安全データシート
一酸化窒素
作成日2003 年 5月6日
改定日2006 年 5月26日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 一酸化窒素
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: シリコンの酸化膜形成用

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性/引火性ガス 区分外
可燃性/引火性エアゾール 分類対象外
支燃性/酸化性ガス類 区分1
高圧ガス 圧縮ガス
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 分類対象外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 分類対象外
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 区分3
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性 区分1(肺、血液)
(単回ばく露)
特定標的臓器・全身毒性 分類できない
(反復ばく露)
吸引性呼吸器有害性 分類対象外
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 円上の炎 ガスボンベ どくろ 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 発火又は火災助長のおそれ;酸化性物質
高圧ガス;熱すると爆発するおそれ
吸入すると有毒(気体)
肺、血液の障害
注意書き:
【安全対策】 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
減圧バルブにはグリース及び油を使わないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
ガスを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
可燃物から遠ざけること。
【応急措置】 火災の場合には、安全に対処できるならば漏洩を止めること。
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】 日光から遮断して容器を密閉して換気の良い場所で施錠して保管すること。
【廃棄】 内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: 一酸化窒素(Nitric oxide)
別名: 酸化窒素(II)(Nitrogen monooxide)
酸化窒素(Mononitrogen monoxide)
化学式: NO
化学特性(化学式又は構造式):
CAS番号: 10102-43-9
官報公示整理番号 (1)-486
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:腹痛、咳、頭痛、し眠、灼熱感、吐き気、めまい、錯乱、紫色(チアノ−ゼ)の皮膚、紫色(チアノ−ゼ)の唇や爪、息切れ、痙攣。
吸入すると肺水腫を引きおこすことがある。安静と経過観察が不可欠である。
皮膚に付着した場合:刺激
眼に入った場合:眼の炎症と発赤
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤:
使ってはならない消火剤: 粉末消火剤、二酸化炭素、ハロン消火剤
特有の危険有害性: それ自身は燃えないが、支燃性である。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
破裂したボンベが飛翔するおそれがある。
火災によって刺激性、毒性又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
発火又は火災助長のおそれ
特有の消火方法: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
火災の種類に応じて適切な消火剤を用いる。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火活動は、有効に行える十分な距離から行う。
漏洩部や安全装置に直接水をかけてはいけない。凍るおそれがある。
損傷したボンベは専門家だけが取り扱う。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
火災をおさえる。消火が必要であれば、注水又は水噴霧が推奨される。
容器内に水を入れてはいけない。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め、適切な化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
ガスが拡散するまでその区域を立入禁止とする。
漏洩場所を換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物の除去や廃棄処理は専門家の指示による。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
可能ならば、漏洩している容器を回転させ、液体でなく気体が放出するようにする。
蒸発を抑え、蒸気の拡散を防ぐため散水を行う。
この物質は蒸発させてもよい.
二次災害の防止策: 可燃物(木、紙、油等)は漏洩物から隔離する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
漏洩物又は漏洩源に直接水をかけない。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気装置・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気装置、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 可燃物から遠ざけること。
減圧バルブにはグリースや油を使わないこと。
加圧ガスを含有し、熱すると爆発のおそれがある。
容器は丁寧に取り扱い、衝撃を与えたり、転倒させない。
容器の取り付け、取り外しの作業の際は、漏洩させないよう、十分注意する。
使用後は、バルブを完全に閉め、口金キャップを取り付け、保護キャップを付ける。
可燃性ガスと混合すると、発火、爆発の危険性がある。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
ガスを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取り扱い後は手を洗う。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 容器は保安上使用開始後1年以内に、速やかに販売事業者に返却すること(高圧ガス保安協会指針)。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 専用の高圧ガス容器に保管する。
可燃物、酸化されやすい物質、重合促進剤、還元剤、ハロゲン、酸、金属微粉末から離して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。
容器は直射日光や火気を避け、40℃以下の温度で保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
容器包装材料: 高圧ガス保安法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 25ppm BEI M
設備対策: 減圧バルブにはグリース及びオイルを使用しないこと。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程でガスが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用しなければ取扱ってはならない。
気中濃度を推奨された許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な保護眼鏡を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色の圧縮ガス 14)
臭い: 特徴的な臭気 6)
pH: データなし
融点・凝固点: -163.6(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: -151.8℃(沸点) 14)
引火点: 不燃性 4)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: >760mmHg at 68F(20℃) 26)
蒸気密度(空気 = 1): 1.04 14)
比重(密度): 1.34g/L (水=1) 4)
溶解度: 7.4 mL/100 mL(0℃)(水) 14)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 水及び空気中の酸素と結合して分解し、硝酸及び亜硝酸が生じる。
水と接触するとき、水面上方に有毒で腐食性の混合気が生じる。
この気体の一部は空気中の酸素と結合し、猛毒の二酸化窒素及び四酸化二窒素(窒素酸化物ガス)が生じる。
加熱分解し、非常に有毒な酸化窒素ガスを発生する。
危険有害反応可能性: 強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と反応する。
液体燃料と接触するとき、激しい反応が起こりうる。
この物質は、酸素、酸化エチレン、ケイ化水素、リン化水素、ビニルエチルエーテル及びブタジエンと接触又は混合する場合、激しく反応する。
純粋な形では大部分の金属は腐食作用を受けないが、湿気又は水分が存在する場合、大部分の金属、特に銅及び銅合金は、空気中の酸素により生じた窒素酸化物ガスと結合し、強い腐食作用を受ける。
避けるべき条件: 水、空気中の酸素、加熱。
混触危険物質: 可燃性物質、還元性物質、液体燃料、酸化エチレン、ケイ化水素、リン化水素、ビニルエチルエーテル及びブタジエン。
銅及び銅合金。
危険有害な分解生成物: 窒素酸化物、硝酸及び亜硝酸。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 データなし
経皮 データなし
吸入(ガス) ラット LC50 870ppm/4H 11)
吸入すると有毒(区分3)
皮膚腐食性・刺激性: データなし
眼に対する重篤な損傷/刺激性: データなし
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: データなし
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトで急性肺気腫及びメトヘモグロビン生成によるチアノーゼの症状が出ている 10) ので区分1(肺、血液)とした。
肺、血液の障害
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
データなし
 
