解し、非常に有毒なガス(Nox)を発生する。
避けるべき条件: 発火源(電気火花、裸火等)、熱、光、湿気、衝撃、摩擦、振動、混触危険物質との接触。
混触危険物質: アルカリ金属、硝酸カルシウム、酸、酸性ガス。
危険有害な分解生成物: 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物が生成される。

11.有害性情報
急性毒性: 吸入(ガス) ラットの吸入ばく露では濃度が不明であり、その他も試験時間がわずかであり分類に使う有効なデータがないので分類できないとした。(これらのばく露試験では短時間で死亡していること、また、ネコの吸入試験で10分間で175ppm(4時間換算値:35ppm)で死亡が確認されており、これは区分1の100ppmを下回っていること等から区分1と扱うことが望ましいと思われる。)
皮膚腐食性・刺激性: ヒトの皮膚で刺激性と皮膚磨剥(denudation)があると報告されている 9) ので区分2とした。
皮膚刺激。
眼に対する重篤な損傷/刺激性: ヒトに対してsevere inflammation(重篤な炎症)という症例があったので区分1とした 5)
重篤な眼の損傷。
呼吸器感作性又は皮膚感作性: ヒトで喘息発作を起こした 9) という症例により呼吸器感作性を区分1。モルモットで感作性が認められている 11) ので皮膚感作性を区分1とした。「日本職業・環境アレルギー学会特設委員会の中間報告」でもジアゾメタンは感作性化学物質としてあげられている。
吸入するとアレルギー,喘息または呼吸困難を起こすおそれ。
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ。
生殖細胞変異原性: in vitroの情報では変異原性を示しているが 5) 、in vivoのデータがないので分類できない。
発がん性: IARCの3という分類により区分外とした。
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性 ヒトで肺炎、肺水腫、呼吸困難、チアノーゼ、胸痛、喘息発作、発熱等の症例が見られる 9)、11)、20) ので区分1とした。また、ラットの試験において肺に無気肺、気管支の化膿・充血、気腫、気管支粘膜の形成異常など、また脾臓の充血・拡大、肝臓の皮質内側半分にネフローゼ変化および糸球体の充血がみられた 5)、20) 。これにより区分2(脾臓、肝臓)とした。
(単回ばく露):
  呼吸器系の障害
脾臓、肝臓の障害のおそれ
特定標的臓器・全身毒性 ヒトの症例では肺水腫、喘息、呼吸困難、チアノーゼ、振戦等の症状が出ており死に至ったもの、また10日後に回復したものがあり 5) 分類できないとした。これらの職業ばく露は急性毒性(単回ばく露)の症状が出た結果と思われる。
(反復ばく露):
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
燃焼法 アフターバーナ及びスクラバを備えた焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する。 
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1953
Proper Shipping Name: COMPRESSED GAS, TOXIC, FLAMMABLE, N.O.S.
Class: 2.3
Sub Risk: 2.1
Packing Group:
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 forbidden
国内規制
陸上規制情報 高圧ガス保安法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1953
品名: その他の圧縮ガス(毒性かつ引火性のもの)
クラス: 2.3
副次危険 2.1
容器等級:
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 輸送禁止
特別の安全対策 移動、転倒、衝撃、摩擦などを生じないように固定する。
火気、熱気、直射日光に触れさせない。
鋼材部分と直接接触しないようにする。
重量物を上乗せしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
危険物・可燃性のガス
(施行令別表第1第5号)
高圧ガス保安法 圧縮ガス
(法第2条1)、可燃性ガス(一般高圧ガス保安規則第2条1)
船舶安全法: 高圧ガス
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 輸送禁止

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (J) (1995)
2) Howard (1997)
3) HSDB(2005)
4) Merck (13th, 2001)
5) DFGOT vol.13(1999)
6) PM (13th, 2003)
7) SRC ( 2006)
8) 安全性DB (1994)
9) ACGIH(2001)
10) RTECS(2004)
11) PATTY(5th, 2001)
12) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
13) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 1992
14) 通産省公報「既存化学物質の安全性点検結果」
15) 発がん性物質の分類とその基準第6版 日本化学物質安全・情報センター(2004)
16) GHS分類結果(日化協G)
17) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
18) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
19) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
20) IARC7(1974)
災害事例
情報なし