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安全データシート
ジビニルベンゼン
作成日2002年12月 21日
改定日2006年 9月 15日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: ジビニルベンゼン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: イオン交換樹脂、合成ゴム、イオン交換膜、MBS樹脂用、不飽和ポリエステル樹脂などスチレン系樹脂の架橋剤

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分4
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 タイプG
自然発火性液体 区分外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分1
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分2
発がん性 分類できない
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性 区分3(麻酔作用、気道刺激性)
(単回ばく露)
特定標的臓器・全身毒性 区分2(腎臓、肝臓、胸腺)
(反復ばく露)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分2
水生環境慢性有害性 区分2
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 腐食性 感嘆符 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 可燃性液体
飲み込むと有害のおそれ(経口)
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
強い眼刺激
遺伝性疾患のおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
眠気及びめまいのおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
長期又は反復ばく露による腎臓、肝臓、胸腺の障害のおそれ
水生生物に毒性
長期的影響により水生生物に毒性
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
炎及び高温のものから遠ざけること。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
火災の場合には適切な消火方法をとること。
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
衣類にかかった場合、直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、取り除くこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
吸入した場合、直ちに医師の診断、手当てを受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
容器を密閉して涼しく換気の良い場所で施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: ジビニルベンゼン
別名: ジビニルベンゼン(異性体混合物)(Divinylbenzene(mixed isomers))
ビニルスチレン(Vinylstyrene)
DVB
化学式: C10H10
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 1321-74-0
官報公示整理番号 (3)-14
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
医師の手当て、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
医師の手当て、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
医師の手当て、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入 : 咳、咽頭痛。
皮膚 : 発赤。
眼 : 発赤、痛み。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水
大火災:散水、噴霧水、通常の泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 可燃性物質:燃えるが、容易に発火しない。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
熱により自己分解や自然発火を引き起こすおそれがある。
特有の消火方法: 引火点が極めて低い:散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
火災の場所から適度の距離で大量の水を散水する。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不活性吸収物質で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
火気注意。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
排気用の換気を行うこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
換気の良い場所で取り扱うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 炎及び熱表面から離して保管すること。
冷暗所、換気の良い場所で保管すること。
酸化剤から離して保管する。
熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
適切な温度を超えない温度で保管すること。
他の物質から離して保管すること。
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
容器包装材料: 消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 10ppm
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
高熱工程でミスト、ガスが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣、顔面用の保護具を着用すること。
一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。
しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服(例えば、酸スーツ)及びブーツが必要である。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色液体 1)
臭い: 特徴的な臭気 1)
pH: データなし
融点・凝固点: -66.9℃〜-52℃(融点) 1) ・ -45℃(凝固点) 2)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 195℃(沸点) 1)
引火点: 76℃(開放式.) 1)
爆発範囲: 下限 1.1vol% 上限6.2vol% 1)
蒸気圧: 133 Pa (32.7℃) 1)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 0.9(水=1) 1)
溶解度: 不溶 1)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 3.59(概算値) 1)
自然発火温度: 500℃ 1)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  該当しない
粘度:  

10.安定性及び反応性
安定性: 加熱すると重合することがあり、火災又は爆発の危険を伴う。
危険有害反応可能性: 酸化剤と激しく反応する。
避けるべき条件: 加熱
混触危険物質: 酸化剤
危険有害な分解生成物: 燃焼生成ガス:一酸化炭素、二酸化炭素

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットLD50 = 2155mg/kg、4100mg/kg 3) により区分5とした
経皮:データなし
吸入(蒸気):ラットの吸入毒性7時間で645ppmで死亡が見られていない 3) がLC50 の値がないので分類できない。
吸入(ミスト):データなし
皮膚腐食性・刺激性: ヒトでmild irritationという情報3)および、ウサギに紅斑、落屑、浮腫、中程度の壊死がある 3) ので区分1とした。
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギの点眼投与でmoderate painで8日たっても結膜の炎症が残っているので 3) 区分2Aとした。
強い眼刺激
呼吸器感作性又は皮膚感作性: いずれもデータがなく分類できない。
生殖細胞変異原性: in vivo で小核試験(MN)、細胞遺伝学試験(CAs)及び姉妹染色体分体交換試験(SCEs)において陽性という結果 4) があるが、生殖細胞試験ではないので区分2とした。
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がん性: データなし
生殖毒性: ラット雌雄の経口投与により、1000 mg/kg群で乳腺の発育不良及び巣作り不良,7/9例で新生児が全例死亡。黄体数,着床痕数及び着床率の低値がみられ、また総出産児数,哺育0日の新生児数,出生率,哺育4日の生存児数及び生存率の低値,分娩率及び児の産出率の低値傾向がみられた。ただし1000mg/kg以下の用量では親動物、新生児には影響が認められなかった 5) 。親動物が毒性がない用量では次世代には毒性が発現しないことからこれらの影響は親動物の毒性による二次的なものであると確認できることにより区分2とした。
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
特定標的臓器・全身毒性 5匹のラットの吸入ばく露試験(7時間単回)では、2340ppmのばく露で鼻汁分泌が生じた。3312ppmではばく露中に運動失調、頻呼吸、眼の刺激、鼻炎が生じ、また体重減少とし眠の症状がばく露後14日以上にわたって現れた。4835ppmのばく露では24時間内に5匹中3匹が死亡し、生存した個体ではばく露後血尿及び体重の減少が見られた 3) 。これにより区分3(麻酔作用)とした。またヒトの職業ばく露による急性症状として気道刺激が報告 3) されているので区分3(気道刺激性)とした。
(単回ばく露):
眠気及びめまいのおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
特定標的臓器・全身毒性 ラット吸入ばく露で区分2の値の範囲で「胸腺サイズの減少」、またマウスの吸入ばく露で区分2の値の範囲で「小葉中心付近の肝細胞膨潤、ネフローゼ、腎臓隣接部曲尿細管の拡張」が見られる 3)
(反復ばく露):
長期又は反復ばく露による肝臓、腎臓、胸腺の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性 藻類(セレナストラム)の72時間EC50 =1.8mg/L 6) から、区分2とした。
水生生物に毒性
水生環境慢性有害性 急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=433(m-体)、402(p-体) 7) )、急速分解性がない(BODによる分解度:0% 7) )ことから、区分2とした。
長期的影響により水生生物に毒性

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 消防法の規定に従う
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
特別の安全対策 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
労働安全衛生法: 危険物・引火性の物
(施行令別表第1第4号)
消防法: 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体
(法第2条第7項危険物別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (J) (1997)
2) HSDB (2005)
3) ACGIH (2001)
4) PATTY (5th, 2001)
5) 厚労省報告 (2006)
6) 環境省生態影響試験 (1997)
7) 既存化学物質安全性点検データ
災害事例
情報なし