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安全データシート
タリウム
作成日2003年 5月6日
改定日2006年 7月24日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: タリウム
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急時の電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 最終製品としては、タリウムは毒性が強いので、従来は化学薬品として少量使用される以外は光学レンズ向けと殺鼠剤・農薬(硫酸タリウム)に利用されていた。最近では、メタルの場合、水銀との合金の融点が-60℃という特色を有することから、極地の温度計やスイッチとして用いられるほか、銀との合金が耐食性合金に、また鉛との合金が特殊ヒューズに使われているが、用途が限定されているため使用量は少ない

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 分類できない
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分1B
発がん性 分類できない
生殖毒性 区分1A
生殖毒性・授乳影響 追加区分
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(消化器系、神経系、皮膚(付属器))
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(循環器系、脳・神経系、皮膚(付属器))
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 区分4
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 遺伝性疾患のおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
消化器系、神経系、皮膚(付属器)の障害
長期又は反復ばく露による循環器系、脳神経系、皮膚(付属器)の障害
長期的影響により水生生物に有害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: タリウム(Thallium)
別名:
化学式: Tl
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 7440-28-0
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
対象外(元素)
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合、気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:「経口摂取」参照。
皮膚に触れた場合:吸収される可能性あり。「経口摂取」参照。
飲み込んだ場合:腹痛、吐き気、嘔吐、頭痛、脱力感、脚の痛み、かすみ目、脱毛、情動不安、痙攣、 動悸。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災:散水、水噴霧、一般の泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 乾燥した土、砂あるいは不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
容器内に水を入れてはいけない。
プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.1mg/m3 skin
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 必要に応じて適切な呼吸器保護具を使用すること。
手の保護具: 必要に応じて適切な保護手袋を使用すること。
眼の保護具: 必要に応じて個人用の眼の保護具を使用すること。
皮膚及び身体の保護具: 必要に応じて適切な保護衣、保護面を使用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 帯青白色の非常にやわらかい金属 14)
臭い: 無臭 1)
pH: データなし
融点・凝固点: 304℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 145.7℃(沸点) 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 1mmHg(825℃) [換算値 133Pa(825℃)] 29)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 11.9 1)
溶解度: 不溶(水) 1)
データなし
オクタノール/水分配係数: Log Pow = 0.23(計算値) 5)
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 空気にばく露すると灰色になる。
危険有害反応可能性: 強酸と反応する。室温でフッ素やその他のハロゲンと反応する。
避けるべき条件: 情報なし。
混触危険物質: 強酸、フッ素、その他のハロゲン類。
危険有害な分解生成物: 燃焼の際は、有毒なヒュームが生成されることがある。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:金属タリウムについてのLD50データはないので、分類できない。この金属は空気と触れると表面が酸化する。酸化物のLD50 には32mg/kg 35) というデータがあり、粉末に対しては区分2レベルの警告が妥当と考えられる。
経皮:データがなく、分類できない。
吸入(蒸気):蒸気についての急性吸入毒性試験結果がなく、分類できない。不揮発性の金属であり、蒸気での吸入試験は行えないと考えられる。
吸入(粉じん):データがなく、分類できない。
皮膚腐食性・刺激性: 動物でのドレイズ試験データがなく、分類できない。化合物については、ヒトの中毒時に皮膚に激しい影響が出ている。
眼に対する重篤な損傷・刺激性: 眼への投与による反応のデータがなく、分類できない。
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:情報がなく、分類できない。
皮膚感作性:情報がなく、分類できない。
生殖細胞変異原性: 炭酸タリウムを用いた、ラットの優性致死試験で陽性とされている 35) ので区分1Bとした。金属タリウムは空気中の酸素、二酸化炭素により炭酸タリウムに変化する可能性がある。
遺伝性疾患のおそれ(区分1B)
発がん性: 金属タリウムについての情報はない。化合物についてはEPAがDに分類してる。また腫瘍抑制作用があるとの情報 35) もある。他方、発がん性を示唆する記載がある 54)
生殖毒性: タリウム化合物の摂取が経胎盤性の脱毛症を起こしたヒトの事例がある 10) ので区分1Aとした。動物実験では精子への影響、新生児の軟骨発育不全、及び授乳を経由しての乳児の脱毛も報告されている 10) , 35)
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ(区分1A)
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
胃腸炎、多発性神経障害、脱毛が主要なタリウム中毒の症状とされている 35) ので「区分1(消化器系、神経系、皮膚(付属器))」とした。
消化器系、神経系、皮膚(付属器)の障害(区分1)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
循環器系、神経系及び脱毛を採ったが、動物実験で脳への影響が述べられている 1) ので「区分1(消化器系、神経系、皮膚(付属器))」とした。
長期又は反復ばく露による循環器系、脳・神経系、皮膚(付属器)の障害(区分1)
吸引性呼吸器有害性: データ不足のため分類できない

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: EC50 100mg/L以下のデータが存在するものの、金属であり水中での挙動が不明であるため、区分4とした。
長期的影響により水生生物に有害のおそれ(区分4)

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 3288
Proper Shipping Name: TOXIC SOLID, INORGANIC, N.O.S.
Class: 6.1
Packing Group: III
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 3288
Proper Shipping Name: Toxic solid, inorganic, n.o.s.
Class: 6.1
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 3288
品名: その他の毒物(無機物)(固体)(他の危険性を有しないもの)
クラス: 6.1
容器等級: III
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 3288
品名: その他の毒物(固体)(無機物)(他の危険性を有しないもの)
クラス: 6.1
等級: III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第2種指定化学物質
(法第2条第3項、施行令第2条別表第2)
(政令番号 第44号)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
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49) IRIS (Access on Aug 2005)
50) CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) Lide (2004)
55) ACGIH-TLV (2004)
災害事例
情報なし