安全データシート
三酸化二ほう素
作成日2003年1月 7日
改定日2006年5月15日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 三酸化二ほう素
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 吹管分析,検出(SiO2),冶金

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類できない
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分3
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A-2B
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) 区分3(気道刺激性)
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) 分類できない
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分外
水生環境慢性有害性 区分外
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 感嘆符
注意喚起語: 警告
危険有害性情報: 飲み込むと有害のおそれ(経口)
軽度の皮膚刺激
強い眼刺激
呼吸器への刺激のおそれ
注意書き: 【安全対策】
保護眼鏡、保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
容器を密閉して換気の良い場所で施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: 三酸化二ほう素(Diboron trioxide)
三酸化ほう素(Boron trioxide)
無水ホウ酸(Boric anhydride)
ボロンセスキオキサイド(Boron sesquioxide)
化学式: B2O3
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 1303-86-2
官報公示整理番号 (1)-71、(9)-2403
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 100%

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:咳、咽頭痛。
皮膚に触れた場合:発赤。
眼に入った場合:発赤、痛み。
飲み込んだ場合 :吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、胃痙攣。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: この製品自体は、燃焼しない。
周辺火災に応じて適切な消火剤を用いる。
使ってはならない消火剤: 該当しない
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め完全な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気装置・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気装置、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 火気注意
眼に入れないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
粉じん、ヒュームの吸入を避けること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 特別に技術的対策は必要としない。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 包装、容器の規制はないが密閉式の破損しないものに入れる。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 10 mg/m3
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 指定された保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: わずかに苦みのある、無色、吸湿性のもろいガラス質塊状物、又は硬質の白色結晶。 1)
臭い: 無臭 1)
pH: 5.1 (20℃, 1.0% solution) 4)
融点・凝固点: 約450℃ (融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 約1860℃ 1)
引火点: 不燃性 1)
爆発範囲: 不燃性 1)
蒸気圧: 無視できる 4)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 2.46 (crystal); 1.8 (amorphous) 1)
溶解度: 2.77g/100g (20℃) 4)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: 不燃性 1)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): 該当しない
燃焼性(固体、ガス):  不燃性 1)
粘度: 該当しない

10.安定性及び反応性
安定性: 不燃性の比較的安定な物質。吸湿性あり。
危険有害反応可能性: 吸湿性で、水と徐々に反応しほう酸を生成する。
湿った空気の存在下で金属に対して腐食性を示す。
フッ素と激しく反応し、BF3 と酸素を発生する。
アルカリ金属・マグネシウムなどで還元される。
避けるべき条件: 吸湿
混触危険物質: フッ素、アルカリ金属、マグネシウムとの接触。
危険有害性のある分解生成物: 特になし。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 3150mg/kg 9)
飲み込むと有害のおそれ(区分5)
経皮 情報なし
吸入(蒸気) 情報なし
吸入(ミスト) 本物質の蒸気圧はほとんど無視できるため,吸入試験は粉塵で行われたと考えられる。LC50が得られた試験がないので,データ不足のため分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性: ウサギで紅斑が出現し数日後に消失したとの記載がある。 7)
ヒトで皮膚を刺激するとの記載がある。 52)
軽度の皮膚刺激(区分3)
眼に対する重篤な損傷/刺激性: 動物で結膜炎を生じたとの記載7) およびヒトで眼を刺激し7)、52) 発赤や痛みを生じるとの記載52) に基づき,区分2A-2Bとした。
強い眼刺激(区分2A-2B)
呼吸器感作性: データなし
皮膚感作性: データなし
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: データなし
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性 ヒトで鼻やのどへの刺激感,咳,息苦しさ,のどの痛みなど気道刺激性を示す症状が記載されている4)、7)、25)、52) ことに基づき,区分3(気道刺激性)とした。
(単回ばく露):
呼吸器への刺激のおそれ(区分3)
特定標的臓器・全身毒性 データ不足で分類できない。
(反復ばく露):
吸引性呼吸器有害性 データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 =370-490mg/L26) (三酸化二ほう素濃度換算値:2382-3155mg/L)から、区分外とした。
水生環境慢性有害性: 難水溶性でなく(水溶解度=27700mg/L)4) 、急性毒性が低いことから、区分外とした。

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 非該当
海上規制情報 非危険物
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法 第1種指定化学物質
(PRTR法): (法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第304号)
水質汚濁防止法: 有害物質
(施行令第2条、排水基準を定める省令第1条)
土壌汚染対策法: 特定有害物質
(法第2条第1項、施行令第1条)

16.その他の情報
参考文献
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災害事例
情報なし