吸引性呼吸器有害性: 常温気体であり、分類対象外である。

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 高圧ガスを廃棄する場合は、高圧ガス保安法一般高圧ガス保安規則の規定に従うこと。
汚染容器及び包装: 高圧ガスの容器を廃棄する場合は、製造業者等専門業者に回収を依頼すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1660
Proper Shipping Name: NITRIC OXIDE, COMPRESSED
Class: 2.3
Sub Risk: 5.1
8
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 Forbidden
国内規制
陸上規制情報 高圧ガス保安法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1660
品名: 一酸化窒素(圧縮されているもの)
クラス: 2.3
副次危険: 5.1
8
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 輸送禁止
特別の安全対策 移動、転倒、衝撃、摩擦などを生じないように固定する。
運搬時には容器を40℃以下に保ち、特に夏場はシートをかけ温度上昇の防止に努める。
火気、熱気、直射日光に触れさせない。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
鋼材部分と直接接触しないようにする。
他の危険物や燃えやすい危険物に上積みしない。
他の危険物のそばに積載しない。
重量物を上乗せしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
高圧ガス保安法: 圧縮ガス
(法第2条1)
船舶安全法: 高圧ガス
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法: 輸送禁止

16.その他の情報
参考文献
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24) SIDS (2002)
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34) ALGY学会(感)物質リスト(案)
35) EHC 113(1990)
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37) Gangolli (2nd. 1999)
38) NICNAS(1994)
39) EPA (1991)
40) IARC 65 (1996)
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42) Eur Respr J. 25(1):201-204(2005)
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44) NTP DB (access on December 2005)
45) NTP RoC (11th, 2005)
46) ACGIH (2001)
47) 溶剤ポケットブック (1996)
48) Ullmanns (E) (5th, 1995)
49) IRIS (Access on Aug 2005)
50) CERI・NITE有害性評価書 No.16 (2004)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERI・NITE有害性評価書 No.12 (2004)
53) NFPA(13th,2001)
54) NITE初期リスク評価書No.16 (2005)
55) ACGIH-TLV (2005)
56) Dean(15th Ed.)
災害事例
(1) 酸処理室において、製品に付着した銅銀をはく離清掃するために、希硝酸(濃度約40%)に浸漬したところ、同製品の一部が真ちゅう製であったため、酸化窒素が発生し、これを吸入し、被災した。
(2) 61%硝酸を別の容器へ移し替え作業を開始したとき、ドラム缶の鉄と反応して二酸化窒素が発生し、これを吸入し、被災した。
(3) 反応液を反応釜から分解釜に注入作業中、反応液中に含まれていた二酸化窒素ガスが漏えいし、これを吸入した労働者が被災した。