安全データシート
カルシウムシアナミド
作成日2002年 3月12日
改定日2006年10月 8日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: カルシウムシアナミド
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急時の電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 肥料(単肥、配合肥料、化成肥料、速成堆肥用)、農薬(殺虫、殺菌、除草及び植物の病虫害予防用)
工業原料としてはメラミン、チオ尿素、ジシアンジアミド、グアニル尿素、グアニジンなどの有機合成原料

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分3
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 区分5
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 区分5
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 区分外
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分2(全身毒性)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
分類できない
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分2
水生環境慢性有害性 区分2
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 炎 腐食性 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 水に触れると可燃性・引火性ガスを発生
飲み込むと有害のおそれ(経口)
皮膚に接触すると有害のおそれ(経皮)
吸入すると有害のおそれ(粉じん)
皮膚刺激
重篤な眼の損傷
全身毒性の障害のおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
水生生物に毒性
長期的影響により水生生物に毒性
注意書き: 【安全対策】
適切な保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
湿気を遮断し、不活性ガス下で取り扱うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚に付着した場合、汚染された衣類を脱ぐこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを求めること。
ばく露した時、又は気分が悪い時は、医師に連絡すること。
漏出物は回収すること。
【保管】
乾燥した場所又は密閉容器に保管すること。
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: カルシウムシアナミド(Calcium cyanamide)
別名: 石灰窒素(Lime nitrogen)
(Nitrolime)
化学式: CaCN2
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 156-62-7
官報公示整理番号(化審法・安衛法): (化審法)(1)-121 (安衛法)1-(3)-47
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: カルシウムカーバイドを含有することがある。
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 短期ばく露による頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、皮膚炎。
長期ばく露による皮フ感作性。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、ソーダ灰、石灰、砂
大火災:乾燥砂、粉末消火剤、ソーダ灰、石灰
使ってはならない消火剤: 水、泡消火剤
特有の危険有害性: 熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。
消火後再び発火するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 少量の場合、漏洩物をせき止め、後で廃棄する。指示がなければ水をかけてはいけない。
粉末の漏れの場合、専門家の指示がないときは漏洩物を取り除いたり廃棄してはいけない。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
粉末の漏れの場合、こぼれた粉末はプラスチックシートで覆い飛散するのを防ぎ、乾燥させておく。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
漏洩物やその容器内に水をかけてはいけない。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 激しい反応と火災の発生の危機があるため、水と接触させないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 激しい反応と火災の発生の危機があるため、水とのいかなる接触の可能性を排除し保管すること。
乾燥した場所又は密閉容器に保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.5mg/m3 A4
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度を制御するには、一般適正換気で十分である。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
防毒マスクにはアンモニアガス用吸収缶を使用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 白色六方晶体 31)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 1340℃(融点) 31)
沸点、初留点及び沸騰範囲: データなし
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: データなし
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 2.29g/cm3 31)
溶解度: 不溶(水) 31)。 一部が加水分解しシアナミドが生成する 31)
不溶(有機溶媒)31)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 通常の取扱い条件においては安定である。
本物質自体は不燃性である。
危険有害反応可能性: 水分が存在すると加水分解してアンモニアを発生する。
不純物としてカルシウムカーバイドが存在するときには、水分と反応してアセチレンも発生し、これらは引火する危険性がある。
酸類と激しく反応する。
避けるべき条件: 空気、湿気、水霧、水蒸気、水との接触。
混触危険物質: 水、酸。
危険有害な分解生成物: アンモニア、アセチレン。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットを用いた経口投与試験の試料純度100%換算したLD50 値1958mg/kg(4300mg/kg/純度45.54%)及び403mg/kg(700mg/kg/純度45.54%)から 38) 、小さい値(403mg/kg)を採用し区分4とした。
飲み込むと有害のおそれ(経口)
経皮:2800mg/kg(100%純度換算値:1640mg/kg)までを投与したラット経皮急性毒性試験において、最高用量(純度換算値:1640mg/kg)では雄に死亡例が認められるが、雌では認められなかったことから 38)、LD50 値は区分4(1000-2000mg/kg)を超えた用量域にあると推察され、区分5とした。
皮膚に接触すると有害のおそれ(経皮)
吸入(ミスト):吸入に関し「LD50 は最大許容濃度、1m3 あたりカルシウムシアナミドの50%水溶液13g以上」の記述があり 38) 、 LC50 は >6.5mg/L(ミスト)となることから区分5とした。
吸入すると有害のおそれ(ミスト)
皮膚腐食性・刺激性: ヒト皮膚でのビマン性膨張発赤、掻痒感、ウサギ皮膚での硬結、潰瘍、痂皮の形成 38) 及びEU-AnnexでR38に分類されている 36) ことから、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: 石灰窒素の懸濁液のpHは11.5以上 38) 及びEU-Annex I でR41に分類されている 36) ことから、区分1とした。
重篤な眼の損傷
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし。
吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: マウス骨髄小核試験及び1000μg/plateまで実施したAmes試験の陰性から 38)、区分外とした。
発がん性: マウス及びラット発がん性試験における陰性から 38)、区分外とした。
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ラット経皮急性毒性試験において、中毒症状として自発運動量減少、横たわり、不整呼吸、振顫、体温低下、貧血、歩行失調、呼吸緩除が認められたが 38)、用量との関連が明確ではなく、本試験の無毒性量は、雄2000mg/kg(純度換算値1172mg/kg)、雌1000mg/kg(純度換算値586mg/kg)とされていること、加えて標的臓器を特定することは困難であることから、概ね区分2のガイダンス値における所見と考え、区分2(全身毒性)とした。また、ラット吸入急性毒性試験において、呼吸道の炎症、咽頭炎、気管炎が認められていることから、区分3(気道刺激性)とした。
全身毒性の障害のおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
マウス及びラット発がん性試験において本物質に起因する非腫瘍性病変は認められず、また、カルシウムシアナミドの職業上のばく露に関して、8mg CaCN2/m3の濃度までは急性、あるいは慢性疾患のいずれについてもカルシウムシアナミドによると考えられる根拠は何もなかった 38) )ことから、データ不足のため分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 =7.7mg/L 41) から、区分2とした。
水生生物に毒性
水生環境慢性有害性: 急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow = -0.2 55) )、急速分解性がないと推定される 54) ことから、区分2とした。
長期的影響により水生生物に毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規則
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1403
Proper Shipping Name: CALCIUM CYANAMIDE
Class: 4.3
Packing Group: III
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 1403
Proper Shipping Name: Calcium cyanamide
Class: 4.3
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1403
品名: カルシウムシアナミド
クラス: 4.3
容器等級: III
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1403
品名: カルシウムシアナミド
クラス: 4.3
等級: III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
船舶安全法: 可燃性物質類・水反応可燃性物質
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法: 可燃性物質類・水反応可燃性物質
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
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52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) Lide (2004)
55) ACGIH-TLV (2004)
災害事例
情報なし