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安全データシート
シアン化ナトリウム
作成日2001年03月15日
改定日2006年03月17日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: シアン化ナトリウム
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 金の青化製錬、顔料(紺青)の原料、非鉄金属から銅及び銀などの抽出メッキ、金属の焼入れ、写真薬、還元剤、ビニリデン樹脂、医薬品メチオニン、黄血塩、分析用試薬

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分2
急性毒性(経皮) 区分1
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
分類できない(粉じん)
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
分類対象外(ミスト)
皮膚腐食性・刺激性 区分3
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A-2B
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(中枢神経系、精巣、腎臓、副腎、脾臓)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分1
水生環境慢性有害性 区分1
ラベル要素
絵表示又はシンボル: どくろ 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと生命に危険(経口)
皮膚に接触すると生命に危険(経皮)
軽度の皮膚刺激
強い眼刺激
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
長期又は反復ばく露による中枢神経系、精巣、腎臓、副腎、膵臓の障害
水生生物に非常に強い毒性
  長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
眼、皮膚、又は衣類に付けないこと。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
眼に入った場合:水で数分間、注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、取り除くこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
ばく露又はその懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: シアン化ナトリウム(Sodium cyanide)
別名: 青酸ソーダ(Hydrocyanic acid, sodium salt)
化学式: NaCN
化学特性
(化学式又は構造式):
化学式又は構造式
CAS番号: 143-33-9
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(1)-158
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 99%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合、気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:頭痛、めまい、錯乱、吐き気、息切れ、痙攣、嘔吐、脱力感、不安、不整脈、胸部ひっ迫、意識喪失。
眼に入った場合:発赤、痛み、重度の熱傷。他の症状については「吸入」参照。
飲み込んだ場合:灼熱感。他の症状については「吸入」参照。
皮膚に触れた場合:吸収される可能性あり!発赤、痛み。 他の症状については「吸入」参照。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 応急措置を行うときは化学防護手袋を着用する。

5.火災時の措置
消火剤: この製品自体は、燃焼しない。
周辺火災に種類に応じて適切な消火剤を用いる。
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め完全な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼、皮膚又は衣類に付けないこと。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
保管条件: 施錠して保管すること。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 3mg/m3(シアンとして)
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 5mg/m3(シアンとして)(最大許容濃度)
ACGIH(2005年版) TLV-TWA C 5mg/m3 (CN) skin
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 換気が不十分な場合は、適切な呼吸保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 白色の固体 2)
臭い: 特徴的な臭気 14)
pH: 強アルカリ性(水溶液)
融点・凝固点: 563.7℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 1496℃(沸点) 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 1mmHg (817℃) [換算値 133Pa(817℃)] 6)
蒸気密度(空気 = 1): 1.69(計算値)
比重(密度): 1.595g/cm3 (20℃) 6)
溶解度: 58g/100mL (20℃) (水) 1)
アルコールに微溶 2)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 日光により分解する。
危険有害反応可能性: 空気中の二酸化炭素、湿気又は酸、水、アルカリ性炭酸塩と接触すると、有毒なシアン化水素ガスが発生する。
酸化剤との混合、接触により爆発するおそれがある。
水溶液は強塩基で酸と激しく反応し、腐食性を示す。
避けるべき条件: 水、湿気。日光。
混触危険物質: 空気中の二酸化炭素、湿気又は酸、水、アルカリ性炭酸塩。
酸化剤。
危険有害な分解生成物: 水溶液は強塩基で酸と激しく反応し、腐食性を示す。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 5.733mg/kg(換算) 43)
経皮 ウサギ LD50 14.602mg/kg 43)
吸入(粉じん) 情報なし
飲み込むと生命に危険(区分2)
皮膚に接触すると生命に危険(区分1)
皮膚腐食性・刺激性: シアン化ナトリウムのデータはないが「シアニドは皮膚と眼に弱い刺激がある」という記述がある 43)
軽度の皮膚刺激(区分3)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 軽度の結膜浮腫、催涙、羞明、打診痛感を伴った結膜充血があるという記述がある 43)
強い眼刺激(区分2A) 区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から区分2Aの方が望ましい。
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: 情報不足
発がん性: データなし
生殖毒性: ゴールデンシリアンハムスターの催奇形性試験で胎児に奇形がみられているが、親動物への影響の記載が無い 43)
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い(区分2)
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
情報なし
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについては「頭痛、衰弱、味覚及び嗅覚変調、めまい、咽頭過敏、嘔吐、労作性呼吸困難、流涙、前胸部痛」43) の記述、実験動物では「精子運動能減少、精巣上体頭重量減」、「腎症、副腎肥大、膵臓壊死及び繊維化、精巣胚細胞変性」43) 等の記述があることから、中枢神経系、精巣、腎臓、副腎、膵臓が標的臓器と考えられた。
長期又は反復ばく露による中枢神経系、精巣、腎臓、副腎、膵臓の障害(区分1)
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
生態毒性:
ニジマス LC50 0.05-0.075mg/L/96H 9)
水生生物に非常に強い毒性(区分1)
甲殻類 情報なし
藻類 情報なし
残留性・分解性: 情報なし
生体蓄積性: 情報なし
  急性毒性が区分1、水中での挙動及び生物蓄積性が不明であるため水生環境慢性有害性を区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性(区分1)
他の有害影響: 情報なし
環境基準: 情報なし

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
特別管理産業廃棄物のため、廃棄においては特に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の特別管理産業廃棄物処理基準に従うこと。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1689
Proper Shipping Name: SODIUM CYANIDE, SOLID
Class: 6.1
Packing Group: I
Marine Pollutant: P
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 1689
Proper Shipping Name: Sodium cyanide, solid
Class: 6.1
Packing Group: I
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1689
品名: シアン化ナトリウム(固体)
クラス: 6.1
容器等級: I
海洋汚染物質: P
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1689
品名: シアン化ナトリウム(固体)
クラス: 6.1
等級: I
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
特定化学物質第2類物質、管理第2類物質
(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号)
労働基準法: 疾病化学物質
(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第108号)
毒物及び劇物取締法: 毒物
(法第2条別表第1)、毒物
(指定令第1条)
水質汚濁防止法: 有害物質
(施行令第2条、排水基準を定める省令第1条)
大気汚染防止法: 有害物質
(施行令第1条)
土壌汚染防止法: 特定有害物質
(法第2条第1項、施行令第1条)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
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2) Merck (13th, 2001)
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33) 環境省リスク評価第2巻 (2003)
34) ALGY学会(感)物質リスト(案)
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47) 溶剤ポケットブック (1996)
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49) IRIS (Access on Aug 2005)
50) CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) Lide (84th, 2003)
55) ACGIH-TLV (2004)
災害事例
(1) 自動車部品(ドアー金具)製作工場において、同部品の熱処理を行うため、予熱炉から取り出したものを焼入炉に投入した際、炉内の湯(シアン化ナトリウム50%、水酸化バリウム5%)が飛散して火傷を負い、死亡した。原因は水分の付着。
(2) 金属製品製造工場で、希薄なシアン化ナトリウム水溶液を取り扱っていた者が、皮膚炎を起こした。
(3) 金属部品のメッキ作業中、シアン化ナトリウムの含まれたメッキ液が身体に付着し1名が熱傷を負った。