製品安全データシート
2,6-ジ-ターシャリ-ブチル-4-クレゾール
作成日2002年12月25日
改定日2006年 8月 3日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 2,6-ジ-ターシャリ-ブチル-4-クレゾール
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 有機ゴム薬品、老化防止剤、芳香族系有機薬品、食品添加物、酸化防止剤、香料中間体、化粧品原料

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 区分5
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分3
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2B
呼吸器感作性 区分外
皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 区分外
生殖毒性 区分外
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(神経系)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分2(肺、肝臓、甲状腺)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分1
水生環境慢性有害性 区分1
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 感嘆符 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
皮膚に接触すると有害のおそれ(経皮)
軽度の皮膚刺激
眼刺激
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
神経系の障害
長期又は反復ばく露による肺、肝臓、甲状腺の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き: 【安全対策】
適切な保護手袋を着用すること。
粉じん、ヒュームの吸入を避けること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
漏出物は回収すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚に付着した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、眼の刺激が持続する場合は医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
ばく露した場合、医師に連絡すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 2,6-ジ-ターシャリ-ブチル-4-クレゾール(2,6-Di-tert-butyl-4-cresol)
別名: 2,6-ジ-ターシャリ-ブチル-4-メチルフェノール(2,6-Di-tert-butyl-4-methylphenol)
化学式: C15H24O
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 128-37-0
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(3)−540(9)-1805
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに、多量の水と石鹸で洗うこと。
医師に連絡すること。
皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
医師に連絡すること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:気道への刺激(咳、咽頭痛)。
皮膚:刺激、発赤、痛み。
眼:刺激、発赤、痛み。
経口摂取:腹痛、下痢、めまい、頭痛、嘔吐。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 情報なし

