安全データシート
クリソタイル
作成日2003年05月06日
改定日2006年01月12日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: クリソタイル
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急時の電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 防音・断熱用として学校や各建築物、船舶、鉄道車両などに広範囲で使用された。日本では2004年10月、使用が禁止。しかし、一部の用途に限っては、2006年までその使用は認められている。
2008年までには全面禁止される予定。

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 区分外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 区分外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 区分外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 区分外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 分類できない
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん) 分類できない
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分2
発がん性 区分1A
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(肺)  
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(肺) 
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
絵表示又はシンボル: 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 遺伝子性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれ
肺の障害
長期又は反復ばく露による肺の障害
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
ばく露又はその懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報:

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: クリソタイル(Chrysotile)
別名: アスベスト、クリソタイル(Asbestos, chrysotile)
白石綿(White asbestos)
サーペンタインクリソタイル(Serpentine chrysotile)
化学式: Mg3Si2O5(OH)4
化学特性(化学式又は構造式):
CAS番号: 12001-29-5
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
化審法:対象外(天然物)
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 速やかに口をすすぎ、医師の診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: せき、たん、息切れ、胸痛。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 不燃性
特有の消火方法: 粉じんの発生を抑制する。
周辺の火災時: 全ての消火薬剤の使用可
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器と化学用保護衣を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や粉じんやヒュームの吸入を避ける。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: 床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
接触、吸入又は飲み込んではならない。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 特別に技術的対策は必要としない。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 施錠して貯蔵すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 5μm以上の繊維として 0.15 本/cm3 (石綿)
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) クリソタイルのみのとき: 0.15繊維/mL(過剰発がん生涯リスク =1/1000)
クリソタイルのみのとき: 0.015/mL(過剰発がん生涯リスク =1/10000)
クリソタイル以外の石綿繊維を含むとき: 0.03繊維/mL(過剰発がん生涯リスク =1/1000)
クリソタイル以外の石綿繊維を含むとき: 0.003繊維/mL(過剰発がん生涯リスク =1/10000)
ACGIH(2005年版) TLV-TWA 0.1f/cc  A1
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手袋を着用すること。
眼の保護具: 眼、顔面用の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 白色〜灰緑色、シルク光沢の天然鉱物繊維 8)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 600-850℃ 8)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 適用されない(高温で分解)
引火点: 不燃性 26)
爆発範囲: 不燃性 26)
蒸気圧: 20℃における蒸発は無視できる。 1)
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 2.2-2.6 8)
溶解度: 不溶(水) 29)
不溶(有機溶媒) 26)
オクタノール/水分配係数: log Pow = -0.66 (測定値) 26)
自然発火温度: 不燃性 26)
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  不燃性 26)
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: これは安定な物質である。
危険有害反応可能性: 通常の条件では危険有害な反応は起こらない。
避けるべき条件: 粉じんの発生を防止する。
混触危険物質: なし
危険有害な分解生成物: なし

11.有害性情報
急性毒性: 経口 情報なし
        経皮 情報なし    
        吸入 情報なし    
皮膚腐食性・刺激性: 情報なし
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 情報なし
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 情報不十分
生殖細胞変異原性: ラット骨髄細胞染色体異常試験 35) 、及びラット中皮腫細胞染色体異常試験 26) (体細胞 in vivo 変異原性試験)にて陽性結果が得られている。
遺伝子疾患のおそれの疑い(区分2)
発がん性: IARC:1、産衛学会:1、ACGIH:1、NTP:K、EU:1、EPA:A
発がんのおそれ(区分1A)
IARC グループ1(ヒトに対して発がん性がある)
生殖毒性: 情報不十分
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
マウスでのデータ(線維症、吸入5時間) 26) の4mg/m3 は、4時間に補正すると0.005mg/Lとなる。区分1となる。
肺の障害(区分1)
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
クリソタイル関連労働者にて肺線維症が有意にみられたこと 35) 、及び動物試験にて0.005mg/L(換算値)にて肺線維症がみられている 26) 。区分1(肺)とした。
長期又は反復ばく露による肺の障害(区分1)
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2590
Proper Shipping Name: WHITE ASBESTOS
Class: 9
Packing Group: III
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 ICAO/IATAの規定に従う。
UN No.: 2590
Proper Shipping Name: White asbestos
Class: 9
Packing Group: III
国内規制
陸上規制情報 非該当。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2590
品名: ホワイトアスベスト
クラス: 9
容器等級: III
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 航空法の規定に従う。
国連番号: 2590
品名: ホワイトアスベスト
クラス: 9
等級: III
特別の安全対策 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 製造等が禁止される有害物質(法第55条、施行令第16条第1 石綿)
名称等を表示すべき有害物
(施行令第18条)
特定化学物質第2類物質、管理第二類物質
(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号)
特定化学物質特別管理物質
(特定化学物質障害予防規則第38条の3)
特定石綿等(石綿障害予防規則第2条1-3)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
労働基準法: がん原性化学物質
(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第7号)
じん肺法 粉じん作業(石綿、粉じん)
船舶安全法 有害性物質
航空法 運送禁止(アスベスト類)

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (2002)
2) Merck (13th, 2001)
3) IMDG (2004)
4) ホンメル (1991)
5) SRC (2005)
6) HSDB (2005)
7) Lange (16th, 2005)
8) PATTY (5th, 2001)
9) IUCLID (2000)
10) ACGIH (2001)
11) RTECS (2004)
12) HSDB(2001)
13) SITTIG (47th, 2002)
14) ICSC (J) (1994)
15) Chapman (2005)
16) Lange (16th, 2005)
17) GESTICS (2005)
18) Howard (1997)
19) Weiss (2nd, 1985)
20) DFGOT, vol.17(2002)
21) Verschueren (4th, 2003)
22) CERIハザードデータ集 (2000)
23) IARC MONOGRAPHS SUPPLEMENT 7 (1987)
24) SIDS (2003)
25) ECETOC JACC 10 (1989)
26) ATSDR(2001)
27) CaPSAR (1999)
28) SIAR (1997)
29) SAX (11th, 2004)
30) 産衛学会勧告 (2004)
31) 有機化合物辞典
32) IRIS (2004)
33) 環境省リスク評価第3巻 (2004)
34) ALGY学会(2004)
35) EHC 203 (1998)
36) EU-Annex I
災害事例
情報なし