製品安全データシート
ベンゾ[a]ピレン
作成日2003年 5月 6日
改定日2006年9月24日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: ベンゾ[a]ピレン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急時の電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 本物質は非意図的生成物のため、用途の情報は無い

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分1B
発がん性 区分1B
生殖毒性 区分1B
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分2(呼吸器系、骨髄)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分1
水生環境慢性有害性 区分1
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 感嘆符 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
皮膚刺激
遺伝性疾患のおそれ
発がんのおそれ 
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
長期又は反復ばく露による呼吸器系、骨髄の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き: 【安全対策】
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
適切な保護手袋を着用すること。
必要に応じて個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚に付着した場合、汚染された衣類を脱ぐこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを求めること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: ベンゾ[a]ピレン(Benz(a)pyrene)
別名: 3,4−ベンゾピレン(3,4-Benzpyrene)
化学式: C20H12
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 50-32-8
官報公示整理番号(化審法・安衛法): 化審法:特定できない。
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 皮膚に付着した場合:吸収される可能性あり。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災:散水、噴霧水、通常の泡消火剤
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 施錠して保管すること。
容器包装材料: 包装、容器の規制はないが密閉式の破損しないものに入れる。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) 設定されていない。
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 必要に応じて個人用の眼の保護具を使用すること。
皮膚及び身体の保護具: 必要に応じて適切な保護衣、保護面を使用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色、淡黄色〜黄色の結晶又は粉末 14)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 179℃(融点) 14)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 310-312℃ (沸点) 14)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 5.49×10-9 mmHg (25℃) (推定値) 18)
蒸気密度(空気 = 1): 8.7 14)
比重(密度): 1.4 14)
溶解度: <1g/L(水) 14)
Soluble in benzene, toluene, xylene; sparingly sol in alcohol, methanol.ベンゼン、トルエン、キシレンに可溶、アルコール、メタノールに微溶 2)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 6.04 14)
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 安定である。
危険有害反応可能性: ニトロ誘導体、強酸化剤と反応する。
避けるべき条件: 情報なし
混触危険物質: ニトロ誘導体、強酸化剤。
危険有害な分解生成物: 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素などが生成される。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:得られた唯一のLD50 値はマウスでの>1600mg/kg 35) のみであり、このデータからは区分4、区分5又は区分外のいずれかに分類される可能性があるが、その内のいずれであるか判断できないが、MSDS作成上、最も厳しい区分4を採用した。
飲み込むと有害(経口)
経皮:データなし
吸入(粉じん):データなし
皮膚腐食性・刺激性: 具体的な症例報告はないが、ヒトでは皮膚に紅斑及び灼熱感を伴った刺激性があるとの記述 6) , 12) , 13) から、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: データ不足のため分類できない
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:ヒトへの影響としてアレルギーに関係するといわれているとの記述 22) があるが、ヒトへの吸入ばく露で呼吸過敏症を誘発する証拠がないことから、データ不足のため分類できないとした。
皮膚感作性:モルモット及びマウスを用いた試験において接触過敏性が認められたとの記述 35) , 26) があるが、陽性率が不明であり、ヒトへの影響としてアレルギーに関係するといわれているとの記述 22) があるが、皮膚接触により過敏症を誘発する証拠がないことから、データ不足のため分類できないとした。
生殖細胞変異原性: 生殖細胞を用いる in vivo 経世代変異原性試験であるマウスを用いた優性致死試験で陽性の結果 35) , 26) があることから、区分1Bとした。
遺伝性疾患のおそれ
発がん性: EPAで1994年にB2 32) に分類されているが、IARCでグループ2A 23)、日本産業衛生学会で2A 30)、ACGIHでA2 10) 、NTPでR 46)、EUでカテゴリー2 36) に分類されていることから、最近の評価文書であるNTPの分類に従い、区分1Bとした。
発がんのおそれ
IARC グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)
ACGIH A2(ヒトに対して発がん性が疑われる物質)
生殖毒性: マウスを用いた妊娠中経口投与試験において系統差はあるものの母動物に一般毒性が認められない用量で生殖能への影響が認められたとの記述 35) , 22) , 40) , 26) から、区分1Bとした。
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
データなし
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
マウスを用いた経口投与試験において系統差はあるものの骨髄抑制が区分2のガイダンス値範囲の投与で認められたとの記述 35) , 22) , 40) , 26) から、区分2(骨髄)とした。また、ヒトへの慢性影響として呼吸器障害、肺気腫に関係するといわれているとの記述 22) があるが、具体的な症例報告はなく、区分1への分類を正当化することが確信できないことから、区分2(呼吸器)とした。
長期又は反復ばく露による呼吸器系、骨髄の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50 = 40μg/L 33) から、区分1とした。
水生生物に非常に強い毒性
水生環境慢性有害性: 急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され 54)、生物蓄積性があると推定される(log Kow = 6.13 55) )ことから、区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規則
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第534号)

16.その他の情報
参考文献
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3) IMDG (2004)
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8) Patty (4th, 1994)
9) IUCLID (2000)
10) ACGIH (7th, 2001)
11) RTECS (2004)
12) HSFS (1998)
13) SITTIG (4th, 2002)
14) ICSC (J)(1997)
15) Chapman (CD-ROM ver.13.2 2005)
16) Lange (16th, 2005)
17) GESTICS (2005)
18) Howard (1997) p.3
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20) DFGOT vol.4 (1994)
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22) CERIハザードデータ集 (1997)
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28) 農薬抄録(1986)
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30) 日本産業衛生学会誌 (2005)
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32) IRIS (2005)
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34) ALGY学会(感)物質リスト(案)
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48) Ullmanns (E) (5th, 1995) A2: p.107
49) IRIS (Access on Aug 2005)
50) CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) BIOWIN
55) PHYSPROP Database (2005)
災害事例
情報なし