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安全データシート
N−(トリクロロメチルチオ)−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド
(別名キャプタン)
作成日2002年12月16日
改定日2006年10月15日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: N−(トリクロロメチルチオ)−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド(別名キャプタン)
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 殺菌剤。石けんの殺菌剤(多量に摂取すると嘔吐、下痢を起こす)。使用濃度は0.5%で、セッケンやシャンプー中では、殺菌に対し静菌的に作用する

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 区分外
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 区分3
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 区分2
生殖毒性 区分外
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分外
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分外
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分1
水生環境慢性有害性 区分1
GHSラベル要素
絵表示又はシンボル: どくろ 腐食性 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害のおそれ(経口)
吸入すると有毒(粉じん)
皮膚刺激
重篤な眼の損傷
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
発がんのおそれの疑い
水生生物に非常に強い毒性
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き: 【安全対策】
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
適切な保護眼鏡、保護面を着用すること。
適切な保護手袋を着用すること。
必要に応じて個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
皮膚に付着した場合、汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の手当、診断を受けること。
飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
漏出物は回収すること。
【保管】
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: N-(トリクロロメチルチオ)-1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド
(N-trichloromethylthio-1,2,3,6-tetrahydrophthalimide)
別名: キャプタン(captan)
N-(トリクロロメチルチオ)シクロヘキサ-4-エン−1,2-ジカルボキシイミド
(N-(trichlorometylthio)cyclohex-4-ene-1,2-dicarboximide)
3a,4,7,7a-テトラヒドロ-2-[(トリクロロメチル)チオ]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
(3a,4,7,7a-tetrahydro-2-[(trichloromethyl)thio]-1H-isoindole-1,3(2H)-dione)
化学式: C9H8Cl3NO2S
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 133-06-2
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(5)-94, (9)-934(化審法), 8-(1)-635(安衛法)
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 市販の製剤に用いられている溶剤が、この物質の物性及び毒性を変化させることがある。
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
医師の手当、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 発赤、痛み、かすみ眼、下痢、嘔吐。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災:散水、水噴霧、一般の泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
密閉された場所に立入る前に換気する。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 乾燥した土、砂あるいは不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。
漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
容器内に水を入れてはいけない。
プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2006年版) 設定されていない。
ACGIH (2006年版) TLV-TWA 5mg/m3 SEN;A3
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
気中濃度を推奨された管理濃度・許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
高熱工程でガスが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 必要に応じて適切な呼吸器保護具を使用すること。
防毒マスクにはハロゲンガス用吸収缶を使用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
必要に応じて適切な保護衣、保護面を使用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 白色結晶 1)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 162−172℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 254−255℃付近で熱分解 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 4.2×10-6 Pa (20℃) 1)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 1.74 2)
溶解度: 4.9 mg/L 1)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 2.9(20℃) 9)
自然発火温度: データなし
分解温度: 254−255℃ 1)
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): 該当しない
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: 該当しない

10.安定性及び反応性
安定性: 有機溶剤を含む液体製剤は引火性のことがある。
危険有害反応可能性: 情報なし
避けるべき条件: 加熱(分解して、イオウ酸化物、窒素酸化物、塩化水素、ホスゲンなどの有毒なヒュームを生じる。)
混触危険物質: 情報なし
危険有害な分解生成物: 燃焼の際は、一酸化炭素、二酸化炭素、イオウ酸化物、窒素酸化物、塩化水素、ホスゲンなどが生成される。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットLD50 値:6170mg/kg、約9000mg/kg及び3573mg/kg 3) に基づき、計算を適用した。計算値は3677mg/kgであったことから、区分5とした。
飲み込むと有害のおそれ(経口)
経皮:ラットLD50 値:>5000mg/kg 3) に基づき、区分外とした。
吸入(蒸気):データなし
吸入(粉じん):雄ラットLC50 (4時間)値:0.72mg/L 3) に基づき、区分3とした。
吸入すると有毒(粉じん)
皮膚腐食性・刺激性: ヒトの皮膚に24時間貼付した結果、中等度から重度の紅斑及び浮腫を伴う紅斑が認められた 3) との記述から、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギを用いた眼刺激性試験において、刺激性を示す眼の変化が認められ21日間持続した 3) との記述から、区分1とした。
重篤な眼の損傷
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いたmaximization testにおいて陽性率が40%であった 3) ことから、区分1とした。
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
生殖細胞変異原性: ラット及びマウスを用いた優性致死試験及びマウスの特定座位試験では陰性の結果 3) がある。さらに、生殖細胞を用いる in vivo 変異原性試験であるマウス精原細胞を用いた染色体異常試験で陽性の結果があるが、精原細胞の染色体異常の増加は高用量群でのみ認められ、マウス骨髄細胞を用いた染色体異常試験や小核試験でも低用量では染色体異常や小核の増加は認められず 3) 、JMPRでは in vivo 小核試験は陰性と評価 4) されていることから、区分外とした。
発がん性: IARCでグループ3 5) に分類されているが、ACGIHでA3 6) 、EUでカテゴリー3 7) に分類されていることから、最近の評価文書であるACGIHに従って区分2とした。
発がんのおそれの疑い
生殖毒性: ラットを用いた混餌経口投与繁殖試験、並びにラット、ウサギ、サル及びハムスターを用いた妊娠中経口投与試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性が認められなかった 3) ことから、区分外とした。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ラット及びマウスを用いた経口投与、経皮投与又は吸入ばく露試験において、区分2のガイダンス値範囲を超える用量でも重大な毒性作用は認められなかった 3) ことから、区分外とした。
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ラット、マウス及びイヌを用いた経口投与試験において、区分2のガイダンス値範囲を超える用量でも重大な毒性作用は認められなかった 3) ことから、区分外とした。
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性 魚類(ニジマス)の96時間LC50 =50μg/L 8) から、区分1とした。
水生生物に非常に強い毒性
水生環境慢性有害性 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Pow = 2.8 9) )、急速分解性がない(BODによる分解度:0% 10) )ことから、区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2588
Proper Shipping Name: PESTICIDE, SOLID, TOXIC, N.O.S.
Class: 6.1
Packing Group: III
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 2588
Proper Shipping Name: Pesticide, solid, toxic, n.o.s.
Class: 6.1
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2588
品名: その他の殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 6.1
容器等級: III
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2588
品名: 殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 6.1
等級: III
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

16.その他の情報
参考文献
1) 農薬登録申請資料
2) ICSC (J) (1994)
3) 農薬抄録
4) JMPR Toxicology evaluations (1990) P.16
5) IARC Suppl.7 (1987)
6) ACGIH (2002)
7) EU-Annex I (2006)
8) 農薬登録申請資料 (1991)
9) PHYSPROP Database (2005)
10) 既存化学物質安全性点検データ
災害事例
情報なし