製品安全データシート
アセトン
作成日2003年12月05日
改定日2005年12月21日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: アセトン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急連絡電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 工業用の溶剤、化学物質原料(ビスフェノールA,MMA,MIBK等)、化粧品類添加剤

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分2
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 区分外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 区分外
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分外
急性毒性(経皮) 区分外
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分外
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2B
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 区分外
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 区分外
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分3(麻酔作用、気道刺激)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分2(血液)
吸引性呼吸器有害性 区分2
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分外
水生環境慢性有害性 区分外
絵表示又はシンボル: 炎 感嘆符 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 引火性の高い液体及び蒸気
眼刺激
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
眠気又はめまいのおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
長期又は反復ばく露による血液の障害のおそれ
飲み込み、気道に侵入すると有害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙。
防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。静電気放電や火花による引火を防止すること。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
容器を密閉しておくこと。
【応急措置】
火災の場合には適切な消火方法をとること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
飲み込んだ場合:無理して吐かせないこと。
眼に入った場合:水で数分間、注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚(又は毛髪)に付着した場合:直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、取り除くこと。
ばく露又はその懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:直ちに医師の診断、手当てを受けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
容器を密閉して涼しく換気の良いところで施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: アセトン (Acetone)
別名: ジメチルホルムアルデヒド (Dimethylformaldehyde)
ジメチルケトン (Dimethyl ketone)
2‐プロパノン (2-Propanone)
化学式: C3H6O
化学特性
(化学式又は構造式):
化学式又は構造式
CAS番号: 67-64-1
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(2)-542
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
皮膚に付着した場合: 直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぎ取り去ること。
適温の緩やかな流水により、15分以上洗浄する。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを求めること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
目に入った場合: コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。洗浄を続けること。
水で数分間、注意深く洗うこと。
この製品が眼に入った場合、一刻も早く洗浄を始め、入った製品を完全に洗い流す必要がある。不十分であると不可逆的な眼の傷害を生ずるおそれがある。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
口をすすぐこと。
吐かせないこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 唾液分泌過多、顔面紅潮、咳、めまい、し眠、頭痛、咽頭痛、意識喪失、吐気、嘔吐。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別注意事項: 情報なし。

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤
大火災:散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
引火性の高い液体及び蒸気
特有の消火方法: 散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。
引火点が極めて低い:散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。
風上から消火する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
大量の場合、散水は、蒸気濃度を低下させる。しかし、密閉された場所では燃焼を抑えることが出来ないおそれがある。
封じ込め及び浄化方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
蒸気抑制泡は蒸発濃度を低下させるために用いる。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
蒸気発生の多い場合は、噴霧注水により蒸気発生を抑制する。
関係箇所に通報し応援を求める。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 製造業者が指定する防爆の電気、換気、照明機器及び防爆用工具のみを使用し、静電気放電に対する予防措置を講ずること。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。-禁煙。
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
静電気対策のために、装置、機器などの接地を確実に行う。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
液の漏洩や蒸気の発散を極力防止する。
安全取扱い注意事項: 眼への刺激性があるので眼に触れないようにする。
眠気又はめまい、呼吸器の刺激、器官の損傷のおそれがあるので、本製品に接触、吸入、飲み込みをしてはならない。
容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
接触回避 「10.安定性及び反応性」を参照。
高温物、スパーク、火気を避け、酸化性物質、有機過酸化物との接触を避ける。
保管
技術的対策: 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。
容器を密閉して換気の良いところで貯蔵すること。
保管条件 冷所、換気の良い場所で貯蔵すること。
酸化剤から離して保管する。
容器は直射日光や火気を避けること。
保管場所は、耐火構造、床は不浸透性のものとし、地下への浸透、外部への流出を防止する。
指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵してはならない。
施錠して貯蔵すること。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
容器包装材料: 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。
鋼、ステンレス鋼及びアルミニウムは容器として耐久性がある。 2)
種々なプラスチックを侵すので使用を避ける。
国連容器包装等級2

