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安全データシート
ヘキサヒドロ‐1,3,5‐トリニトロ‐1,3,5‐トリアジン
(別名 シクロナイト)
作成日2003年5月 6日
改定日2006年9月11日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: ヘキサヒドロ‐1,3,5‐トリニトロ‐1,3,5‐トリアジン
(別名 シクロナイト)
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 高性能爆薬(主として軍事用、極少量が産業用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 等級1.1
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 区分外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分3
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分3
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分外
発がん性 区分外
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(神経系、肝臓、腎臓)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(中枢神経系、造血系)
区分2(精巣)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分3
水生環境慢性有害性 区分外
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 爆弾の爆発 どくろ 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 爆発物:大量爆発危険性
飲み込むと有毒(経口)
軽度の皮膚刺激
神経系、肝臓、腎臓の障害
長期又は反復ばく露による中枢神経系、造血系の障害
長期又は反復ばく露による精巣の障害のおそれ
水生生物に有害
注意書き: 【安全対策】
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
静電気による引火を防止すること。
熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
粉砕、衝撃、摩擦のような乱暴な取扱いをしないこと。
保護面を着用すること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
炎が火薬類に届いたら消火活動をしないこと。
火災の場合に爆発する危険性あり。火災の場合に爆発する危険性。区域より退避させること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:直ちに医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
法令・規則に従って保管すること。
湿らせて保管すること。
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: ヘキサヒドロ‐1,3,5‐トリニトロ‐1,3,5‐トリアジン
(Hexahydro-1,3,5-trinitro-1,3,5-triazine)
別名: シクロナイト (Cyclonite)
シクロトリメチレントリニトラミン (RDX)
Perhydro-1,3,5-trinitro-1,3,5-triazine
化学式: C3H6N6O6
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 121-82-4
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(5)-985
分類に寄与する不純物及び安定化添加物:
濃度又は濃度範囲

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:頭痛、倦怠感、吐き気、めまい、嘔吐、痙攣、中枢神経系、肝臓、血液に影響。
皮膚:刺激。
眼:刺激。
経口摂取:吐き気、嘔吐、「吸入」の項参照。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 情報なし

