製品安全データシート
塩化ホスホリル
作成日2003年12月05日
改定日2006年01月07日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 塩化ホスホリル
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急連絡電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 可塑剤(リン酸トリクレジル)の製造、医薬(サルファ剤、ビタミンB1など)の製造、香料、不燃性フィルム原料、ウラン鉱抽出剤、有機合成における塩素置換剤及び触媒、無水酢酸、リン系農薬製造用

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分外
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 区分外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性物質 分類対象外
酸化性液体 区分外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 区分1
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分1A-1C
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器系、中枢神経系)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(中枢神経系、呼吸器系、腎臓)
吸引性呼吸器有害性 分類対象外
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
絵表示又はシンボル: どくろ 腐食性 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
吸入すると生命に危険
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
重篤な眼の損傷
中枢神経系、呼吸器系の障害
長期又は反復ばく露による中枢神経系、呼吸器系、腎臓の障害
注意書き:  
【安全対策】 取扱後は手をよく洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
呼吸用保護具を着用すること。
適切な保護手袋、保護衣、保護面を着用すること。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
【応急措置】 飲み込んだ場合:気分が悪い時は医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。
飲み込んだ場合:無理に吐かせないこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息さること。
吸入した場合、ただちに医師に連絡すること。
皮膚(または髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。皮膚を流水、シャワーで洗うこと。
汚染された衣類を再使用す場合には洗濯をすること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、ただちに医師に連絡すること。
ばく露した場合:医師に連絡すること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
【廃棄】 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。
国/地域情報

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: 塩化ホスホリル (Phosphoryl chloride)
別名: オキシ塩化リン (Phosphorus oxychloride)
りん酸トリクロリド (Phosphorus oxytrichloride)
化学式: Cl3OP,POCl3
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 10025-87-3
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(1)-244
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師を呼ぶこと。
特別処置が緊急に必要である。(緊急の解毒剤の投与が必要な場合、このラベルの補足の応急処置指示を参照)
製造業者又は当局が指定する洗浄剤が含まれるかもしれない。
皮膚に付着した場合: 直ちに、すべての汚染された衣類を取り去ること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚を水又はシャワーで洗うこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。洗浄を続けること。
水で数分間、注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 速やかに口をすすぎ、医師の診断を受けること。
吐かせないこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: ばく露されると、眼、皮膚、気道に対して腐食性を示し、めまい、頭痛、倦怠感、気管支炎、腎炎、ショック、虚脱、肺水腫、心臓の持続性障害の症状を示す。遅発性症状:肺水腫、視神経の症状。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具(保護手袋(不浸透性)、防毒マスク等)を着用する。
医師に対する特別注意事項: 安静に保ち、医学的な経過観察が不可欠である。
適切なスプレー剤を直ちに使用することを検討する。

5.火災時の措置
消火剤: 不燃性。周辺火災に適応した消火剤を用いる。
使ってはならない消火剤: 水(ただし、発生した塩化水素を吸収、拡散する目的では使用できる。)
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、毒性又は腐食性のガスやヒュームを発生するおそれがある。
水との反応により、大量の熱を発生し、空気中のヒュームの濃度を増大させるおそれがある。
加熱されたり、水が混入すると、容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 容器内に水を入れてはいけない:激しい反応が起こる可能性がある。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 少量の場合、乾燥した土、砂あるいは不燃材料で覆い、さらにプラスチックシートで飛散を防止し、雨に濡れないようにする。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、密閉できる空容器に出来だけ回収し、その後、消石灰、ソーダ灰などの水溶液で徐々に処理し、水で洗い流す。
封じ込め及び浄化方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
清浄な帯電防止器具を用いて集め、プラスチック容器に入れゆるく覆いをし、後で廃棄する。
容器内に水を入れてはいけない。
二次災害の防止策: 水噴霧により蒸気を除去する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
液の漏洩や蒸気の発散を極力防止する。
接触、吸入又は飲み込んではならない。
取扱い後はよく手を洗うこと。
ミストを吸入してはならない。
眼に入れてはならない。
接触回避 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所は対火構造とする。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件 容器を密栓して、換気のよい冷乾燥場所に保管する。
施錠して貯蔵すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。
水分を吸収すると金属に対する腐食性が強くなるため、取扱時の材料に注意すること。        ゴム製内張り鋼製容器、ガラス、セラミックは耐久性がある。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH(2005年版) TLV-TWA0.1ppm
設備対策: 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程で粉じん、ヒューム、ミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
密閉された装置、機器又は局所排気を使用しなければ取扱ってはならない。
気中濃度を推奨された管理濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気その他の設備対策を使用する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸用保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具: 製造業者又は当局が指定する保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護手袋及び眼、顔面用の保護具を着用すること。
衛生対策: 保護具は保護具点検表により定期的に点検する。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色透明ないしは黄色の発煙性液体 2) ,37) ,41)
臭い: 刺すようなかび臭いにおい。 2)
pH: 1 (5g/l, 20℃) 36)
融点・凝固点: 1.25℃ 5) 1.3℃ 39) 1.2-1.3℃ 41)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 105.8℃ 5) 107℃  37)
引火点: 不燃性  37)
爆発範囲: 該当しない 37)
蒸気圧: 5.3kPa (27.3℃) 5)、100mmHg(47.4℃) [換算値 13329Pa(47.4℃)] 42) 28mmHg(20℃) [換算値 3732Pa(20℃)] 41)
蒸気密度(空気 = 1): 5.3 (空気=1) 5)
比重(密度): 1.645 (水=1) 5)、 1.675 (20℃, liquid) 37) 1.645 (25℃/4℃) 6)
溶解度: 水との混合性:激しい反応 5)
アルコール、フェノール、アミン他多くの物質と激しく反応する。 5)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: 燃焼しない
分解温度: データなし
臭いのしき(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  燃焼しない
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 加熱により分解して、塩化水素、リン酸化物などの煙霧を生成する。
危険有害反応性可能性: 水、アルコール、フェノール、アミン他多くの物質と激しく反応する。 5)
避けるべき条件: 加熱、可燃性材料、混触危険物質などとの接触回避。
混触危険物質: アルコール、フェノール、アミン類、金属(ニッケル、鉛を除く)。
危険有害な分解生成物: 加水分解して、リン酸と塩化水素を生成する。 18)
熱により分解してリンの塩化物や酸化物の煙霧を発生する。 18)

