製品安全データシート
二酸化マンガン
作成日2003年 5月6日
改定日2006年10月31日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 二酸化マンガン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 乾電池、酸化剤(有機溶剤製造)、フェライト、マッチ原料、ガラス工業(着色・脱色)、漂泊粉原料、含マンガン銅、酸素ガス、マンガン化合物製造、医薬、煙火、特殊合金、エナメル鉄線、ゴム粘着性減少剤、電解(亜鉛及び銅面)、織物染色、肥料、染料、中間体(酸化剤、ハイドロキノン製造、安息香酸製造など)、アセチレン清浄剤、ほうろう、水の除鉄うわ薬、脱硝触媒、半導体製造薬剤

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類できない
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分外
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(神経系、呼吸器、心血管系)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 呼吸器の障害
長期又は反復ばく露による神経系、呼吸器、心血管系の障害
注意書き: 【安全対策】
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。
国・地域情報 国内法は第15章「適用法令」を参照のこと。

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 二酸化マンガン(manganese dioxide)
別名: 酸化マンガン(IV)[manganese(IV) oxide]
化学式: MnO2
化学特性(化学式又は構造式):
CAS番号: 1313-13-9
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(1)-475
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲 91%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
大量の水と石けんで洗い流す。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:気道刺激、咳、息切れ、肺炎。 症状は、遅れて現れることがある。
皮膚:発赤。
眼:発赤、痛み。
経口摂取:腹痛、吐き気。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 安静と症状の医学的な経過観察が必要。

5.火災時の措置
消火剤: 大量の散水、水噴霧。
使ってはならない消火剤: 粉末消火剤、泡消火剤
特有の危険有害性: 高温に加熱されると分解し、燃焼を加速する。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のヒューム・ガスを発生するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣(耐熱性)を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
風上に留まる。
低地から離れる。
立ち入る前に、密閉された場所を換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物は清潔な帯電防止工具を用いて集め、密閉可能な容器に回収し、後で廃棄処理する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
混触危険物質から離して保管すること。
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度:   0.2mg/m3 (Mnとして)  
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版)   0.3mg/m3 (吸入性粉じん・Mnとして)
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.2mg/m3 (Mnとして)
設備対策: 防爆の電気・換気・照明機器を使用すること。
粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、換気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 黒〜茶色の粉末 1)
臭い: 情報なし
pH: データなし
融点・凝固点: 553℃(分解する) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: データなし
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: データなし
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 5.0g/cm3 (密度) 1)
溶解度: 溶けない(水) 1)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  不燃性。 1)
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 通常の取扱条件下では安定。
553℃以上に加熱すると分解して、酸化マンガン(III)、酸素を生じ、火災の危険性を増大させる。
危険有害反応可能性: 塩酸に溶け塩素を発生する。
110℃で硫酸に溶かすと酸素を発生する。
アルミニウムと加熱すると激しいテルミット反応を起す。
酸化剤(過酸化水素、過酸化ナトリウム、過硫酸及びその塩、過塩素酸アルミニウムなど)と激しく反応する。
還元性物質(硫化水素など)と激しく反応する。
避けるべき条件: 高温加熱、混触危険物質との混合・接触。
混触危険物質: 酸化剤、還元性物質、強酸、可燃性物質、アルミニウム
危険有害な分解生成物: 加熱すると、刺激性・腐食性・毒性のガス・ヒュームが生成する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラットを用いた経口投与試験のLD50 11710mg/kg 2) に基づき、区分外とした。
経皮 データなし
吸入(ガス) GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気) データなし
吸入(ミスト) データなし
皮膚腐食性・刺激性: ヒト疫学に、「slightly irritating (わずかな刺激性)を示した」 3) とあり、刺激性を有すると考えられるが、詳細が不明であるため、分類できないとした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ヒト疫学に、「irritating(刺激性)を示した」 3) とあり、刺激性を有すると考えられるが、詳細が不明であるため、分類できないとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: ヒト疫学事例の記述に感作性を示唆するものがある 6) が、CICAD 6) では結論付けていないため、分類できないとした。
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: 毒性情報はあるが 既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
「マンガン粉じん(特にMnO2とMn3O4)の急激なばく露は肺の炎症反応生じさせ時間の経過とともに肺機能障害を誘導する。肺への毒性は気管支炎等の感染性を上昇させ、結果としてマンガン肺炎を発症させる」 6) との記載があることから、標的臓器は呼吸器と考えられる。以上より、分類は、区分1(呼吸器)とした。
呼吸器の障害
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについては、「肺炎との診断が増加」、「患者は仮面様の風貌、瞬目反射の減少、小字症、不正確腕運動、右腕振戦、右側端歯車様硬直を示した」、「患者は精神病学的及び神経学的失調を呈した」 4) 「目-手動作連動及び視覚反応不全」 6) 「心臓拡張期血圧低下発生の増加」、「視覚反応時間、目-手動作連動及び、手固定等の障害」 8) 等の記述、実験動物については、「突然運動、麻痺、神経過敏、激しい振戦、前肢の屈折―伸長運動、欠伸及びチアノーゼ。脳皮質の萎縮」、「気管支及び血管周囲硬化症と炎症」 4) 等の記述があることから、呼吸器、神経系、心血管系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で見られた。以上より、分類は、区分1(呼吸器、神経系、心血管系)とした。
長期又は反復ばく露による呼吸器、神経系、心血管系の障害
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データがないため分類できない。
水生環境慢性有害性: データがないため分類できない。

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
還元焙焼法 多量の場合は、還元焙焼法により金属マンガンとして回収する。
固化隔離法 セメントで固化し溶出量が判定基準以下であることを確認して埋立処分する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 規制なし
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第550号)
特定化学物質第2類物質、管理第2類物質
(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法)
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第311号)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (2003)
2) CERIハザードデータ集 2001-60 (2002)
3) IUCLID (2000)
4) EHC 17 (1981)
5) DFGOT vol 12 (1999)
6) CICAD 12 (1999)
7) CICAD 63 (2004)
8) ATSDR(2000)
9) EPA(1996)
10) IARC(1991)
11) 日本化学物質安全・情報センター「化審法既存化学物質安全性点検データ集」
12) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 1992
13) GHS分類結果(NITE)
14) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
15) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
16) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
17) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
18) ACGHI (2005)
災害事例
情報なし