安全データシート
2‐シアノアクリル酸メチル
作成日2002年3月12日
改定日2006年8月 7日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 2‐シアノアクリル酸メチル
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 試薬

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類できない
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分4
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類できない
自然発火性液体 区分外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 区分外
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 区分外
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 区分2
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2B
呼吸器感作性 区分1
皮膚感作性 区分外
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
分類できない
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: どくろ 健康有害性 
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 可燃性液体
飲み込むと有害(経口)
吸入すると生命に危険(蒸気)
皮膚刺激
吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
注意書き: 【安全対策】
炎及び高温のものから遠ざけること。
適切な呼吸用保護具、保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
ミスト、蒸気、スプレーの吸入を避けること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取り扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
吸入した場合、直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚に付着した場合、汚染された衣類を脱ぐこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを求めること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、眼の刺激が持続する場合は医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
【保管】
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。
国・地域情報

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 2-シアノアクリル酸メチル(Methyl 2-cyanoacrylate)
別名: 2-シアノ-2-プロペン酸メチル(Methyl 2-cyano-2-propenoate)
化学式: C5H5NO2
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 137-05-3
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(2)−2789
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲 99%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 汚染された衣類を脱ぐこと。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:上気道の刺激、咳、頭痛、咽頭痛、喘息様症状。 喘息様症状は遅くなって現れる。
皮膚:刺激、発赤、乾燥。
眼:刺激、発赤、痛み。
経口摂取:「吸入」参照。
最も重要な兆候及び症状: 喘息様症状。
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 安静と症状の医学的な経過観察が必要。

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、泡消火剤
大火災:泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水、火源に直接水をかけない。
特有の危険有害性: 温度条件によっては、爆発の危険性がある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
大火災の場合、泡消火剤を用いて空気を遮断する。
周囲の施設に、散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 火気注意。
ミスト、蒸気、スプレーの吸入を避けること。
飲み込みを避けること。
眼、皮膚との接触を避けること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 炎及び熱表面から離して保管すること。
塩基から離して保管する。
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 未設定
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 未設定
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.2ppm 9.1mg/m3
設備対策: 気中濃度を推奨された管理濃度・許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣、顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色透明液体 3) , 5)
臭い: 刺激臭 1)
pH: データなし
融点・凝固点: 1.5℃ 3) 2.5℃ 3) , 6)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 47-48℃(0.26KPa) 1) 47- 49℃(0.24KPa) 5) 48 - 49℃(0.3-0.36KPa) 3)
引火点: 75℃ 4)  82.78℃(密閉式) 8)  83℃ 3)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 290Pa(2.9mbar48℃) 4)  23Pa(0.18mmHg25℃) 7) 106Pa(0.796mmHg 25℃ 推定値) 2)
蒸気密度(空気 = 1): 3.84 4)
比重(密度): 1.10044(27℃/4℃) 5) 1.1(水=1 20℃) 10)
溶解度: 水に不溶。 2) , 4)  アセトン、トルエン、MEK、DMF、ニトロメタン等に可溶。 1)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 0.030 20)  log Pow = 0.93(推定値) 2) , 12)
自然発火温度: 465℃ 3)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 2.2ppm 20)
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  非該当
粘度: 2mm2/s(25℃)

10.安定性及び反応性
安定性: 水分の影響下で急速に重合する。
危険有害反応可能性: 皮膚に付着すると瞬間的に接着する。
避けるべき条件: 高湿度、水分、混触危険物質との接触。
混触危険物質: 塩基。
危険有害な分解生成物: 燃焼により、有毒で刺激性のヒューム、又はガス(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、シアン化物など)を発生する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラットLD50 1.6g/kg 8) に基づき区分4とした。
飲み込むと有害(経口)(区分 4)
経皮 モルモットLD50>11g/kg 8) に基づき、区分外とした。
吸入(蒸気) ラットLC50 123ppm(4hr 換算値) 8) に基づき、区分2とした。
吸入すると生命に危険(蒸気)(区分2)
吸入(ミスト) データなし
皮膚腐食性・刺激性: ウサギのドレイズテストによる重度の刺激性が報告されている。 13) 又、ヒトで繰り返しばく露による皮膚刺激性が報告されている。 8) , 9)  よって、区分2とした。
皮膚刺激(区分2)
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギ眼への刺激影響は7日以内に回復し 9) 、ヒトでも可逆性の眼刺激が報告されている。 8) よって、区分2Bとした。
眼刺激(区分2B)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 日本職業・環境アレルギー学会の「職業性アレルギーの感作性化学物質」リストに掲載されており「気道感作性あり」と記されているので、呼吸器感作性区分1 とした。 又、皮膚感作性については、モルモット試験において陰性結果が得られている 8) , 9) ので、皮膚感作性は区分外とした。
吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ(区分 1)
生殖細胞変異原性: データ不足により分類できない。
発がん性: データがなく分類できない。
生殖毒性: データがなく分類できない。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトで喉と気管支の刺激性が報告 9) されていることから、区分3(気道刺激性)とした。
呼吸器への刺激のおそれ(区分3)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
区分2ガイダンス濃度で有害影響が認められないことが報告されている 5) が、その他に分類を確定する情報が得られない。
吸引性呼吸器有害性: 動粘性率(40℃)<14mm2/sと考えられる(動粘性率2mm2/s(25℃)(共通情報:その他の情報))が吸引性呼吸器有害性を示すデータは得られていないので分類できないとした。
12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上、処理を委託する。
焼却 アフタバーナ及びスクラバ付き焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する。
活性汚泥処理 低濃度の排水は活性汚泥処理装置で処理する。
汚染容器及び包装: 空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 消防法の規定に従う。
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。輸送前に容器が密閉されているか、又、液やガスの漏れがないかを確認する。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。
15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第206号)
消防法: 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体
(法第2条第7項危険物別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) Sax(11th, 2004)
2) Howard(1997)
3) 有機化合物辞典(1985)
4) GESTIS(2005)
5) HSDB(2005)
6) DFGOT(1999)
7) Verschueren (4th, 2003)
8) ACGIH (2001)
9) CICAD(2001)
10) Chapman(2005)
11) Lide (85th,2004-2005)
12) SRC(2005)
13) Gangolli(1999)
14) RTECS(2004)
15) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 1992
16) GHS分類結果(日化協・NITE)
17) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
18) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
19) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
20) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
災害事例
情報なし