製品安全データシート
アジピン酸
作成日2002年11月06日
改定日2006年1月16日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: アジピン酸
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
緊急連絡電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: ナイロン樹脂原料(ヘキサメチレンジアミンとナイロン66をつくる)・可塑剤DOA・塗料・医薬品原料・香料固定剤・有機合成・分析用試薬
吸湿性がなく、酒石酸、クエン酸の代用としてアストリンゼント、レモン乳液、ヘアリンスなどに使用される
化粧品原料(清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け・日焼け止め化粧品、爪化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、入浴用化粧品)
食品添加物(酸味料、乳製品ホイッピング改良剤、食用油脂品質改良、フレーバー増強剤)

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性物質 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分外
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性・(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん) 区分5
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分3
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 区分外
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(自律神経系)(ダスト吸入の場合)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分3
水生環境慢性有害性 区分外
絵表示又はシンボル: 感嘆符 健康有害性
注意喚起語 危険
危険有害性情報: 吸入すると有害のおそれ
軽度の皮膚刺激
強い眼刺激
呼吸器への刺激のおそれ
長期又は反復ばく露による自律神経系の障害
水生生物に有害
注意書き: 【安全対策】
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
保護眼鏡、保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
容器を密閉して換気の良いところで施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: アジピン酸(Adipic acid)
別名: ヘキサン二酸(Hexanedioic acid)
1,4-ブタンジカルボン酸(1,4-Butanedicarboxylic acid)
化学式: C6H10O4
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 124-04-9
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(2)-858
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを求めること。
目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。
コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 速やかに口をすすぎ、医師の診断を受けること。
予想された急性症状及び遅発性症状: 吸入により咳、息苦しさ、咽頭痛。
皮膚に触れたとき発赤。
眼に入った場合、発赤、痛み。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 二酸化炭素、粉末消火剤、砂、土、一般の泡消火剤
使ってはならない消火剤: 情報なし
特有の危険有害性: 塩基類、還元剤、酸化剤との混触危険性あり。
特有の消火方法: 火災時:ドラム缶などに水を噴霧して冷却する。
空気中で粒子が細かく拡散し、爆発性の混合気体を形成する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際には防護衣、空気呼吸器、循環式酸素呼吸器、ゴム長靴、防火服を使用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全な取扱い注意事項: 火気注意。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
接触、吸入又は飲み込んではならない。
眼に入れてはならない。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
施錠して貯蔵すること。
容器包装材料: 密閉され、衝撃に耐え得る容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH(2005年版) TLV-TWA 5 mg/m3
設備対策: 空気中の濃度を制御するには、一般適正換気で十分である。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 換気が不十分な場合は、適切な呼吸保護具を着用すること。
燻蒸/スプレー中は、適切な呼吸保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
保護衣及び長靴を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色の単斜晶系柱状晶 1) ,20)
臭い: 無臭 1)
pH: データなし
融点・凝固点: 152℃(融点) 1)
沸点、初留点と沸騰範囲: 337.5℃(沸点) 20)
引火点: 196℃(密閉式) 1)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 10 Pa (18.5℃) 1)
蒸気密度(空気 = 1): 5.04 1)
比重(密度): 1.360 (25℃/4℃) 20)
溶解度: 14g/L (水15℃) 1)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 0.08 1)
自然発火温度: 422℃ 1)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 通常の取り扱い温度、圧力で安定
危険有害反応可能性: 塩基類、還元剤、酸化剤と反応する。
避けるべき条件: 粉末又は顆粒状で空気との混合を避ける。
混触危険物質: 塩基類、還元剤、酸化剤
危険有害な分解生成物: 燃焼した時、有害ガス(一酸化炭素、二酸化炭素)を発生する。
火災時に刺激性もしくは有毒なヒュームやガスを放出する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 >3600-11000mg/kg 21)
経口 ラット LD50 >11000mg/kg 18)
経口 ウサギ 「4,860mg/kg では投与後10-30 時間に死亡がみられ、剖検で褐色内容物を含んだ腸の膨大がみられている」という報告がある 21)
飲み込むと有害のおそれ(区分5)
経皮 データなし
吸入(粉じん) ラット LC50 7.7mg/L 21)
吸入すると有害のおそれ(区分5)
皮膚腐食性・刺激性: 「人に乾燥肌を起こす」 7) 及び動物での「軽度の刺激性」 21) ,22) の記載がある。
軽度皮膚刺激(区分3)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: EU-Annex1: Xi; R36 に分類され、「中等度から重度の刺激性」 18) ,21) の記載がある。
重篤な眼への刺激性(区分2A)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし。皮膚感作性:動物実験で「皮膚感作性なし」 18) ,21) の記載がある。
生殖細胞変異原性: 生殖細胞及び体細胞 in vivo 変異原性試験はいずれも陰性である 21) ,22) との報告がある。
発がん性: 「腫瘍発生率に有意な差はみられない 7) ,18) ,21) との報告がある。
生殖毒性: ラット、マウス、ウサギ及びハムスターの4動物種の発育毒性/催寄性試験でいずれも「母動物,胎児,新生児に影響はみられず,奇形発生率への影響も見られていない。」 7) ,18) ,21) との報告がある。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
「ダストなどはヒトの上部気道粘膜に軽度の刺激性を示す」 7) ,21) との記載がある。
呼吸器の刺激のおそれ(区分3(気道刺激性))
吸入すると上部呼吸器系を刺激する。
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
「ラットに 175mg/animal/day を2年間経口投与しても特別な影響がみられていない」 7) ,18) ,21) との報告がある。
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
情報なし

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
海洋汚染物質: Not applicable
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 非危険物
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第10号)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (J)(1998)
2) ホンメル (1991)
3) Weiss (2nd, 1985)
4) HSDB (2005)
5) 危険物DB (2nd, 1993)
6) ESC SYRESS
7) ACGIH (2001)
8) DFGOT (2001)
9) RTECS (2004)
10) ACGIH-TLV (2005)
11) NTP TR389 (1991)
12) Howard (1997)
13) UNRTDG (13th, 2004)
14) SIDS (2002)
15) ECETOC JACC 27 (1994)
16) SRC (2005)
17) GESTIS (2005)
18) PATTY (5th, 2001)
19) AQUIRE (2003)
20) Merck (13th, 2001)
21) CERIハザードデータ集 (1998)
22) BUA 68 (1991)
災害事例
情報なし