製品安全データシート
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸1,2−無水物
作成日2002年12月 4日
改定日2006年10月30日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: 1,2,4−ベンゼントリカルボン酸1,2−無水物
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 水溶性塗料、エステル系耐熱性可塑剤原料、ポリアミドイミド原料、エポキシ樹脂硬化剤、接着剤、安定剤、繊維処理剤、界面活性剤、染料、顔料

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分5
急性毒性(経皮) 区分外
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 区分3
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
呼吸器感作性 区分1
皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器系)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器系、血管系)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分外
水生環境慢性有害性 区分外
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 腐食性 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害のおそれ(経口)
軽度の皮膚刺激
重篤な眼の損傷
吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
呼吸器系の障害
長期又は反復ばく露による呼吸器系、血管系の障害
注意書き: 【安全対策】
適切な保護眼鏡、保護面を着用すること。
換気が十分でない場合には、適切な呼吸用保護具を着用すること。
適切な保護手袋を着用すること。
粉じん、ヒュームを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
呼吸に関する症状が出た場合には、医師に連絡すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼に入った場合、直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。
国・地域情報 国内法は第15章「適用法令」を参照のこと。

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: 1,2,4-ベンゼントリカルボン酸1,2-無水物(1,2,4-Benzene tricarboxylic acid 1,2-anhydride)
別名: トリメリット酸無水物(Trimellitic anhydraide)
1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸(1,3-Dihydoro-1,3-isobenzofurancarboxylic acide)
化学式: C9H4O5
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 552-30-7
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(3)-1362
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲 95%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
呼吸に関する症状が出た場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:灼熱感、咳、息苦しさ、咽頭痛、溶血性貧血、喘息様症状、肺水腫。症状は遅れて現れることがある。
皮膚:発赤、痛み、灼熱感
眼:発赤、痛み、眼のかすみ
経口摂取:腹痛、灼熱感、吐き気、咽頭痛
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 安静と症状の医学的な経過観察が必要。

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、泡消火剤、水噴霧
大火災:散水、噴霧水、泡消火剤
使ってはならない消火剤: 情報なし
特有の危険有害性: 加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣(耐熱性)を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物は清潔な帯電防止工具を用いて集め、密閉できる空容器に回収する。後で廃棄処理する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 火気注意
接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
喘息の症状を示したことがある者には、以後この物質に触れてはならない。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
混触危険物質から離して保管すること。
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 包装、容器の規制はないが密閉式の破損しないものに入れる。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 未設定
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) TLV-TWA  0.04mg/m3
0.1mg/m3 (最大許容濃度)
ACGIH (2005年版) TLV-TWA  0.04mg/m3 (C)
設備対策: 防爆の電気・換気・照明機器を使用すること。
粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣、顔面用の保護具、保護靴等を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。

9.物理的及び化学的性質 1) , 15) , 19)
物理的状態、形状、色など: 無色の結晶又は粉末
臭い: 無臭
pH: データなし
融点・凝固点: 161-163.5℃ (融点)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 240-245℃ (沸点)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: <0.01KPa (25℃)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): データなし
溶解度: 水と反応する。 アセトン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルに可溶。
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  可燃性
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 通常の使用条件下では安定。
粉末又は顆粒状は空気と混合すると粉じん爆発の可能性がある。
危険有害反応可能性: 強酸化剤と激しく反応する。
水と徐々に反応し、トリメリット酸を生成する。
避けるべき条件 混触危険物質との接触。
混触危険物質: 強酸化剤
危険有害な分解生成物: 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素などを生成する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラットを用いた経口投与試験のLD50 2030mg/kg 3) 3340 mg/kg 3) から低い方の値を適用し、区分5の範囲内にあることを示す信頼できる証拠にもとづいて、区分5とした。
飲み込むと有害のおそれ(経口)
経皮 ウサギを用いた経皮投与試験の LD50  5600mg/kg 3) に基づき、区分外とした。
吸入(ガス) GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気) データなし
吸入(ミスト) データ不足のため、分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性: ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間) の結果の記述 「mild irritation was observed (軽度の刺激性がみられた)」 3) 又、「軽度の刺激性を有する」 2) とあることから、区分3とした。
軽度の皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述「強い刺激性を有する」 2) 「the material should be considered severe eye irritants」 3) 及び「TWAN into rabbit eye produced irritation scores of 105.6/110.0 on day 2 and 97.0/110.0 on day 7, a positive indicator that TWAN can produce ocular burns.」 9) から、非常に強い刺激性を有すると考えられ、区分1とした。
重篤な眼の損傷
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:ヒトへの健康影響の記述「本物質を扱う労働者の29%にアレルギー性呼吸器系疾患がみられた」 2) 等から、呼吸器感作性を有すると考えられ、区分1とした。
吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ
皮膚感作性: モルモットを用いた Mazimization 法、Murine lymph node assay による試験結果の記述に「陽性」 2) 等から、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
生殖細胞変異原性: in vivo 変異原性/遺伝毒性試験がなく、in vitro 変異原性試験 (染色体異常試験、突然変異試験) で陰性である 3) , 7) ため、分類できないとした。
発がん性: データなし
生殖毒性: データ不足 (生殖影響に関するデータなし) のため、分類できないとした。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトについては、「本物質にばく露された作業者で上部気道への刺激性が報告されている」 2) 等の記述、実験動物については、「肺深部迷走神経末端への直接刺激によるものと考えられる不整呼吸及び一時的な呼吸停止」 2) 「肺に赤色病巣、斑点、液体貯留」 3) 等の記述があることから、呼吸器を標的臓器と判断した。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。以上より、分類は、区分1(呼吸器)とした。
呼吸器の障害
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについては、「アレルギー性の喘息、鼻炎、過敏性呼吸器系症候群、肺疾患、貧血症候群、遅発性喘息、刺激性によるくしゃみ、鼻出血、咳、呼吸困難」 2) 「TMA関連性肺機能障害、免疫系応答」 3) 等の記述、実験動物については、「肺の出血、気管支肺炎」 2) 等の記述があることから、肺を含む呼吸器、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。以上より、分類は、区分1(呼吸器、血液系)とした。
長期又は反復ばく露による呼吸器、血液系の障害
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50  >792mg/L 11) から、区分外とした。
水生環境慢性有害性: 難水溶性でなく(水溶解度 = 1036mg/L) 13) 急性毒性が低いことから、区分外とした。

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
燃焼法 可燃性の溶剤等と共に、アフターバーナ及びスクラバ付き焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非該当
航空規制情報 非該当
国内規制
陸上規制情報 規制なし
海上規制情報 非該当
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 非該当
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
他の危険物や燃えやすい危険物に上積みしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第532号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法)
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第300号)

16.その他の情報
参考文献
1) CSC (1999)
2) CERIハザードデータ集 2001-33 (2002)
3) SIDS (2003)
4) IARC 71 (1999)
5) ATSDR (2000)
6) 環境省リスク評価 第4巻 (2005)
7) NTP DB (Access on March 2006)
8) IUCLID (2000)
9) ACGIH (2001)
10) EPA (1994)
11) CERI・NITE有害性評価書(暫定版)(2006)
12) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
13) PHYSPROP DB (2005)
14) 日本化学物質安全・情報センター「化審法既存化学物質安全性点検データ集」
15) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 (1992)
16) GHS分類結果(NITE)
17) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
18) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
19) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
災害事例
情報なし