安全データシート
酸化カルシウム
作成日2003年01月08日
改定日2006年05月23日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 酸化カルシウム
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 鉄鋼、カーバイド、紙・パルプ、サラシ粉、農薬、非鉄金属、肥料、化粧品原料、食品添加物(結着剤:食肉加工品、魚肉練製品)

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類できない
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分1C
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 区分外
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器系)、
区分2(全身毒性、消化器)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器系)
吸引性呼吸器有害性 区分1
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分外
水生環境慢性有害性 区分外
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 腐食性 健康有害性
注意喚起語: 危険 
危険有害性情報: 飲み込むと有害のおそれ(経口)
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
重篤な眼の損傷
呼吸器系の障害
全身毒性、消化器の障害のおそれ
長期又は反復ばく露による呼吸器系の障害
飲み込み、気道に侵入すると生命に危険のおそれ
注意書き: 【安全対策】
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
飲み込んだ場合、無理して吐かせないこと。
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
衣類にかかった場合、直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、取り除くこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:直ちに医師の診断、手当てを受けること。
眼に入った場合、直ちに医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
吸入した場合、直ちに医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 酸化カルシウム (Calcium Oxide)
別名: 生石灰 (Quick lime)
(Lime)
化学式: CaO
化学特性(化学式又は構造式):  
CAS番号: 1305-78-8
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(1)−189
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 99%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。
直ちに医師に連絡すること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 速やかに口をすすぎ、直ちに医師の手当、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入: 灼熱感、咳、息切れ、咽頭痛
皮膚: 皮膚の乾燥、発赤、皮膚熱傷、灼熱感、痛み
眼: 発赤、痛み、かすみ眼、重度の熱傷
経口摂取: 灼熱感、腹痛、胃痙攣、嘔吐、下痢
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別注意事項: 安静と医学的経過観察が不可欠。
眼の中で水分やたんぱく質と反応して生成した酸化カルシウムの塊は水洗浄で除去するのは困難。医師の手で除去が必要。

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、乾燥砂、耐アルコール性泡消火剤。
大火災:散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤。
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガス及びヒュームを発生するおそれがある。
不燃性であり、それ自身は燃えないが、加熱されると分解して腐食性又は毒性の煙霧を発生するおそれがある。
加熱あるいは水の混入により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
少量の場合は、乾燥砂等で被覆し、窒息消火する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め、適切な化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や粉じん、ミストの吸入を避ける。
風上に留まる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: こぼれた物質を乾燥容器内に掃き入れる。
封じ込め及び浄化方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
粉じんの発生、拡散を防ぐ。
二次災害の防止策: すべての発火源や可燃性物質を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
粉じんが発生しないように注意して取扱う。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼、皮膚に付けないこと。
眼に入れないこと。
粉じん、ミストを吸入しない。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 容器を密閉し、涼しい乾燥した場所に保管すること。
熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
混触危険物質から離して保管する。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 2mg/m3
設備対策: 気中濃度を推奨された許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
眼の保護具: 眼の保護具を着用すること。
(安全ゴーグル、顔面シールド等)
皮膚及び身体の保護具: 顔面用の保護具、保護衣、安全靴等の保護具を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 白色〜灰色結晶性粉末 1) , 2)
臭い: 無臭 8)
pH: データなし
融点・凝固点: 2570℃ 4)   2614℃ 6)   2572 ℃ 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 2850℃ 4) , 6)
引火点: 不燃性
爆発範囲: データなし
蒸気圧: データなし
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 3.3-3.4 4)   3.37 6)   3.32-3.35 1)
溶解度: 水と反応する。 4)   1g/840mL水。 8)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: 不燃性
分解温度: データなし
臭いのしき(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): 非該当
燃焼性(固体、ガス):  不燃性
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 空気中の水、炭酸ガスを吸収して水酸化カルシウムと炭酸カルシウムを生成する。
大量堆積の場合は、湿気により300℃位に上昇する。
危険有害反応性可能性: 水と反応して、可燃物を発火させるのに十分な熱を発生する。
酸、ハロゲン、金属と激しく反応する。
硫酸、五フッ化水素と接すると発火する。
塩酸と接すると発熱する。
避けるべき条件: 水、酸類、可燃物、金属類との接触。
混触危険物質: 酸類、ハロゲン類、金属類。
危険有害性のある分解生成物: なし。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 マウス LD50 3059mg/kg 3)
  飲み込むと有害のおそれ(区分5)
皮膚腐食性・刺激性: 皮膚に対して腐食性。 4)  湿った皮膚に対して強い刺激性。 10)
国連分類クラス8、III。
  重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷(区分1C)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 眼に対して腐食性 4) の記載と、皮膚腐食/刺激性のGHS分類が区分1Cであることより、区分1に分類した。
  重篤な眼の損傷
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし。
皮膚感作性:ヒトの試験で陰性 7) の記載により区分外とした。
生殖細胞変異原性: 酵母菌による有糸分裂組み換え試験で陰性、エームズ試験で陰性 7) in vivo のデータはない。分類できない。
発がん性: データなし
生殖毒性: ラットとマウスの1世代試験で影響なし 7) の記載があるが、データ不足のため分類できない。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
粉じん吸入は気道の炎症 10) 、肺炎 8) を起こすとの記載により区分1(呼吸器系)に、 誤飲すると脈が速く、弱くなり、呼吸が速く、浅くなり、体温が下がり、声門腫により呼吸をしにくくなりショック状態になる。食道、胃の穿孔も生じる 8) の記載もあるが、Priority2であるため区分2(全身毒性、消化器)に分類した。
  呼吸器系の障害
全身毒性、消化器の障害のおそれ
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
鼻中隔の潰瘍、穿孔の報告がある4) , 10)の記載により区分1(呼吸器系)に分類した。
  長期または反復ばく露による呼吸器系の障害
吸引性呼吸器有害性: ヒトで吸引性肺炎が報告されている。 8)
  飲み込み、気道に侵入すると生命に危険のおそれ(区分1)