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:散水、粉末消火剤、二酸化炭素、泡消火剤
大火災:散水、泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物を吸込み又は掃き集めて密閉できる空容器に回収し、後で廃棄処理する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
漏出区域を換気し、洗う。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん、ヒュームの吸入を避けること。
飲み込みを避けること。
眼、皮膚との接触を避けること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この物質により喘息の症状を示した者は、以後接触しないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 施錠して保管すること。
容器包装材料: 包装、容器の規制はないが密閉式の破損しないものに入れる。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 未設定
許容濃度(ばく露限界値、生物学的ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 未設定
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 2mg/m3
設備対策: 粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具、保護衣を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色-白色結晶性固体 2) ,7) ,8)
臭い: かすかなフェノール臭
pH: データなし
融点・凝固点: 68℃ 4) 70℃3) 71℃6)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 136℃(13.3Pa)8)  257-266℃ 4) 265℃ 3)
引火点: 127℃(密閉式) 2) ,3)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 1.3 Pa (20℃) 3)
蒸気密度(空気=1): 7.6 (空気 = 1) 3)
比重(密度): 1.048 2) 1.00-1.05 3)
溶解度: 水に難溶。 0.4 mg/L (水:20℃) 3) メタンール、アルコール、アセトン、nーヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、トルエンに易溶。2)
オクタノール/水分配係数: logPow = 5.63 (計算値) 7)  logPow = 5.1 3)
自然発火温度: 345℃ 5)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル=1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  可燃性
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 通常の取り扱い条件においては安定。
加熱により発火する。
危険有害反応可能性: 酸クロライド、酸無水物、酸化剤、塩基類と反応する。
避けるべき条件: 加熱、混触危険物質、腐食した鋼、真ちゅう、銅との接触
混触危険物質: 酸クロライド、酸無水物、酸化剤、塩基類強酸化剤、強塩基。
危険有害な分解生成物: 燃焼により、有害なガス(一酸化炭素、二酸化炭素など)を発生する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50
>2930mg/kg 10) >1000mg/kg 10) 1970mg/kg 12)1906mg/kg 12)
890mg/kg 12) 2250mg/kg 12) 5800mg/kg 12) 2255mg/kg 12)
2450mg/kg 12)
多くの報告があり、統計計算より求めたラット LD50 1559mg/kgより区分4とした。
飲み込むと有害(経口)(区分4)
経皮 ラット LD50 >2000mg/kg 3)
上記データに基づき、区分5とした。
皮膚に接触すると有害のおそれ(経皮)(区分5)
吸入(蒸気) データなし
吸入(ミスト) データなし
皮膚腐食性・刺激性: ウサギに閉塞塗布して軽度の刺激、7) ウサギの試験で軽度の刺激 3) の記載があり、ヒトに軽度の刺激があった 3) の記載より区分3とした。
軽度の皮膚刺激(区分3)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: ウサギの試験で結膜に軽度の炎症がみられ、72時間後には回復した 7) の記載より区分2Bとした。眼刺激(区分2B)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:モルモットのアレルギー性ショック試験でアナフラキシーは見られなかった 12) の記載より区分外とした。
皮膚感作性:モルモットの試験では陰性 7) ,10) ,12) の報告があるが、ヒトで感作性が認められたして区分1としましたモルモットの試験では陰性 7) ,12)告があるが、ヒトで感作性が認められた 7) ,10) ,11) の記載があり区分1とした。
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ(区分1)
生殖細胞変異原性: in vivo試験であるマウスの相互転座試験、マウスの優性致死試験、マウスの特定座位試験、マウスの小核試験、マウス及びラットでの染色体異常試験のいずれも陰性 10) の記載より区分外とした。
発がん性: ACGIHの分類がA4、AIRCがグループ3により区分外とした。
生殖毒性: 混餌投与の2世代試験でF0の高投与群に体重増加と腎臓に影響が、F1に体重抑制が見られた 7) 混餌投与の3世代試験で生殖、発生毒性は認められなかった、10) 妊娠ラットへの投与で生殖毒性は認められなかった報告が2件、10) 1件 13) ある。 又、長期投与試験で仔の無眼球症が1例、13) 長期投与試験で仔の小眼球症が3例/30腹で見られた13) の報告があるが、無眼球症が無いという報告 13) があり、小眼球症の3例の分布が不明であるとしてIARCではいずれも不十分として採用していない。体重増加抑制は高投与群においてであり、一般毒性によるものと思われる。以上より判断して区分外とした。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
4 g摂取した女性で、胃痙攣、倦怠感、嘔吐、疲労感、精神障害及び短期間の意識喪失がみられた。又、紅花油に溶解させた80 gを摂取した女性で神経症状がみられた。7) ,10) ,11) の記載より区分1(神経系)に分類した。
神経系の障害(区分1)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについての報告は無かった。マウスに摂餌投与した試験において、区分2のガイダンス値内の投与量で肺の鬱血、腫大、肺胞上皮細胞の壊死、変性が認められた。10)  ラットの経口投与試験において、区分2のガイダンス値内の投与量で肝臓の相対重量の増加、肝臓の門脈周囲の壊死、肝細胞腫大が見られた。7) ラットの摂餌投与試験において区分2のガイダンス値内で肝臓の腫大、小葉中心性の肝細胞壊死、グルタチオンの枯渇、トランスアミナーゼ活性の増加、酵素誘導、リン脂質及びコレステロールの増加がみられ、甲状腺のヨード取り込みの増加に伴なう腫大が認められた 7)との記載がある。以上の結果より区分2(肺、肝臓、甲状腺)に分類した。
長期又は反復ばく露による肺、肝臓、甲状腺の障害のおそれ(区分2)
吸引性呼吸器有害性: データなし
12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 0.84mg/L 14) から、区分1とした。
水生生物に非常に強い毒性(区分1)
水生環境慢性有害性: 急性毒性が区分1、急速分解性がない(BODによる分解度:4.5%)15)、生物蓄積性がある(BCF=2800)15) ことから、区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性(区分1)

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上、処理を委託する。
焼却 アフタバーナ及びスクラバ付き焼却炉で少量ずつ、焼却する。(一酸化炭素の発生に注意すること。)
汚染容器及び包装: 空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。

14.輸送上の注意
国際規則
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 規制はない。
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行なう。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。
15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第262号)

16.その他の情報
参考文献
1) Howard (1997)
2) Merch (13th, 2002)
3) ICSC (1999)
4) NFPA (13th, 2002)
5) GESTIS (2006)
6) Chapman (2006)
7) CERIハザードデータ集 (1997)
8) HSDB (2005)
9) RTECS (2005)
10) SIDS (2002)
11) ACGIH (2001)
12) IUCLID (2000)
13) IARC (Suppl. 7, 1986)
14) 環境省生態影響試験(1999)
15) NITE「既存化学物質安全点検データ」
16) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 1992
17) GHS分類結果(JETOC・NITE)
18) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
19) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
20) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
21) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
災害事例
情報なし