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 500ppm
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 200ppm 470mg/m3
ACGIH(2005年版) TLV-TWA 500ppm
STEL 750ppm
設備対策: 製造業者が指定するその他の防爆の電気、換気、照明機器を使用すること。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
「火気厳禁」、「関係者以外立入禁止」等の必要な標識を見やすい箇所に掲示すること。
安全管理のため状況に応じて、ガス検知器等を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具(防毒マスク(有機ガス用)、高濃度の場合、送気マスク空気呼吸器、)を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 保護長靴、耐油性(不浸透性・静電気防止対策用)前掛け、防護服(静電気防止対策用)等製造業者が指定する保護具を着用すること。
衛生対策: 保護具は保護具点検表により定期的に点検する。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色透明液体 1)
臭い: 特有の刺激臭
pH: データなし
融点・凝固点: -95℃ 1), -94℃ 2) (融点) ,-94.6℃ 4) (融点)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 56.5℃(沸点) 1)
引火点: -20℃(密閉式) 2)
爆発範囲: 下限 2.2vol%、上限 13vol% 2)
蒸気圧: 239.5hPa(239.5mber)(20℃) 2) , 245kPa(20℃) 5)
蒸気密度(空気 = 1): 2.0g/cm3  1)
比重(密度): 0.788(25/25℃) 2)
溶解度: 水に易溶, エタノール、エーテル、クロロホルムに可溶。 2)
オクタノール/水分配係数: log Pow = -0.24 5)
自然発火温度: 540℃ 1)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  該当しない
粘度: 0.32cP (粘性率)(20℃) 6)

10.安定性及び反応性
安定性: 日光や空気にさらされると過酸化物質を生成し爆発性となる。
アセトンの入っている容器は、-9℃〜15℃付近の温度で爆発性混合気を生成する。
危険有害反応可能性: 無水クロム酸、過塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、過酸化水素、硝酸、硝酸アンモニウムなど強酸化剤と激しく反応し、火災、爆発の危険性をもたらす。
塩酸の存在下、アセトンにクロロホルムを加えると高い発熱反応起こす。
避けるべき条件: フレーム及びスパーク発生装置から遠ざける。
混触危険物質: 酸化性物質
危険有害な分解生成物: 加熱分解により有害な蒸気、ガス(一酸化炭素、二酸化炭素)など。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 >5000mg/kg 3) ,4)
吸入 ラット LD50 32000ppm(75.8mg/L) 4)
経皮 ウサギ LD50 >5000mg/kg 3) ,4)
蒸気は、眼、気道を刺激し、中枢神経系、肝臓、腎臓、胃に影響を与え、意識喪失を起こすことがある。 10)
多量の吸入により眼、喉の刺激、不快感、頭痛、吐気、知覚麻痺、血圧低下、呼吸速度の上昇と不規則が報告されている。 11)
経口で200mLほど摂取したヒトの症状は30分後に昏睡状態、頬の紅潮が現れ、呼吸が浅くなり昏睡状態に陥ったが、治療により快復する。 11)
アルコ-ル飲料の使用により有害作用は増大する。 10)
皮膚腐食性・刺激性: ウサギの皮膚に対して刺激性なし。 4) ,7)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 蒸気はヒトの眼を刺激する。しかしばく露が止まると刺激性は続かない。 8)
ウサギではsevereという結果が報告されている。 3)
角膜上皮は破壊されるが、基質までは至らず、角膜上皮の破壊は4-6日で回復する。アセトンは腐食性の眼刺激性ではない。 4)
眼刺激(区分2B)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: Mouse ear swelling test 及びGuinea pig maximization test で陰性。 4) 呼吸器感作性はデータなし。
生殖細胞変異原性: in vitro 小核試験で陰性。 4)
発がん性: ACGIH グループA4(ヒト発がん性に分類できない物質) 3)
生殖毒性: 疫学調査で流産への影響なし。 8)
ラットの高濃度ばく露(11000ppm(20mg/L))でわずかな発生毒性(胎児体重減))が、マウスの高濃度ばく露(6600ppm(15.6mg/L))で胎児体重減、後期吸収発生率増が報告されている。7)
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い(区分2)
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトへの12000ppmのばく露で喉の刺激、200mLを飲み込んだ男性に昏睡(12時間後意識回復)、12000ppmばく露した労働者に頭痛、めまい、足の脱力、失神及びラットの吸入試験で中枢神経の抑制が認められている。 3)
麻酔作用を有する。
吸入すると上部呼吸器系を刺激する。
1190、2400mg/m3/6hのばく露で鼻、喉、気管の刺激、1000ppm/4hのばく露で喉の刺激が報告されている。 7)
呼吸器への刺激のおそれ(区分3)、眠気又はめまいのおそれ(区分3)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ボランティアによる試験で500ppm、6時間/日、6日のばく露群に白血球、好酸球の有意な増加及び好中球の貪食作用の有意な減少が観察されている。 3)
ラット、マウスの試験でもガイダンス上限値を大きく超えた投与量ではあるが、ヒトに見られたと同様な血液学的変化が認められた。 4)
長期又は反復ばく露による血液の障害のおそれ(区分2)。
吸引性呼吸器有害性: 動粘性率は計算値で0.426mm2/sec、化学性肺炎の動物データが無いが、C13以下のケトンであることにより区分2とした。
飲み込み、気道に侵入すると有害のおそれ(区分2)