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 魚類(コイ)の96時間LC50 =1070mg/L 7) から、区分外とした。
水生環境慢性有害性: 難水溶性でなく(水溶解度=1200mg/L 21) )、急性毒性が低いことから、区分外とした。

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
中和法 発熱のおそれがあるので大量の水中に少しずつ投じ、消石灰とし、これを希硫酸で中和して処理する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 1910
Proper Shipping Name: Calucium oxide
Class: 8
Sub Risk:
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 特段の規制はない。
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1910
品名: 酸化カルシウム
クラス: 8
副次危険
容器等級: III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第190号)
消防法: 貯蔵等の届出を要する物質(法第9条の3・危険物令第1条の10)
航空法: 腐食性物質
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) Merck (13th, 2001)
2) Sax (11th, 2004)
3) RTECS(2004)
4) ICSC (1997)
5) Weiss (2nd, 1985)
6) NFPA (13th, 2002)
7) IUCLID (2000)
8) HSDB (2005)
9) ホンメル (1991)
10) ACGIH (2001)
11) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会(1992)
12) 発がん性物質の分類とその基準第6版 日本化学物質安全・情報センター(2004)
14) GHS分類結果(日化協G)
15) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
16) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
17) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
18) 安全性DB (改訂増補版, 1997)
19) JETOC「化審法の既存化学物質安全性点検データ集」
20) 環境省「化学物質の生態影響試験事業」
21) HSDB(2004)
災害事例
(1) 港湾で紙袋に入った生石灰の荷役作業中、労働者2名が薬傷を負った。原因は紙袋の中に破れた紙袋も含まれており、生石灰と接触したため。
(2) 直径40cmの鉄パイプを10〜20m地下に打ち込み、この中に生石灰を空気で圧送し、地盤改良中、10〜24時間経過後膨張して表面に吹き出し、たまたま出口に積んであった木材が燃えだした。生石灰と水分が反応して発熱し木材が発火したものと思われる。
(3) 倉庫前に接岸中の艀船で荷の水切り作業中、取り扱っていた生石灰の袋が一部破れて皮膚に付着して皮膚炎を生じた。