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安全データシート
五塩化りん
作成日2002年 12月26日
改定日2006 年 4月2日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 五塩化りん
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 医薬(抗生物質、ビタミンB1、塩酸プロカイン、ペカミン、アクリノール、シンナピリン、ビザチン)各種塩化物の製造、ドーピングガス

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 区分外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない(安全面から区分2相当)
急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分1B
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器系)、区分2(循環器)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分2(骨組織)  
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
絵表示又はシンボル: 感嘆符 腐食性 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
重篤な眼の損傷
呼吸器系の障害
循環器の障害のおそれ
長期又は反復ばく露による骨組織の障害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
衣類にかかった場合、直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、取り除くこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。
眼に入った場合、直ちに医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
吸入した場合、直ちに医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 五塩化りん(Phosphorus pentachloride)
別名: (Phosphoric chloride)
(Phosphorus perchloride)
(Phosphoric pentachloride)
化学式: PCl5
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 10026-13-8
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(1)-250
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師を呼ぶこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:この蒸気は、特にこの物質が加熱された場合、気道、肺を強く激し、最後に肺水腫が起こる。肺水腫は2日間までの遅れで現われることがあるので用心する。鼻及び咽頭の粘膜の炎症、咳、頭痛、吐き気、呼吸困難。
皮膚に触れた場合:この蒸気は、特にこの物質が加熱される場合、皮膚を強く刺激し、ただれさせる。皮膚の炎症、水泡生成。
眼に入った場合:この蒸気は、特にこの物質が加熱される場合、目を強く刺激する。催涙及び目の痛み。
飲み込んだ場合:胃痙攣、腹痛、灼熱感、脱力感。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: この製品自体は、燃焼しない。
周辺火災に種類に応じて適切な消火剤を用いる。
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器と防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼、皮膚に付けないこと。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 0.1ppm 0.85 mg/m3
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.1ppm
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用しなければ取扱ってはならない。
気中濃度を推奨された管理濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
保護具
呼吸器の保護具: 呼吸用保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具: 保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。
眼の保護具: 眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること
皮膚及び身体の保護具: 顔面用の保護具を着用すること。
一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 発煙性のある白色〜黄色の結晶 44)
臭い: 刺激臭 14)
pH: データなし
融点・凝固点: 100℃ (昇華)14)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 162℃ (昇華する) 4)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 133 Pa (55.5℃) 14)
蒸気密度(空気 = 1): 7.2 14)
比重(密度): 1.6 14)
溶解度: 反応(水) 14)
二硫化炭素、四塩化炭素に可溶 6)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: この物質を加熱すると、固体から気体へ直接変化し、分解して有毒で腐食性の塩素及び三塩化りんが生じる。
水と激しく反応し、強い発熱及び腐食性で有毒な塩化水素又は塩酸ならびにりん酸となる分解が生じる。
空気中で発煙し、腐食性で有毒な塩化水素(ガス)が生じる。
湿気が存在すると大部の金属に強い腐食性の作用を及ぼす。この場合、発火しやすい水素ガスが発生し、密閉空間では空気と爆発性混合気が生じる。
危険有害反応可能性: アルコール類と接触又は混合すると分解し、りん酸及び塩酸が生じる。
塩基類及び多くの他の化合物と接触すると激しく反応する。
避けるべき条件: 水、空気、湿気、加熱。
混触危険物質: 酸類、アルカリ類、アルカリ金属、アルコール類、アミン類、有機化合物。
危険有害な分解生成物: 塩化水素、三塩化りん、りん酸、塩酸。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 600mg/kg 9)
区分4とした。
飲み込むと有害(区分4)
経皮 情報なし
吸入(粉じん) ラット LC50 0.205mg/L 11)
試験時間の記載なく、データ不足のため分類できないとした。しかし表示等の必要がある場合は、安全性の観点から区分2相当に扱うことを薦める。
(吸入すると生命に危険(区分2))
皮膚腐食性・刺激性: ウサギの試験で腐食性 9) 、皮膚に腐食性を示す 14) の記載があり、国連輸送分類がクラス8、IIに指定されている。
区分1Bとした。
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷(区分1B)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 皮膚腐食性/刺激性が区分1Bに分類されている。
区分1とした。
重篤な眼の損傷(区分1)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 皮膚感作性:情報なし
呼吸器感作性:データなし
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: データなし
生殖毒性: 情報なし
特定標的臓器・全身毒性-単回ばく露: ヒュームの吸入により気管支炎 10) 、肺水腫 14) を引き起こすとの記載により区分1(呼吸器系)とした。経口摂取、皮膚接触による冷皮膚、脈拍の変動、表在呼吸を伴う循環器虚脱は即死の原因になるとの記載 25) があるが、priority2であるため区分2(循環器)とした。
ヒュームの吸入により気道を刺激する 10)
呼吸器系の障害(区分1)
循環器の障害のおそれ(区分2)
特定標的臓器・全身毒性-反復ばく露: 長期吸入することによって骨組織に障害を生じる 6) の記載があるが、priority2であるため区分2(骨組織)とした。
長期又は反復ばく露による骨組織の障害のおそれ(区分2)
吸引性呼吸器有害性: 情報なし。

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1806
Proper Shipping Name: PHOSPHORUS PENTACHLORIDE
Class: 8
Packing Group: II
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 1806
Proper Shipping Name: Phosphorus pentachloride
Class: 8
Packing Group: II
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1806
品名: 五塩化リン
クラス: 8
容器等級: II
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1806
品名: 五塩化リン
クラス: 8
等級: II
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
他の危険物や燃えやすい危険物に上積みしない。
他の危険物のそばに積載しない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
毒物及び劇物取締法: 毒物
(指定令第1条)
化学兵器禁止法: 第2種指定物質・原料物質
(施行令第3条別表3第4欄)
大気汚染防止法: 特定物質
(施行令第10条)
船舶安全法: 腐食性物質
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 腐食性物質
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (2002)
2) Merck (13th, 2001)
3) IMDG (2004)
4) ホンメル (1991)
5) SRC (2005)
6) HSDB (2003)
7) Lange (16th, 2005)
8) Patty (5th, 2001)
9) IUCLID (2000)
10) ACGIH(2001)
11) RTECS (2005)
12) HSDB(2001)
13) SITTIG (47th, 2002)
14) ICSC (J)(1997)
15) Chapman (2005)
16) Lange (16th, 2005)
17) GESTICS (2005)
18) Howard (1997)
19) Weiss (2nd, 1985)
20) DFGOT vol.13(1999)
21) Verschueren(4th, 2003)
22) CERIハザードデータ集(2002)
23) IARC Monographs Vol.71(1999)
24) PHYSPROP Database
25) HSDB(2005)
災害事例
(1) 五塩化リンで閉塞した2インチの移送配管を水にて洗浄しようとしたため、パイプ内で五塩化リンと水とが激しく反応し、塩化水素が噴出した。このガスにより作業員が肺を痛めた。