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安全データシート
p−ニトロトルエン
作成日2002年11月13日
改定日2006年 9月1日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: p−ニトロトルエン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急時の電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: p-トルイジン、2,4-ジニトロトルエン、2,4,6-トリニトロトルエン、p-ニトロトルエン-o-スルホン酸などの中間物

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 区分外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 区分外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 区分外
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 区分外
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分外
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分外
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 区分外
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 区分外
生殖毒性 区分外
特定標的臓器・全身毒性 区分1(血液)
(単回ばく露)
特定標的臓器・全身毒性 区分2(肝臓、血液、免疫系)
(反復ばく露)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分2
水生環境慢性有害性 区分2
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害のおそれ(経口)
血液の障害
長期又は反復ばく露による肝臓、血液、免疫系の障害のおそれ
水生生物に毒性
長期的影響により水生生物に毒性
注意書き: 【安全対策】
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: p−ニトロトルエン(p-Nitrotoluene)
別名: 4−ニトロトルエン(4-Nitrotoluene)
1−メチル−4−ニトロベンゼン(1-Methyl-4-nitrobenzene)
化学式: C7H7NO2
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 99-99-0
官報公示整理番号 (3)-437
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: データなし
濃度又は濃度範囲: データなし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:頭痛、紫色(チアノーゼ)の唇や爪、紫色(チアノーゼ)の皮膚、めまい、息苦しさ。

皮膚に触れた場合:吸収される可能性あり。「吸入」参照。

眼に入った場合:発赤、痛み。
飲み込んだ場合:腹痛。他の症状については「吸入」参照。
最も重要な兆候及び症状:
医師に対する特別な注意事項: この物質により中毒を起こした場合は特別の処置が必要である。指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災:粉末消火剤、二酸化炭素、耐アルコール性泡消火剤、散水
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
容器内に水を入れてはいけない。
プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 2ppm Skin;BEI M
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な保護眼鏡を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色〜黄色の結晶 14)
臭い: 特徴的な臭気 14)
pH: データなし
融点・凝固点: 53-54℃(融点) 14)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 238℃(沸点) 14)
引火点: 103℃(密閉式) 14)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 0.016kPa(20℃) 14)
蒸気密度(空気 = 1): 4.72 14)
比重(密度): 1.286 2)  1.29g/cm3
溶解度: 0.035g/100mL(20℃) 14)
エーテル、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、ピリジンに可溶 31)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 2.41 14)
自然発火温度: 450℃ 14)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: 1.20mPa・s (60℃) (粘性率) 16)

10.安定性及び反応性
安定性: プラスチック、ゴム、被覆剤を侵す。
加熱すると分解し、有毒なヒューム(窒素酸化物)を生じる。
危険有害反応可能性: 強酸化剤や硫酸と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件: 加熱。
混触危険物質: 強酸化剤、硫酸。
ある種のプラスチック、ゴム、被膜剤を侵す。
危険有害な分解生成物: 燃焼の際は、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などが生成される。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットLD50 値:1960mg/kg 22) 、7100mg/kg 22) 、3200mg/kg 24) , 23) 、2144mg/kg 24) , 23) , 44) 及び>2250mg/kg 24) に基づき、計算を適用した。計算値は2014mg/kgであったことから、区分5とした。
飲み込むと有害のおそれ(経口)
経皮:ラットを用いた試験において16000mg/kgの6時間ばく露、ウサギを用いた試験において20000mg/kgの24時間ばく露でいずれも死亡が認められなかったとの記述 21) から、区分外とした。
吸入(粉じん):ラットLC50 (1時間)値:>758ppm(4時間換算値1.06mg/L)との記述 22) 、ラットを用いた試験において4.167mg/Lの1時間ばく露(4時間換算値1.042mg/L)及び152ppmの4時間ばく露(換算値0.851mg/L)で死亡が認められなかったとの記述 21) があるが、これらのデータからは区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性: ウサギの皮膚に適用した試験においてドレイズスコアが0で刺激性が認められなかったとの記述 21) から、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギの眼に適用した試験において角膜及び虹彩に影響が認められず、ドレイズスコアは1と2の間であったとの記述 21) から、刺激性の判定基準に該当しないと判断し、区分外とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いたsingle injection adjuvant test及びBuehler testにおいて感作性は認められなかったとの記述 21) から、区分外とした。
生殖細胞変異原性: 体細胞を用いる in vivo 変異原性試験であるラット及びマウス赤血球を用いた小核試験において陰性の結果 21) , 38) があることから、区分外とした。
発がん性: IARCでグループ3 23) に分類されていることから、区分外とした。
生殖毒性: ラットを用いた経口投与繁殖試験において全身毒性が認められる用量で繁殖性に影響が認められなかったとの記述 21) 、ラットを用いた経口投与繁殖試験において精細管の壊死を伴う精巣の萎縮がみられたが繁殖性及び胎児に影響はみられなかったとの記述 22) , 23) , 21) から、区分外とした。
特定標的臓器・全身毒性 ヒトへの急性影響としてメトヘモグロビン血症が発生するとの記述 22) から、区分1(血液)とした。
(単回ばく露):
血液の障害
特定標的臓器・全身毒性 ラットを用いた混餌経口投与試験において血液への影響を示唆する変化が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述 22) , 10) , 23) , 21) 、並びにマウスを用いた14日間経口投与による免疫毒性試験において肝細胞の腫脹及び免疫機能障害が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述 22) , 21) , 44) , 38) から、区分2(血液、肝臓、免疫系)とした。
(反復ばく露):
長期又は反復ばく露による血液、肝臓、免疫系の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 4.3mg/L 33) から、区分2とした。
水生生物に毒性
水生環境慢性有害性: 急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=8 51) )、急速分解性がない(BODによる分解度:0.8% 51) )ことから、区分2とした。
長期的影響により水生生物に毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1664
Proper Shipping Name: NITROTOLUENES, LIQUID
Class: 6.1
Packing Group: II
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 1664
Proper Shipping Name: Nitrotoluenes, liquid
Class: 6.1
Packing Group: II
国内規制
陸上規制情報 消防法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1664
品名: ニトロトルエン(液体)
クラス: 6.1
容器等級: II
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1664
品名: ニトロトルエン(液体)
クラス: 6.1
等級: II
特別の安全対策 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
消防法: 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体
(法第2条第7項危険物別表第1)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
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31) 有機化合物辞典 (1985)
32) IRIS (2006)
33) 環境省生態影響試験(1998)
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35) EHC 78 (1988)
36) JETOC特別資料No.188(2004)
37) Gangolli (2nd, 1999)
38) NTP DB (2005)
39) EPA (1991)
40) IARC (1990)
41) J Occup Health 45:137-139 (2003)
42) Eur Respr J. 25(1):201-204(2005)
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44) NTP TR498 (2002)
45) 危険物DB(第2版、1993)
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47) 溶剤ポケットブック (1996)
48) Ullmanns (E) (5th, 1995)
49) IRIS (Access on Aug 2005)
50) CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERIハザードデータ集 (2002)
53) NFPA (2001)
54) BIOWIN
55) PHYSPROP Database (2005)
災害事例
(1) 化学工場で、p−ニトロ安息香酸の乾燥に使用した真空乾燥機のマンホールのふたに付着した原料のp−ニトロトルエンを除去する作業を行ったところ、被災した。