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安全データシート
五酸化バナジウム
作成日2003年05月06日
改定日2007年09月10日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 五酸化バナジウム
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 接触法による硫酸製造触媒、ナフタリンの空気酸化による無水フタル酸製造用触媒、ベンゼンからの無水マレイン酸製造用触媒、アニリンブラック製造用触媒に用いる。三酸化バナジウム(V203)、四酸化バナジウム(V204)などバナジウム化合物の製造原料

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 区分外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分2
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
区分4(粉じん)
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
分類対象外(ミスト)
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分1B
発がん性 区分2
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器、血液系、肝臓、腎臓)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器、血液系、神経系、肝臓)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分2
水生環境慢性有害性 区分2
ラベル要素
絵表示又はシンボル: どくろ 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと生命に危険(経口)
吸入すると有害(粉じん)
強い眼刺激
遺伝性疾患のおそれ
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
呼吸器、血液系、肝臓、腎臓の障害
長期又は反復ばく露による呼吸器、血液系、神経系、肝臓の障害
水生生物に毒性
長期的影響により水生生物に毒性
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
保護眼鏡、保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間、注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
ばく露又はその懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:直ちに医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: 五酸化バナジウム(Vanadium pentoxide)
別名: 五酸化二バナジウム(Divanadium pentoxide)
酸化バナジウム(V)(Vanadium(V) oxide)
化学式: V2O5
化学特性
(化学式又は構造式):
化学式又は構造式
CAS番号: 1314-62-1
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(1)-559
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合、気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:咽頭痛、咳、灼熱感、息切れ、息苦しさ、喘鳴。
眼に入った場合:痛み、発赤、結膜炎。
皮膚に触れた場合:発赤、灼熱感、痛み。
飲み込んだ場合:灼熱感、腹痛、頭痛、下痢、吐き気、嘔吐、胃痙攣。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: この製品自体は、燃焼しない。
周辺火災に種類に応じて適切な消火剤を用いる。
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め完全な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼に入れないこと。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
保管条件: 施錠して保管すること。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 0.03mg/m3(バナジウムとして)
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 0.05mg/m3
ACGIH(2005年版) TLV-TWA 0.05mg/m3 (Dust or fume) (A4);BEI
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 換気が不十分な場合は、適切な呼吸保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 黄色〜赤色の固体 1)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 690℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 1750℃(沸点) 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 約0mmHg 6)
蒸気密度(空気 = 1): 6.27(計算値)
比重(密度): 3.4 14)
溶解度: 0.8g/100mL(水) 1)
アルコールに不溶 2)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 安定な化合物。
危険有害反応可能性: 他の物質の燃焼を助長する。
可燃性物質と反応する。
酸化反応で触媒として働く。
避けるべき条件: 加熱。
混触危険物質: 可燃物、還元剤。
危険有害な分解生成物: 加熱すると、有毒なヒュームを生じる。
1750℃で分解、酸化バナジウム(III)になる。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 10mg/kg 22)
経皮 情報なし
吸入(粉じん) 4.29mg/L/4H 9)
飲み込むと生命に危険(区分2)
吸入すると有害(区分4)
皮膚腐食性・刺激性: 情報なし
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、「中等度の刺激」がみられた 11)
強い眼刺激(区分2A)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: 経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陽性である 43)
遺伝性疾患のおそれ (区分1B)
発がん性: ACGIHでA255) に分類され、IARCで2B 23) に分類されている。
発がんのおそれの疑い(区分2)
ACGIH A2(ヒトに対して発がん性が疑われる物質)
IARC グループ2B(ヒトに対して発がん性があるかもしれない)
生殖毒性: 親動物に一般毒性のみられる用量で雄動物の受精能力、胎児の発生への影響がみられる 43) ,44)
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い(区分2)
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトについては、「上気道に対する重篤な刺激性、上気道の障害、喘息、血痰、貧血、白血球増加、アルブミン尿、尿円柱、血尿、振戦」22) 等の記述、実験動物については、「肺水腫」22)、「流涙、下痢、肝細胞壊死、尿細管腫大」43) 等の記述があることから、気道、肺、血液系、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられた。
呼吸器、血液系、肝臓、腎臓の障害(区分1)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについては、「咳、気管支炎、重度の呼吸器刺激、数例でヘモグロビン濃度の異常(詳細不明)、動悸、虚弱、神経性無力症、」22) 等の記述、実験動物については、「鼻出血、鼻汁、肺の限局性水腫、限局性肝細胞壊死を伴う脂肪変性」22) 等の記述があることから、呼吸器、血液系、神経系、肝臓が標的臓器と考えられた。
長期又は反復ばく露による呼吸器、血液系、神経系、肝臓の障害(区分1)
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
生態毒性:
情報なし
甲殻類 オオミジンコ LC50 1.45mg/L/48H 52)
藻類 情報なし
水生生物に毒性(区分2)
残留性・分解性: 急速分解性がある(BODによる分解度:96%) 51)
生体蓄積性: BCF=14 51) により生物蓄積性が低いと推定される。
長期的影響により水生生物に毒性(区分2)
他の有害影響: 情報なし
環境基準: 情報なし

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2862
Proper Shipping Name: VANADIUM PENTOXIDE
Class: 6.1
Packing Group: III
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 2862
Proper Shipping Name: Vanadium pentoxide
Class: 6.1
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2862
品名: 五酸化バナジウム粉末
クラス: 6.1
容器等級: III
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2862
品名: 五酸化バナジウム粉末
クラス: 6.1
等級: III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
特定化学物質第2類物質、管理第2類物質
(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号)
労働基準法: 疾病化学物質
(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第99号)
毒物及び劇物取締法: 劇物
(指定令第2条)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
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29) Sax (8th, 1992)
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31) 有機化合物辞典
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33) 環境省リスク評価第2巻 (2003)
34) ALGY学会(感)物質リスト(案)
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44) NTP TOX9 (1992)
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47) 溶剤ポケットブック (1996)
48) Ullmanns (E) (5th, 1995)
49) IRIS (Access on Aug 2005)
50) CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) Lide (84th, 2003)
55) ACGIH-TLV (2005)
災害事例
(1) 重油焚きボイラーの燃焼室内掃除作業で、すす中の五酸化バナジウムを吸入し、3名がせき、たん、胸痛を訴えた。保護具は使用していなかった。
(2) ボイラーの燃焼室内部の掃除中、堆積粉じん(V2O5)を吸入し9名が気管支炎を起こした。保護具は使用していなかった。
(3) 重油専焼ボイラーの内部のスケール落し作業中の者23名が頭痛、めまいを訴えた。保護具は使用していなかった。
(4) 重油専焼ボイラーの燃焼室内部の清掃作業者7名が、作業中異常がなく夜、目の痛み・のどの痛みを訴え、気管支炎、上気道炎と診断された。
(5) ボイラーの燃焼室内部の清掃中、堆積粉じんを吸入、作業者9名が気管支炎を起こした。