安全データシート
トリブロモメタン
作成日2002年 3月12日
改定日2006年10月23日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: トリブロモメタン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 地質分析、重液選鉱

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分外
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 区分外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 区分外
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分2
発がん性 区分2
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(肝臓、神経系、呼吸器)
区分3(麻酔作用)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(肝臓)
区分2(腎臓、甲状腺、神経系)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 区分2
水生環境慢性有害性 区分2
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 感嘆符 健康有害性 環境
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
皮膚刺激
強い眼刺激
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
肝臓、神経系、呼吸器の障害
眠気及びめまいのおそれ
長期又は反復ばく露による肝臓の障害
長期又は反復ばく露による腎臓、甲状腺、神経系の障害のおそれ
水生生物に毒性
長期的影響により水生生物に毒性
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
【応急措置】
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合には外して洗うこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された保護衣を再使用する場合には洗濯すること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報 国内法は第15章「適用法令」を参照のこと。

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: トリブロモメタン(Tribromomethane)
別名: メチルトリブロマイド(Methyl tribromaide)
化学式: CHBr3
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 75-25-2
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(2)-40
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲 99%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
医師の手当、診断を受けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:咳、めまい、頭痛、顔面紅潮、流えん、運動障害、息苦しさ、記憶喪失、ショック状態、意識喪失。症状は遅れて現れることがある。
皮膚:発赤。皮膚から吸収される可能性あり。
眼:催涙、発赤、痛み。
経口摂取:灼熱感、錯乱の他「吸入の項」を参照。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 安静と症状の医学的経過観察が必要。

5.火災時の措置
消火剤: 不燃性。周辺の火災状況に適応する消火剤を使用。
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
周辺の施設には、散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣(耐熱性)を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
眼に入れないこと。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 混触危険物質から離して保管する。
容器は暗所に保管すること。
床面に沿って換気する。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 未設定
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版)   1ppm 10.3mg/m3
ACGIH (2005年版) TLV-TWA 0.5ppm Skin A3
設備対策: 高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 必要に応じて適切な保護衣、保護面、防護長靴(耐油性)等を使用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質 9) , 14)
物理的状態、形状、色など: 無色液体 1)
臭い: 特異臭 1)
pH: データなし
融点・凝固点: 8.3℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 149-152℃(沸点) 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 0.7kPa(20℃) 1)
蒸気密度(空気 = 1): 8.7 1)
比重(密度): 2.9(密度) 1)
溶解度: 0.1g/100mL(水・20℃) 1)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 2.38 1)
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  非該当
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 加熱すると分解し、有毒で腐食性のあるヒュームを生成する。
反応性 粉末の状態で、酸化剤、塩基と激しく反応し、殆んどの金属を腐食する。
塩基性の条件下で、アルカリ金属、粉末アルミニウム、粉末亜鉛、粉末マグネシウム、アセトンと反応して火災と爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件: 高温、混触危険物質との接触。
混触危険物質: アルカリ金属、粉末アルミニウム、粉末亜鉛、粉末マグネシウム、アセトン
危険有害な分解生成物: 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素、臭化水素、臭素などを発生する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラットを用いた経口投与試験のLD50 = 933mg/kg 2) 2040mg/kg 2)  2440mg/kg 2) に基づき、計算式を適用して得られたLD50 = 107mg/kg から、区分4とした。
飲み込むと有害(経口)
経皮 データ不足のため分類できない。
吸入(ガス) GHSの定義による液体であるため、分類対象外とした。
吸入(蒸気) データなし
吸入(ミスト) データなし
皮膚腐食性・刺激性: ウサギの皮膚刺激性試験で中等度の刺激性がみられた 4) から、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、中等度の刺激性を示す 4) から、区分2Aとした。
強い眼刺激
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: 経世代異原性試験/生殖細胞 in vivo 変異原性試験でデータがなく、体細胞 in vivo 変異原性試験で陽性結果があり、生殖細胞 in vivo 遺伝性試験で陽性の結果がない 2) ことから、区分2とした。
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がん性: IARCでグループ3 5) に分類されているが、EPA でグループB2 7) ACGIH でA3 6) に分類されていることから、区分2とした。
発がんのおそれの疑い
ACGIH A3(動物発がん性物質)
生殖毒性: 母動物に毒性が発現する用量で全胚死亡がみられた 2) ことから、区分2とした。
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトについては、強い肝障害作用、中枢神経系の抑制作用、肺水腫 2) の記述があることから、肝臓、中枢神経系、呼吸器が標的器官と考えられ区分1に分類する。 又、麻酔作用 2) 吸入すると気道、咽頭、喉頭に刺激性を示す 6) の記述があり、区分3に該当する。 実験動物については、肝臓、腎臓、中枢神経、呼吸器であるががその用量は比較的高く、区分2のガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は、区分1(肝臓、神経系、呼吸器)、区分3(麻酔作用)とした。
肝臓、神経系、呼吸器の障害
眠気又はめまいのおそれ
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
実験動物については、肝細胞の空胞化 2) 肝臓の巣状炎症、肝細胞の有糸分裂像増加、腎臓の尿細管上皮の過形成、糸球体の変性 2) 甲状腺肥大、し眠、運動失調 2) の記述があることから、肝臓、腎臓、甲状腺、神経系が標的器官と考えられた。これらのうち、肝臓は区分1、腎臓、甲状腺、神経系は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。以上から、分類は、区分1(肝臓)、区分2(腎臓、甲状腺、神経系)とした。
長期又は反復ばく露による肝臓の障害
長期又は反復ばく露による腎臓、甲状腺、神経系の障害のおそれ
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: 魚類(シープスヘッドミノー)の96時間LC50 = 7100μg/L 3) 他から、区分2とした。
水生生物に毒性
水生環境慢性有害性: 急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF = 21) 11) 急速分解性がない(直接測定(GC)による分解度:0%) 11) ことから、区分2とした。
長期的影響により水生生物に毒性
13.廃棄上の注意:

残余廃棄物: 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
焼却 可燃性の溶剤等と共に、アフターバーナ及びスクラバ付き焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する。
活性汚泥処理 低濃度の廃水は活性汚泥処理装置で処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2515
Proper Shipping Name: BROMOFORM
Class: 6.1
Packing Group: III
Marine Pollutant: P
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 2515
Proper Shipping Name: Bromoform
Class: 6.1
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 規制なし
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2515
品名: ブロモホルム
クラス: 6.1
容器等級: III
海洋汚染物質:
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2515
品名: ブロモホルム
クラス: 6.1
容器等級: III
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法)
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第222号)
化審法 第2種監視化学物質
(法第2条第5項)
船舶安全法 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 毒物類・毒物
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (2004)
2) CERI・NITE有害性評価 No.38 (2004)
3) 環境省リスク評価第2巻(2003)
4) CERIハザードデーター集 2001-11 (2001)
5) IARC (2002)
6) ACGIH(2001)
7) EPA (2002)
8) NTP DB (2005)
9) 日本化学物質安全・情報センター「化審法既存化学物質安全性点検データ集」
10) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 1992
11) GHS分類結果(NITE)
12) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
13) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
14) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」(2005)
15) ACGIH(2005)
災害事例
情報なし