安全データシート
コバルト
作成日2002年12月25日
改定日2006年10月23日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: コバルト
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 磁性材料、特殊鋼、超硬工具、触媒、合金、メッキの原料、乾燥剤

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分外
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 区分1
皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 区分2
生殖毒性 区分2
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 区分4
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓の障害
呼吸器への刺激のおそれ
長期又は反復ばく露による呼吸器の障害
長期的影響により有害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
必要に応じて個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
適切な保護手袋を着用すること。
換気が十分でない場合には、適切な呼吸用保護具を着用すること。
粉じん、ヒュームの吸入を避けること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。

取り扱い後はよく手を洗うこと。

環境への放出を避けること。
【応急措置】
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
呼吸に関する症状が出た場合には、医師に連絡すること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを求めること。
ばく露又はその懸念がある場合、医師の手当、診断を受けること。
漏出物は回収すること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務を委託すること。
国・地域情報 国内法は第15章適用法令を参照のこと。

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: コバルト(Cobalt)
別名:
化学式: Co
化学特性(化学式又は構造式):
CAS番号: 7440-48-4
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
該当しない
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲 99.3%以上

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入:咳、息苦しさ、息切れ、喘息様反応。症状は、遅れて現れることがある。
皮膚:刺激、アレルギー反応。れて現れることがある。
眼:刺激、発赤、皮膚の乾燥
経口摂取:複痛、嘔吐
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項: 安静と症状の医学的な経過観察が必要。

5.火災時の措置
消火剤: 特殊粉末消火剤、ソーダ灰、石灰、乾燥砂
使ってはならない消火剤: 二酸化炭素、散水、泡消火剤
特有の危険有害性: 加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
密閉法、窒息法消火が望ましい。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(8.ばく露防止及び保護措置の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
環境に対する注意事項: 環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物は清潔な帯電防止工具を用いて集め、密閉可能な容器に回収し、後で廃棄処理する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気・全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
粉じん、ヒュームの吸入を避けること。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 容器を密閉して保管すること。
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 0.02mg/m3
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2012年版) 0.05mg/m3 (Coとして)
生物学的許容値 血液中コバルト 3μg/l
ACGIH(2012年版) TLV-TWA 0.02mg/m3 (Coとして)
A3; BEI 尿中コバルト 15μg/L; 血液中コバルト 1μg/L
設備対策: 粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、換気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 必要に応じて適切な保護衣、保護面等を使用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質 1) , 12) , 16)
物理的状態、形状、色など: 灰白色六方晶系結晶粉末
臭い: 無臭
pH: データなし
融点・凝固点: 1493℃ (融点)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 2870℃ (沸点)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: データなし
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 8.9 (比重)
溶解度: 水に不溶。希酸に可溶。アルカリ水溶液に不溶。
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  粉末や顆粒状で空気と混合すると、粉じん爆発の可能性がある。1)
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 加熱及び水との接触には安定。
空気中で自然発火する。
危険有害反応可能性: 強酸化剤と反応する。
酸素と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
酸と激しく反応し、水素を発生する。
避けるべき条件: 混触危険物質との接触。
混触危険物質: 強酸化剤、酸
危険有害な分解生成物: 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素、塩化水素などを発生する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラットを用いた経口投与試験のLD50 = 6171mg/kg 2) に基づき、区分外とした。
経皮 データなし
吸入(ガス) GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気) データなし
吸入(ミスト) データが不十分のため、分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性: データなし
眼に対する重篤な損傷・刺激性: データなし
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:日本職業・環境アレルギー学会特設委員会にて気道感作性ありと分類しているため、区分1とした。
吸入するとアレルギー,喘息又は呼吸困難を起こすおそれ
皮膚感作性:日本職業・環境アレルギー学会特設委員会にて皮膚感作性ありと分類しているため、区分1とした。
アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: ACGIH でA3(cobalt and inorganic compoundsとして) 6) IARCでグループ 2B(cobalt and cobalt compoundsとして) 10) 日本産業衛生学会で2B(コバルト及びコバルト化合物として) 4) であることから区分2とした。
発がんのおそれの疑い
ACGIH A3(動物発がん性物質)
IARC グループ2B(ヒトに対して発がん性があるかもしれない)
生殖毒性: 親動物の一般毒性についての記述に関する記載はないが、精巣の組織学的変化や次世代の生存率の減少などがみられている 8) , 10) との記載により、区分2とした。
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトについては、気管支への刺激性 8) 等の記述があることから、気道刺激性をもつと考えられた。以上より、分類は、区分3(気道刺激性)とした。
呼吸器への刺激のおそれ
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ヒトについては、呼吸器への刺激性、肺機能低下、喘鳴、喘息、肺炎、線維化、心筋症、心室への機能的影響、心臓肥大、コバルトの職業ばく露が原因である心不全 8) 等の記述があることから、呼吸器、心臓が標的臓器と考えられた。しかし、心臓への影響は二次的なものと判断し、これを採用しなかった。以上より、分類は、区分1(呼吸器)とした。
長期又は反復ばく露による呼吸器の障害
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: LC50 ≦100mg/L データが存在するものの、金属であり水中での挙動が不明であるため、区分4とした。
長期的影響により有害のおそれ

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
元素状態にある物質は、再利用のために回収する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1383
Proper Shipping Name: PYROPHORIC ALLOY, N.O.S.
Class: 4.2
Packing Group: I
UN No.: 3089
Proper Shipping Name: METAL POWDER, FLAMMABLE, N.O.S.
Class: 4.1
Packing Group: II
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 1383
Proper Shipping Name: Pyrophoric alloy, n.o.s.
Class: 4.2
Packing Group: I
UN No.: 3089
Proper Shipping Name: Metal powder, flammable, n.o.s.
Class: 4.1
Packing Group: II
国内規制
陸上規制情報 規制なし
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1383
品名: 自然発火性合金(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 4.2
容器等級: I
海洋汚染物質: 非該当
国連番号: 3089
品名: 金属粉末(可燃性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 4.1
容器等級: II
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 1383(輸送禁止)
国連番号: 3089
品名: 金属粉末(可燃性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
クラス: 4.1
容器等級: II
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第172号)
名称等を表示すべき有害物
(法第57条、施行令第18条)
(政令番号 第9号の4)
特定化学物質第2類物質、管理第2類物質
(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第5号)
特定化学物質特別管理物質
(特定化学物質障害予防規則第38条の3)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法)
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第100号)
船舶安全法 可燃性物質類・自然発火性物質
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
可燃性物質類・可燃性物質
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 輸送禁止(可燃性物質類・自然発火性物質
(施行規則第194条危険物告示別表第1)
可燃性物質類・可燃性物質
(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (2004)
2) RTECS (2004)
3) SIDS (2003)
4) 日本産業衛生学会 (2005)
5) 環境省リスク評価 第3巻 (2004)
6) ACGIH (7th, 2001)
7) NTP DB (Access on February 2006)
8) ATSDR (2004)
9) EPA (1998)
10) IARC (1991)
11) 日本化学物質安全・情報センター化審法既存化学物質安全性点検データ集
12) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 (1992)
13) GHS分類結果(NITE)
14) 日化協緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)
15) 日化協化学物質法規制検索システム(CD-ROM) (2005)
16) 日本ケミカルデータベース(株)化学品総合データベース(2005)
17) Amoore,J.E. and Haulata,E. Jouranal of Applied Toxicology, 3(6) 272 (1983)
災害事例
情報なし