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安全データシート
アンチモン
作成日2002年11月26日
改定日2006年11月 5日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: アンチモン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急時の電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: アンチモンは、常温で光沢のある銀白色の硬くてもろい金属です。約630℃で溶けますが、それが再び固まるとき体積が増えます。かつて使用されていた活版印刷用の活字は、この性質を利用して、固体になる際に体積が減る鉛に、アンチモンを混ぜてつくられたものです。鉛と混ぜると強度が増すため、バッテリーの電極の鉛合金にはアンチモンが含まれています。また、インジウムやガリウムとの合金は半導体として使われています。さらに、潤滑剤、ケーブル被覆材料、陶器、ガラスなどの製造にも原料としても使われています。

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 分類できない
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分2(呼吸器)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 健康有害性
注意喚起語: 警告
危険有害性情報: 長期又は反復ばく露による呼吸器系の障害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
【応急措置】
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
【保管】
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: アンチモン(Antimony)
別名: アンチモン粉末(Antimony powder)
化学式: Sb
化学特性(化学式又は構造式):
CAS番号: 7440-36-0
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
該当しない
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:咳、嘔吐。その他の症状は「飲み込んだ場合」参照。
皮膚に付着した場合:皮膚の乾燥。
飲み込んだ場合:腹痛、灼熱感、下痢、嘔吐、死。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 乾燥砂、黒鉛粉、塩化ナトリウムを基剤とする消火剤のG-1(R) あるいはMet-L-X 粉末
使ってはならない消火剤: 水、泡消火薬剤、二酸化炭素
特有の危険有害性: 火災によって刺激性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
金属火災には水ではなく、密閉法、窒息法消火が望ましい。
消火が不可能なら、周辺を防護してそのまま無くなるまで燃焼させる。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2006年版) 0.1mg/m3
ACGIH (2006年版) TLV-TWA 0.5mg/m3
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な保護眼鏡を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 銀〜白色ので光沢があり、堅いが脆い金属、又は濃灰色の粉末 14)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 630℃(融点) 14)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 1635℃(沸点) 14)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 133 Pa(886℃) 14)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 6.7 14)
溶解度: 不溶(水) 14)
データなし(有機溶媒)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 高温の表面、火花又は裸火により発火。
危険有害反応可能性: 塩素と接触又は混合する場合、発炎とともに非常に激しい反応が起こり、有毒な塩化アンチモン(V)が生じる。
高温の濃硫酸と接触すると、反応して有毒で腐食性の二酸化硫黄(気体)が生じる。
多く金属粉末と接触又は混合する場合、爆発危険が発生しうる。
酸化剤(例えばハロゲン、過マンガン酸アルカリ、硝酸塩)や金属粉末と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
酸に触れると有毒なガス(スチビン)を発生することがある。
避けるべき条件: 高温。粉じん発生。
混触危険物質: 塩素、高温の濃硝酸、金属粉末、酸化剤(ハロゲン、過マンガン酸アルカリ、硝酸塩等)。
危険有害な分解生成物: 該当しない(元素)
燃焼すると、有毒なヒューム (アンチモン酸化物)を生成する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットを用いた経口投与試験のLD50 7000mg/kg 11) から、区分外である可能性が高いが、Priority 2 のデータであり、分類できないとした。
経皮:データなし
吸入(粉じん):データなし
皮膚腐食性・刺激性: 「皮膚に対し、刺激性を有する」 6) から刺激性のある可能性があるが、Priority 2 のデータであり、分類できないとした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性: 「眼に対し、刺激性を有する」 6) から刺激性のある可能性があるが、Priority 2 のデータであり、分類できないとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: 毒性情報と既存分類がないことによる専門家の判断に基づき分類できないとした。
生殖毒性: データ不足のため分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
データなし
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについては「金属蒸気及び金属酸化物粉末の長期間ばく露は肺障害を誘引する」 6) の記述があるが、実験動物では「間質の線維化、肺胞壁の肥大及び過形成、肺の立方及び円柱上皮の変質形成」 6) の記述があることから呼吸器が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲で見られた。以上より分類は区分2(呼吸器)とした。
長期又は反復ばく露による呼吸器の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2871
Proper Shipping Name: ANTIMONY POWDER
Class: 6.1
Packing Group: III
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 2871
Proper Shipping Name: Antimony powder
Class: 6.1
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2871
品名: アンチモン粉末
クラス: 6.1
容器等級: III
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2871
品名: アンチモン粉末
クラス: 6.1
等級: III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第25号)
労働基準法: 疾病化学物質
(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法: 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
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51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) Lide (2004)
55) ACGIH-TLV (2004)
56) ACGIH (2006)
災害事例
情報なし