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安全データシート
ロテノン
作成日2002年12月18日
改定日2006年10月15日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: ロテノン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 農薬(殺虫剤)

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類できない
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分2
急性毒性(経皮) 区分2
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 区分外
生殖毒性 区分外
特定標的臓器・全身毒性 区分1(神経系)
(単回ばく露)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器・全身毒性 区分1(腎臓、肝臓)
(反復ばく露)
区分2(消化管、骨髄)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分1
水生環境慢性有害性 区分1
ラベル要素
絵表示又はシンボル: どくろ 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと生命に危険(経口)
皮膚に接触すると生命に危険(経皮)
皮膚刺激
強い眼刺激
神経系の障害
呼吸器への刺激のおそれ
長期又は反復ばく露による腎臓、肝臓の障害
長期又は反復ばく露による消化管、骨髄の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き: 【安全対策】
適切な保護手袋、保護衣を着用すること。
適切な保護眼鏡、保護面を着用すること。
眼、皮膚、又は衣類に付けないこと。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、又は取り除くこと。
取り扱い後はよく手を洗うこと。
飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
飲み込んだ場合、直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合、直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを求めること。
眼に入った場合、眼の刺激が持続する場合は医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: ロテノン(Rotenone)
別名: (2R)-1,2,12,12aα-テトラヒドロ-2α-イソプロペニル-8,9-ジメトキシ[1]ベンゾピラノ[3,4-b]フロ[2,3-h][1]ベンゾピラン-6(6aαH)-オン
(2R)-1,2,12,12aα-Tetrahydro-2α-isopropenyl-8,9-dimethoxy[1]benzopyrano[3,4-b]furo[2,3-h][1]benzopyran-6(6aαH)-one
化学式: C23H22O6
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 83-79-4
官報公示整理番号 8-(4)-592(安衛法)
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
汚染された衣類を脱ぐこと。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 錯乱、咳、頭痛、振戦、息苦しさ、吐き気、咽頭痛、意識喪失、発赤、胃痙攣、痙攣、下痢、嘔吐。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災:散水、噴霧水、通常の泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 乾燥した土、砂あるいは不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。
漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
容器内に水を入れてはいけない。
プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 眼、皮膚又は衣類に付けないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2006年版) 設定されていない。
ACGIH (2006年版) TLV-TWA 5 mg/m3 A4
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
高熱工程でガスが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 換気が不十分な場合には、適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
適切な顔面用の保護具を着用すること。
しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服(例えば、酸スーツ)及びブーツが必要である。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色の結晶 1)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 176℃(融点) 2)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 沸点以下で分解する 1)  210-220℃ (0.5mmHg) 2)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 0.0008mmHg(20℃) [換算値 0.1Pa(20℃)] 3)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 1.27 (20℃) 4)
溶解度: 約 0.2mg/L 5)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 4.10 1)
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): 該当しない
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: 該当しない

10.安定性及び反応性
安定性: 情報なし
危険有害反応可能性: 情報なし
避けるべき条件: 燃焼すると分解し、刺激性のヒュームを生じる。
混触危険物質: 情報なし
危険有害な分解生成物: 燃焼の際は、一酸化炭素、二酸化炭素などが生成される。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットLD50 値:25-132mg/kg 6) , 7) 、60mg/kg 8) に基づき、計算を適用した。計算値はこれらの最低値よりも小さかったため、最低値の25mg/kgを採用し、区分2とした。
飲み込むと生命に危険(経口)
経皮:ウサギLD50 値:100-200mg/kg 7) に基づき、区分2とした。
皮膚に接触すると生命に危険(経皮)
吸入(蒸気):データなし
吸入(粉じん):ラットLCLo(30分)値:0.5mg/L(4時間換算値0.06mg/L)とのデータ 9) があるが、LC50値は不明であることから、区分が特定できず、データ不足のため分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性: ウサギの皮膚を重度に刺激するとの記述 7) から、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギの眼を強く刺激するとの記述 6) , 7) から、区分2Aとした。
強い眼刺激
呼吸器感作性又は皮膚感作性: いずれも情報がなく分類できない。
生殖細胞変異原性: in vitro 試験のデータしかないため分類できない。
発がん性: ACGIHでA4 6) に分類されていることから、区分外とした。
生殖毒性: ラットを用いた妊娠中経口投与試験 6) , 7) , 10) , 11) 、並びにラットを用いた2世代繁殖試験 10) において親動物に一般毒性がみられる用量でも明確な生殖毒性は認められなかったとの記述から、区分外とした。
特定標的臓器・全身毒性 ヒトで急性ばく露によりしびれ、悪心、嘔吐及び振戦をおこすとの記述 11) から、神経系が標的臓器と考え、区分1(神経系)とした。また、気道を刺激するとの記述 1) , 12) , 13) から、区分3(気道刺激性)とした。
(単回ばく露):
神経系の障害
呼吸器への刺激のおそれ
特定標的臓器・全身毒性 イヌを用いた混餌経口投与試験において肝臓及び腎臓の脂肪変性が区分1のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述 6) から、区分1(肝臓、腎臓)とした。また、ラットを用いた混餌経口投与試験において骨髄の萎縮及び前胃の炎症及び過形成が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述 6) , 7) , 8) から、区分2(骨髄、消化管)とした。
(反復ばく露):
長期又は反復ばく露による腎臓、肝臓の障害
長期又は反復ばく露による骨髄、消化管の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性 魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 0.0283μl/L 14) から、区分1とした。
水生生物に非常に強い毒性
水生環境慢性有害性 急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され 15) 、生物蓄積性があると推定される(log Pow = 4.1 16) )ことから、区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2588
Proper Shipping Name: PESTICIDE, SOLID, TOXIC, N.O.S.
Class: 6.1
Packing Group: II
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 2588
Proper Shipping Name: Pesticide, solid, toxic, n.o.s.
Class: 6.1
Packing Group: II
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2588
品名: その他の殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 6.1
容器等級: II
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2588
品名: 殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 6.1
等級: II
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
毒物及び劇物取締法: 劇物
(法第2条別表第2)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (J) (2000)
2) HODOC (2nd, 1989) p.1178
3) HSDB (Access on Jan 2006)
4) Sax (8th, 1992) p.3000
5) Ullmanns (E) (5th, 1995) A14: p.271-272
6) ACGIH 7th (2001)
7) DFGOT vol.19 (2003)
8) NTP TR320 (1988)
9) RTECS (2006)
10) IRIS (2006)
11) NTP TR320 (1988)
12) HSFS (2000)
13) SITTIG (4th, 2002)
14) AQUIRE (2003)
15) BIOWIN
16) PHYSPROP Database (2005)
災害事例
情報なし