安全データシート
カドミウム
作成日2003年05月6日
改定日2006年01月17日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: カドミウム
製品コード: ○○○
整理番号: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急連絡電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: カドミ系顔料、ニッケル・カドミ電池、合金、メッキ

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性・(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん) 区分1
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分2
発がん性 区分1A
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(肺,呼吸器)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(腎臓,肺,血液,骨,呼吸器)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 区分4
絵表示又はシンボル: どくろ 健康有害性
注意喚起語 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
吸入すると生命に危険(粉じん)
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
肺、呼吸器の障害
長期又は反復ばく露による腎臓、肺、血液、骨、呼吸器の障害
長期的影響により水生生物に有害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
呼吸用保護具を着用すること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
ばく露又はその懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
吸入した場合:直ちに医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
容器を密閉して換気の良いところで施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: カドミウム (Cadmium)
別名:  
化学式: Cd(元素)
化学特性
(化学式又は構造式):
 
CAS番号: 7440-43-9
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
該当しない
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 速やかに口をすすぎ、医師の診断を受けること。
最も重要な徴候及び症状 吸入した場合:粉じん、煙霧を吸入すると、咳、頭痛、胸痛、呼吸困難、発熱、めまい、気管支炎、肺水腫。
「注」:肺水腫の症状は 2〜3 時間経過するまで現われないことがしばしばあり、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。12〜36時間の潜伏期間をもつこともある。
皮膚に触れた場合:皮膚炎、発赤、痛み。
眼に入った場合:発赤、痛み。
飲み込んだ場合:腹痛、下痢、頭痛、吐き気、嘔吐。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 乾燥砂、特殊粉末消火薬剤。他の薬剤は不可。
使ってはならない消火剤: 水、泡消火薬剤、二酸化炭素、ハロンなどの消火薬剤とは激しく反応する。
特有の危険有害性: 火災の種類に応じて適切な消火剤を用いる。
火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め完全な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全な取扱い注意事項: 火気注意。
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触、吸入又は飲み込んではならない。
粉じん、ヒューム、スプレーを吸入してはならない。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
施錠して貯蔵すること。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。
密閉され、衝撃に耐え得る容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 0.05mg/m3(カドミウムとして)
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 0.05mg/m3(カドミウムとして) 発がん分類;1
ACGIH(2005年版) TLV-TWA 0.01mg/m3 (Cdとして) A2
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
完全密閉系及び完全密閉装置でのみ取り扱うこと
高熱工程で粉じん、ヒューム、ミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
密閉された装置、機器又は局所排気を使用しなければ取扱ってはならない。
気中濃度を推奨された管理濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気その他の設備対策を使用する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸用保護具を着用すること。
この物質を扱う時はいつも適切な陽圧空気供給式呼吸器を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
眼、顔面用の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 保護衣及び長靴を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 銀白色で青味を帯びた光沢のある金属 20)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 321℃(融点) 20)
沸点、初留点と沸騰範囲: 765℃(沸点) 20)
引火点: 該当しない
爆発範囲: 該当しない
蒸気圧: 5.52×10-7Pa(25℃,推定値) 16)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 8.65(25℃) 20)
溶解度: 不溶 20)
オクタノール/水分配係数: log Pow = -0.07 (推定値) 16)
自然発火温度: 250℃(カドミウム金属粉じん) 1)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): 該当しない
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 空気中で酸化される。
粉末又は、顆粒状で空気と混合すると粉じん爆発の可能性がある。
危険有害反応可能性: 酸と反応して、引火性の水素ガスを放出する。
加熱されたカドミウム粉末は、ハロゲン、りん、硫黄、セレンやテルル等と反応する。
溶融硝酸アンモニアムと200℃以下で激しく爆発的に反応する。
粉じんは酸化剤、過酸化水素、亜鉛、セレン、テルルと反応して、火災や爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件: 火気、静電放電、加熱、
混触危険物質: 水、酸、酸化剤、過酸化水素、亜鉛、ハロゲン、りん、硫黄、セレン、テルル
危険有害な分解生成物: 高温に加熱すると毒性の酸化カドミウムのヒューム。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 1140 (712-1938)mg/kg 18)
経口 マウス LD50 890 (636-1246)mg/kg 18)
飲み込むと有害(区分4)
経皮 データなし
吸入(粉じん) ラット LC50 0.0031mg/L 9)
吸入(粉じん) ウサギ LC50 0.0284 mg/L 18)
吸入すると生命に危険(区分1)
皮膚腐食性・刺激性: 情報なし
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 情報なし
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 情報なし
生殖細胞変異原性: 疫学・職業的にばく露を受けたヒトの体細胞を用いた染色体異常及び姉妹染色分体交換(SCE)の検査で,約半数の結果が陽性である。27)
発がん性評価ワーキンググループは「ヒトの細胞を含めた各種の真核細胞においてイオン性カドミウムは遺伝毒性作用を示すとの証拠を考慮に入れた」27) との記述がある。
遺伝性疾患のおそれの疑い(区分2)
発がん性: 日本産業衛生学会 30) 1  1997年 人間に対して発がん性のある物質
IARC 31) 1  1993年 ヒトに対して発がん性を示す
ACGIH 7) A2 1993年 ヒトに対して発がん性が疑われる物質
EPA 32) B1 1992年 限定されたヒト発がん性を示す証拠及び動物での十分な証拠に基づき、おそらくヒト発がん性物質
発がんのおそれ(区分1A)
生殖毒性: 同腹子数の減少、胎児の死亡、胎児の成長阻害及び奇形がみられ、新生児の成長及び運動能発達の阻害などがみられる。27) ,33)
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い(区分2)
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトが加熱で発生したヒュームにばく露されると気管支炎、肺炎、肺浮腫などが生じ、致死することがある。 7)
高濃度の吸入ばく露は動物に致命的な肺浮腫を生じさせる。 34)
肺,呼吸器の損傷(区分1)
過剰ばく露すると肺障害を起す。
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
動物実験で慢性的な肺炎、肺気腫、蛋白尿などがみられる。 18)
長期職業ばく露は、ヒトに肺及び腎臓を主とする重篤な慢性影響を生じさせる。また、骨粗しょう症や骨軟化症を発症させる。 34)
慢性的ばく露は、ヒトに貧血、好酸球増加症、鼻炎、肺気腫、歯の脱色、腎臓病をもたらす。 7)
慢性障害の第一義的標的臓器は腎臓である。 18)
長期又は反復ばく露による腎臓、肺、血液、骨,呼吸器の障害(区分1)
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水性環境急性有害性: 情報なし
水性環境慢性有害性: 金属であり、水中での挙動が不明である。
長期的影響により水生生物に有害のおそれ(区分4)