12.環境影響情報 水生環境急性有害性 魚類、ファットヘッドミノー LC50 >100mg/L/96H 7)
  区分外とした。
水生環境慢性有害性 難水溶性でなく(水溶解度1.00×106mg/L25) )、急性毒性が低いことから、区分外とした。

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
焼却法 アセトンの廃油、高濃度排水、スラッジ等はそのまま又は易燃性溶剤と共に、少量ずつ焼却炉に噴射して焼却処理する。
活性汚泥処理法 低濃度排水は活性汚泥で処理する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1090
Proper Shipping Name: Acetone
Class: 3
Packing Group: II
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAOの規定に従う。
UN No.: 1090
Proper Shipping Name: Acetone
Class: 3
Packing Group: II
国内規制
陸上規制情報 消防法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1090
品名: アセトン
クラス: 3
容器等級: II
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1090
品名: アセトン
クラス: 3
等級: II
特別の安全対策 消防法の規定に従う。
危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第17号)
名称等を表示すべき有害物
(施行令第18条)
第2種有機溶剤等
(施行令別表第6の2・有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号)
危険物・引火性の物
(施行令別表第1第4号)
消防法: 第4類引火性液体、第一石油類水溶性液体
(法第2条第7項危険物別表第1)
船舶安全法: 引火性液体類
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 引火性液体
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) Merck (13th, 2001)
2) ホンメル (1991)
3) ACGIH (2001)
4) SIDS (1999)
5) ICSC (J) (1994)
6) HSDS (2005)
7) EHC 207 (1998)
8) ATSDR (1994)
9) NIOSH : Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (2003)
10) S.Pallade et al.: Arch Mal Prof Med Trav Secur Soc 28, 505 - 516 (1967)
11) NTIS : PB86-143435, Monograph on Human Exposure to Chemicals in Workplace : Epichlorohydrin (1986)  
12) 化学物質の危険・有害便覧 中央労働災害防止協会 (1992)
13) 後藤稠 他編:産業中毒便覧、医歯薬出版(株) (1994)
14) 通産省公報 昭和50年8月27日
15) Patty's Industrial Hygiene and Toxicology, 4th ed. Vol.2 Part D (1994)
16) ザックス 有害物質のデータブック 藤原鎮男監訳 丸善 (1990)
17) 通産省:化審法の既存化学物質安全性点検データ集 (1992)
18) Occupational Safety and Health Guidelines for Chemical Hazards, NIOSH (1978)
19) R.W.Hann Jr et al Water Quality Characteristic of Hazardous Materials. Texas A&M University.
20) A Leo et al Chemical Reviews 71(6). 525 (1982)
21) 染色体異常試験データ集 石館 基監修 LIC(東京) (1987)
22) 溶剤ポケットブック (1997)
23) Howard (1997)
24) IMO IMDG CODE (2004)
25) PHYSPROP Database
災害事例
(1) 葉緑素を抽出する工程で、抽出缶に蚕糞とアセトンを入れ、蒸気を吹き込んで加熱(70〜80℃)させたところ、弁の誤操作のためアセトン蒸気が缶外に漏れ、引火した。
(2) 電気機械製造工場において、シリコン板の脱脂作業をしていた作業者が異臭を感じ点検のため、アセトン廃液回収缶(18L)の栓に手を触れたところ、缶が破裂、引火した。このため作業者は全身に火傷を負った。
(3) 真空ポンプをアセトンで洗浄していたところ、アセトン蒸気を吸入し、頭痛、めまいを起こした。
(4) 合板表面の樹脂加工作業中、発散した樹脂溶剤のアセトンが空調不調により室内に充満し、2名が頭痛、めまいなどの中毒症状を起こした。
(5) ポリエチレン製のアセトンタンクに塩化シアヌルを投入中、タンクの中のアセトン蒸気に引火し、作業員が火傷、両眼の薬傷を負った。
(6) 有機溶剤の廃液回収処理装置内のスラッジを取り出すため蓋を開放したところ、内部に滞留していたアセトン蒸気を吸入して被災した。
(7) 写真用フィルム感光色素の中間原料製造中、ハッチのPHを測定しょうとして、ハッチを空けたところ、ハッチから噴出したアセトンを含むガスを吸い込んで被災した。
(8) 前日使用した工具を洗浄するためアセトンの入った容器に工具を浸し工具の洗浄を行うため、容器のアセトンの入れ替えを行ったところ気分が悪くなり被災した。