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:大量の水、二酸化炭素、粉末消火剤、土
使ってはならない消火剤: 情報なし
特有の危険有害性: 当該製品は、着火後爆発の危険性があるため、直ちに避難する。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 火災が爆発に至ったら消火しないこと。
区域より退避させること。
周辺火災の場合、移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。ただし、熱にさらされている時は、移してはならない。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め適切な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
一般の人を現場が見えなくなる地点まで移動させ、窓から離れさせる。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
関係者以外の立入りを禁止する。
区域より退避させること。
風上に留まる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
電気雷管のある場所から100m以内では無線発信機の使用を禁止する。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物の除去や廃棄処理は専門家の指示による。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 十八歳未満の者は、火薬類の取扱いをしてはならない。
十八歳未満の者又は心身の障害により火薬類の取扱いに伴う危害を予防するための措置を適正に行うことができない者として政令で定めるものに、火薬類の取扱いをさせてはならない。
熱、衝撃を避けること。
火災の場合に爆発する危険性あり、区域より退避させること。
粉砕、衝撃、摩擦のような乱暴な取扱いをしないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 貯蔵は火薬庫においてしなければならない。
貯蔵は経済産業省令で定める技術上の基準に従う。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
湿らせて保管すること。
乾燥が爆発危険有害性を増加する場合は、製造又は運転プロセスのために必要の場合を除き、適切な物質で湿らせて保管すること。
国又は都道府県の規則に従って保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 火薬類取締法及び国連輸送で規定された包装材料を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 未設定
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 未設定
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.5mg/m3 (skin)
設備対策: 容器及び受器を接地・結合すること。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 必要に応じて適切な保護衣、保護面を使用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色-白色結晶 2) , 3)
臭い: 情報なし
pH: データなし
融点・凝固点: 202℃(融点) 4)   204.1℃(融点) 3)  205-206℃(融点) 2)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 276-280℃(沸点) 9)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 0.00000055Pa (20℃) (推定値) 11)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 1.82 (20℃/4℃)(比重) 2)
溶解度: 水に可溶。 2)   59.8mg/L (水・25℃) 11)
アセトン,メタノ-ル,エーテル,酢酸エチル 氷酢酸に微溶。 熱アニリン,フェノールに易溶。 DMF,DMSOに可溶。 2) , 3)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 0.87 (測定値) 11)   
自然発火温度: 260℃ (5秒) 3)
分解温度: 約100℃ 16)
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  爆発性
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 衝撃、摩擦、又は振動を加えると、爆発的に分解することがある。
100℃もしくはそれ以下の温度で急速に分解し、発火、爆発することがある。
危険有害反応可能性: 酸化剤と反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件: 衝撃、摩擦、振動を加えないこと、混触危険物質との接触。
混触危険物質: 酸化剤、可燃性物質。
危険有害な分解生成物: 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などを発生する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラットLD50 値 119mg/kg 5) , 6)  100mg/kg 5) , 6)  71mg/kg 5) , 6) , 8)  300mg/kg 5) , 8) に基づき、計算式を適用して得られたLD50 71mg/kgから区分3とした。
飲み込むと有害(経口)
経皮 データがなく分類できない。
吸入(蒸気) データなし
吸入(粉じん) データなし
皮膚腐食性・刺激性: ヒトで皮膚刺激性は認められないとされている 6) , 8) が、ウサギ及びモルモットでそれぞれ、皮膚炎及び紅斑が引き起こされている 6) ことから、区分3とした。
軽度の皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: データ不足のため分類できない
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いた反復ばく露による試験で感作性はないと記載されている 6) が、試験法が明確でないことから、データ不足のため分類できない、とした。
生殖細胞変異原性: ラットを用いた2世代繁殖試験における優性致死に関する評価 5) 及びラットを用いた in vivo 優性致死変異原性試験 6) のいずれにおいても陰性であったことから、区分外とした。
発がん性 ACGIHでA4 5) 、EPAでC 10) と分類されていることから、区分外とした。
生殖毒性 ラットを用いた催奇形性試験においては、母獣毒性が発現する用量で胎児には最小限の影響のみが認められ、催奇形性はない 5) , 6) , 10) との記述があるが、その他に生殖能への影響や発達毒性を明確に否定する記述がないことから、データ不足のため分類できないとした。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
事故によるヒトでの経口摂取により、意識混濁、運動性又はてんかん性痙攣が認められており5) , 6) 、ラット、ミニブタ、イヌでは経口投与により、区分1のガイダンス値範囲の投与量で、痙攣などの神経系症状が発現している 5) , 6) , 8) との記述、及び、ラットに100mg/kgを経口投与した試験で肝細胞の小胞体及びミトコンドリアの膨化及び腎尿細管の変形が認められたとの記述 5) から、区分1(神経系、肝臓、腎臓)とした。
神経系、肝臓、腎臓の障害
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
複数のヒトでの中毒症例で神経過敏症状、不眠症、意識混濁及び痙攣が認められたとの記述 5) , 6) , 8) があり、又、カニクイザルでの90日間反復経口投与では、10mg/kg/dayで振戦、痙攣の発現、骨髄・脾臓での巨核球の壊死及びヘモジデリンの出現、及びラットでの12週間の混餌投与では25mg/kg/dayで神経過敏症状と痙攣が認められたとの記述 5) , 6) があり、イヌでの6週間反復経口投与で、50mg/kg/dayで同様の症状が認められ 5) , 6) , 8) , 10) との記述があることから、区分1(中枢神経系、造血系)とした。又、マウスでの24カ月間の混餌投与試験で35mg/kg/dayで精巣の変性が認められた 10) との記述から、区分2(精巣)とした。
長期又は反復ばく露による中枢神経系、造血系の障害
長期又は反復ばく露による精巣の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 =12.7mg/L 13) から、区分3とした。
水生生物に有害
水生環境慢性有害性: 急性毒性が区分3であるものの魚類(ファットヘッドミノー)の28日間NOEC=1.4mg/L 13) から判断して、区分外とした。

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上、処理を委託する。
汚染容器及び包装: 空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。

14.輸送上の注意
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 483
Proper Shipping Name: CYCLOTRIMETHYLENETRINITRAMINE, DESENSITIZED
Class: 1.1D
航空規制情報 forbidden
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 483
品名: シクロトリメチレントリニトラミン(鈍性化したもの)
クラス: 1.1D
航空規制情報 輸送禁止
特別の安全対策 輸送に際しては、移動、転倒、衝撃、摩擦、圧壊、漏洩などを生じないようにする。
火薬類の積載には電灯以外の照明を用いてはならない。
引火性液体類、可燃性物質類、酸化性物質類との混載を避ける。
火薬類の積載場所では喫煙してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法)
第2種指定化学物質
(法第2条第3項、施行令第2条別表第2)
(政令番号 第70号)
火薬類取締法 火薬類
(法第2条)
消防法 第5類自己反応性物質、ニトロ化合物
(法第2条第7項危険物別表第1)
船舶安全法 火薬類
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 輸送禁止

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (J) (1999)
2) Merck(Access on Oct 2005)
3) 有機化合物辞典 (1985)
4) Gangolli vol.7 (1st,1994 )
5) ACGIH,7th (2001)
6) ATSDR (1995)
7) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
8) PATTY,4th (1994)
9) HSDB (Access on Oct 2005)
10) IRIS (1993)
11) Howard (1997)
12) EU-Annex I
13) IARC Suppl.7 (1987)
14) 産衛学会勧告, 1991提案
15) 既存化学物質安全性点検データ
16) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 1992
17) GHS分類結果(住化・NITE)
18) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
19) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
20) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
災害事例
(1) イタリアで、作業者に1〜2日間不眠、いらいらが続いたあとで、てんかん性発作が起こっている。職場を離れれば不快感、疲れ、蓑弱などが一時的に残るが、やがて完全に回復する。