製品安全データシート
沃素
作成日2002年11月29日
改定日2006年 9月15日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 沃素
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 有機合成の中間体及び触媒、医薬品、保健薬、殺菌剤
家畜飼料添加剤、有機化合物安定剤、染料、写真製版、農薬
希有金属の製錬、分析用試薬
人工的に造られる放射性ヨウ素131は診断治療、内科放射治療
薄層膜厚測定、送水管の欠陥検査、油田の検出
化学分析のトレーサーなど生物学、医学
バイオテクノロジーでの利用が盛んである

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類できない
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分外
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A-2B*注1
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性 区分3(気道刺激性)
(単回ばく露)
特定標的臓器・全身毒性 区分1(甲状腺)
(反復ばく露)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分1
水生環境慢性有害性 区分1
*注1 分類では区分2A-2Bとしているが、本シートでは安全サイドより区分2Aとして取り扱う。
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 感嘆符 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 皮膚刺激
強い眼刺激
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
長期又は反復ばく露による甲状腺の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き: 【安全対策】
適切な保護手袋を着用すること。
適切な保護眼鏡、保護面を着用すること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
取り扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚に付着した場合、汚染された衣類を脱ぐこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、眼の刺激が持続する場合は医師の診断、手当てを受けること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 沃素(Iodine)
別名: 情報なし
化学式: I2
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 7553-56-2
官報公示整理番号 対象外
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 咽頭痛、咳、息切れ、発赤、痛み、重度の皮膚熱傷、かすみ眼、重度の熱傷、灼熱感、胃痙攣、嘔吐、下痢、ショック状態あるいは虚脱。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: この製品自体は、燃焼しない。
周辺火災に応じて適切な消火剤を用いる。
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。
避難して安全な距離から消火すること。熱にさらされると、破裂して重度毒性蒸気又は分解生成物を放出することがある。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
危険な現場を分離して無関係者及び保護具未着用者の出入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
乾燥した土、砂あるいは不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
容器内に水を入れてはいけない。
プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。
床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 包装、容器の規制はないが密閉式の破損しないものに入れる。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 0.1ppm
ACGIH (2005年版) TLV-STEL 0.1ppm (C)
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
高熱工程で粉じん、ヒューム、ミスト、ガスが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 換気が不十分な場合には、適切な呼吸器保護具を着用すること。
防毒マスクにはハロゲンガス用吸収缶を使用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 帯青黒又は暗紫色の結晶 1)
臭い: 刺激臭 1)
pH: データなし
融点・凝固点: 114℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 184℃(沸点) 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 0.04 kPa (25℃) 1)
蒸気密度(空気 = 1): 8.8 1)
比重(密度): 4.93 (25℃) 2)   4.9 1)
溶解度: 0.3g/L (20℃) 1)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 2.49 1)
自然発火温度: データなし
分解温度: 該当しない
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: 該当しない

10.安定性及び反応性
安定性: 多くの反応により火災又は爆発を生じることがある。
危険有害反応可能性: 強力な酸化剤で、可燃性や還元性の物質と反応する。アルカリ金属、リン、アンチモン、アンモニア、アセトアルデヒド、アセチレンと激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件: 加熱すると有毒なヒュームが発生する。
混触危険物質: 可燃性や還元性の物質、アルカリ金属、リン、アンチモン、アンモニア、アセトアルデヒド、アセチレンとの接触に注意する。
危険有害な分解生成物: 燃焼の際は、有毒なヒュームなどが生成される。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットLD50 値:14000mg/kg 3) に基づき、区分外とした。
経皮:データなし
吸入(蒸気):データなし
吸入(粉じん):ラットLCLo(1時間)値:0.8mg/L(4時間換算値0.2mg/L)とのデータがあるが、LC50 値についてのデータはなく区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性: 具体的な症例報告はないが、局所作用として皮膚の水ほうを起こすとの記述 4) から、皮膚刺激性があると判断し、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: 局所作用として結膜炎 4) をおこすとの記述から、眼刺激性であると判断し、区分2A-2Bとした。本シートでは安全サイドより区分2Aとして取り扱っている。
強い眼刺激
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:日本接触皮膚炎学会の皮膚感作性物質にリストアップされており、日本産業衛生学会許容濃度勧告には感作性物質:皮膚第2群に、また日本職業・環境アレルギー学会では皮膚感作性物質としてリストアップ 5) されており 、さらに別々の接触皮膚炎の症例報告 3) , 6) があることから、区分1とした。
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
生殖細胞変異原性: in vitro 試験(ほ乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験:陰性)のデータしかないため分類できない。
発がん性: データなし
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性 ヒトで蒸気や溶液のミストの吸入により気道刺激性が認められるとの記述 3) , 6) から、区分3(気道刺激性)とした。
(単回ばく露):
呼吸器への刺激のおそれ
特定標的臓器・全身毒性 ヒトで経口摂取により甲状腺の疾患(甲状腺機能低下、機能亢進又は甲状腺炎)を起こすとの記述 7) から、区分1(甲状腺)とした。
(反復ばく露):
長期又は反復ばく露による甲状腺の障害
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性 甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50 =0.16mg/L 8) から、区分1とした。
水生生物に非常に強い毒性
水生環境慢性有害性 急性毒性が区分1、水中での挙動及び生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
スプレー缶を廃棄する場合は、自治体により廃棄方法が異なるので該当する自治体の規定に従うこと。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第606号)
毒物及び劇物取締法: 劇物
(法第2条別表第2)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (J) (2004)
2) Merck (Access on Feb 2006)
3) PATTY (4th, 1994)
4) 産衛学会勧告 (1993)
5) 日本職業・環境アレルギー学会雑誌 (2004)
6) ACGIH (7th, 2001)
7) ATSDR (2004)
8) ECETOC TR91 (2003)
災害事例
(1) 沃素の製造作業に従事していた者が、目、皮膚などの障害及び甲状腺肥大症などを起こした。