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 36mg/kg 9)
経口 ラット LD50 380mg/kg 9) ,36)
吸入 ラット LC50 48.4ppm/4H(0.030mg/L/4H ) 36)
吸入 ラット LC50 32ppm/4H(0.2mg/L/4H ) 9)
皮膚腐食性・刺激性: ヒト及び動物で強い皮膚刺激性を示し、腐食を引き起こす。 3) ,36)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: ヒト及び動物に重篤な眼への刺激性が報告されている。  3) ,5) ,6) ,36)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: データなし
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: データなし
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
動物試験で刺激性以外の特定臓器に対する影響がほとんどない。 14)
呼吸器及び中枢神経系に対する刺激性が報告されている。 5) ,6)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトに中枢神経系と呼吸器系への影響があり、気管支炎、肺炎、肺水腫、肺気腫及び腎炎を誘発するとあるが、濃度は不明である。 3) ,14)
ヒトに呼吸器への影響が報告されている。動物実験では、区分1のガイダンス濃度内で呼吸器の他生化学的な諸影響が見られている。 36)
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
情報なし

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1810
Proper Shipping Name: Phosphorus oxychloride
Class: 8
Packing Group: II
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 forbidden
国内規制
陸上規制情報 消防法、毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1810
品名: オキシ塩化リン
クラス: 8
容器等級: II
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 輸送禁止。
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第103号)
毒劇物取締法 毒物
(指定令第1条)
消防法 法第9条の2貯蔵等の届出を要する物質危険物規制令第1条の10(省令第1条-1 塩化ホスホリル)
船舶安全法 腐食性物質
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 輸送禁止

16.その他の情報
参考文献
1) Merck(13th, 2001)
2) ホンメル (1991)
3) ACGIH (1986)
4) SIDS (1999)
5) ICSC (J) (1994)
6) HSDB(2005)
7) EHC 207 (1998)
8) ATSDR(1994)
9) NIOSH : Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (2003)
10) Chemical Safety Data Sheets;The Royal Society of Chemistry UK No.42
11) 日本産業衛生学会 (2004)  
12) Sax(11th, 2004)
13) DFGOT vol. 12.(1999)
14) Patty's Industrial Hygiene and Toxicology, (51th, 2001)
15) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 (1992)
16) 後藤稠 他編:産業中毒便覧、医歯薬出版(株)(1977)
17) ザックス 有害物質のデータブック 藤原鎮男監訳 丸善 (1990)
18) 危険物ガイド 消防庁危険物規則課監修 東京法令出版(1993)
19) 発がん性物質の分類とその基準第6版 日本化学物質安全・情報センター (2004)
20) Patty's Industrial Hygiene and Toxicology, 4th ed. Vol.II Part D (1994)
21) Occupational Safety and Health Guideline by NIOSH
22) 通産省:化審法の既存化学物質安全性点検データ集  (1992)
23) 中災防 平成4年度 国際基準に基く化学物質危険有害表示制度の研究報告書
24) 石油化学工業協会;MSDS 酢酸エチル (1998)
25) 労働省:労働安全衛生法 有害性調査制度に基づく 既存化学物質変異原性試験データ集 (1996)
26) International Chemical Safety Cards, IPCS, No. 43
27) (財)化学物質評価研究機構:既存化学物質安全性評価シート 1巻
28) Details on Substances Classified in Annex Ito Directive 67/548/EEC
29) Lide (85th, 2004-2005)
30) Howard (1997)
31) SRC (Access on Jul 2005)
32) 溶剤ポケットブック(1997)
33) 有機化合物辞典(1985)
34) Verschueren (4th, 2003)
35) IARC Suppliment(1987)
36) IUCLID (2000)
37) Weiss (2nd, 1985)
38) ACGIH (2002)
39) 混触危険Hb (第2版,1997)
40) Gangolli (2nd, 1999)
41) 安全性DB (1994)