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2570
Proper Shipping Name: CADMIUN COMPOUND
Class: 6.1
Packing Group: I〜III
Marine Pollutant: PP
航空規制情報 ICAOの規定に従う。
UN No.: 2570
Proper Shipping Name: Cadmium compound
Class: 6.1
Packing Group: I〜III
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2570
品名: カドミウム化合物
クラス: 6.1
容器等級: I〜III
海洋汚染物質: PP
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2570
品名: カドミウム化合物
クラス: 6.1
等級: I〜III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
  特定化学物質第2類物質、管理第2類物質
(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号)
労働基準法: 疾病化学物質
(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質特定第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条)
(政令番号 第60号)
大気汚染防止法: 有害物質
(施行令第1条)
土壌汚染防止法: 特定有害物質
(施行令第1条)
水質汚濁防止法: 有害物質
(施行令第2条、排水基準を定める省令第1条)

16.その他の情報
参考文献
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2) ホンメル (1991)
3) Weiss (2nd, 1985)
4) HSDB (2005)
5) 危険物DB (2nd, 1993)
6) ESC SYRESS
7) ACGIH (2001)
8) DFGOT vol.20 (2003)
9) RTECS (2005)
10) ACGIH-TLV (2005)
11) NTP TR389 (1991)
12) Howard (1997)
13) UNRTDG (13th, 2004)
14) SIDS (2002)
15) ECETOC JACC 27 (1994)
16) SRC (2005)
17) GESTIS (2005)
18) PATTY (5th, 2001)
19) AQUIRE (2003)
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21) CERIハザードデータ集 (1998)
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24) Sax (11th, 2004)
25) ECETOC Technical report No.66
26) IUCLID (2000)
27) IARC (1993)
28) ACGIH (2005)
29) RTECS(VZ200000) HSDB Full record
30) 産衛学会勧告 (2004)
31) IARC (2005)
32) IRIS (2005)
33) EHC 134 (1992)
34) EHC(J) 134 (1997)
災害事例
(1) テレフタル酸合成反応槽において、カドミウム触媒の付着した部分をガス溶断中カドミウムヒュームを吸入し8名中毒、同様作業で3名中毒し内1名死亡した。
(2) 鉛合金製造作業中、原材料に含まれていたカドミウムのヒュームを吸入し、急性肺炎及び気管支炎を起こした。
(3) 銅管と銅製の継手を銀ろう(銀40%、銅20%、亜鉛20%、カドミウム20%の合金)を用いて溶接作業を行っていたところ、発生した金属ヒュームを吸入し、被災した。
《参考》硫酸カドミウムCdSO4、硝酸カドミウムCd(NO3)2、炭酸カドミウムCdCO3、塩化カドミウムCdCl2、ステアリン酸カドミウムCd(C17H35COO)2