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安全データシート
アンチモン化水素
作成日2002年 11月 24日
改定日2006年 10月 16日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: アンチモン化水素
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 半導体製造用ガス

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 区分1
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 区分外
高圧ガス 液化ガス
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 分類対象外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 分類できない
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:気体) 分類できない
急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類対象外
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性 区分1(呼吸器系、腎臓、血液)
(単回ばく露)
特定標的臓器・全身毒性 分類できない
(反復ばく露)
吸引性呼吸器有害性 分類対象外
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 炎 ガスボンベ 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 極めて可燃性・引火性の高いガス
加圧ガス:熱すると爆発するおそれ
呼吸器系、腎臓、血液の障害
注意書き: 【安全対策】
熱、火花、裸火のような着火源から遠ざけること。−禁煙。
ガスを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
漏洩ガス火災の場合、漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
漏洩ガス火災の場合、安全に対処できるならば着火源を除去すること。
ばく露した場合、医師に連絡すること。
【保管】
日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: アンチモン化水素(Hydrogen antimonide)
別名: スチビン(Stibine)
水素化アンチモン(Antimony hydride)
三水素化アンチモン(Antimony trihydride)
化学式: H3Sb
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 7803-52-3
官報公示整理番号 該当しない
(化審法・安衛法):
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
医師に連絡すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
医師に連絡すること。
飲み込んだ場合: 口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師に連絡すること。
医師に連絡すること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 吸入した場合:咳、頭痛、息苦しさ、吐き気、咽頭痛、脱力感、喘鳴、弱脈と不整脈、ヘモグロビン尿症
皮膚に付着した場合:凍傷
眼に入った場合:発赤
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤
大火災:散水、噴霧水
使ってはならない消火剤:
特有の危険有害性: 容易に発火するおそれがある。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
破裂したボンベが飛翔するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
安全に対処できるならば着火源を除去すること。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
ガスの滞留しない場所で風上より消火し、漏洩防止処置を施す。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
漏洩部や安全装置に直接水をかけてはいけない。凍るおそれがある。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
ガス漏れを止められないときは、漏洩ガスの火災は消火しない。
粉末消火器を用いて初期消火に努める。この際防毒マスク等を着用する。
損傷したボンベは専門家だけが取り扱う。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め適切な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
気体が消えるまで区域を隔離する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、ポンプで汲み取る。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
可能ならば、漏洩している容器を回転させ、液体でなく気体が放出するようにする。
蒸発を抑え、蒸気の拡散を防ぐため散水を行う。
漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
容器は丁寧に取り扱い、衝撃を与えたり、転倒させない。
容器の取り付け、取り外しの作業の際は、漏洩させないよう、十分注意する。
使用後は、バルブを完全に閉め、口金キャップを取り付け、保護キャップを付ける。
漏洩すると、発火、爆発する危険性がある。
内容物を故意に吸い込まないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
吸入すると、死亡する危険性がある。
目や口に入ると刺激を受けることがあり、使用の際には十分気を付けること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 専用の高圧ガス容器に保管する。
容器は保安上使用開始後1年以内に、速やかに販売事業者に返却すること(高圧ガス保安協会指針)。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
着火源から離して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。
酸化剤、酸素、爆発物、ハロゲン、圧縮空気、酸、塩基、食品化学品等から離して保管する。
容器は直射日光や火気を避け、40℃以下の温度で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 高圧ガス保安法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2006年版) 設定されていない。
ACGIH (2006年版) TLV-TWA 0.1ppm
設備対策: 防爆仕様の局所排気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 保温用手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な保護眼鏡を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色の圧縮ガス 14)
臭い: 特徴的な臭気 14)
pH: データなし
融点・凝固点: -88℃(融点) 14)
沸点、初留点及び沸騰範囲: -18℃(沸点) 14)
引火点: 引火性ガス 14)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: データなし
蒸気密度(空気 = 1): 4.4 14)
比重(密度): 2.26(−25℃) 14)
溶解度: 溶けにくい(水) 14)
データなし(有機溶媒)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  データなし
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 室温では徐々に、しかし200℃では急速に分解し、金属性アンチモン、水素を生じる。
危険有害反応可能性: 塩素と爆発的に反応して三塩化アンチモンと塩化水素を生じる。
オゾンや濃硝酸に触れると火災と爆発の危険をもたらす。
酸に触れると有毒なガス(スチビン)を発生することがある。
避けるべき条件: 加熱
混触危険物質: 塩素、アルカリ、オゾン、濃硝酸
危険有害な分解生成物: 金属性アンチモン、水素

11.有害性情報
急性毒性: 経口:データなし
経皮:データなし
吸入(気体):データなし
皮膚腐食性・刺激性: データなし
眼に対する重篤な損傷・刺激性: データなし
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性: データなし
発がん性: データなし
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性 ヒトについては「衰弱、頭痛、腹痛、悪心をともなう血尿」10) 等の記述があり、実験動物では「尿細管拡張、肺水腫」26) 、「肺の鬱血及び水腫」10)、「激しい貧血、血色素尿症」6) 等の記述があることから、血液、呼吸器及び腎臓が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で見られた。以上より分類は区分1(腎臓、呼吸器、血液)とした。
(単回ばく露):
呼吸器系、腎臓、血液の障害
特定標的臓器・全身毒性 データなし
(反復ばく露):
吸引性呼吸器有害性: 常温気体であり、分類対象外である。

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境慢性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 高圧ガスを廃棄する場合は、高圧ガス保安法一般高圧ガス保安規則の規定に従うこと。
汚染容器及び包装: 高圧ガスの容器を廃棄する場合は、製造業者等専門業者に回収を依頼すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 2676
Proper Shipping Name: STIBINE
Class: 2.3
Sub Risk: 2.1
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 Forbidden
国内規制
陸上規制情報 高圧ガス保安法の規定に従う。
毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 2676
品名: スチビン
クラス: 2.3
副次危険: 2.1
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 輸送禁止
特別の安全対策 移動、転倒、衝撃、摩擦などを生じないように固定する。
運搬時には容器を40℃以下に保ち、特に夏場はシートをかけ温度上昇の防止に努める。
火気、熱気、直射日光に触れさせない。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
鋼材部分と直接接触しないようにする。
重量物を上乗せしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
危険物・可燃性のガス
(施行令別表第1第5号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号  第25号)
毒物及び劇物取締法: 劇物
(指定令第2条)
労働基準法: 疾病化学物質
(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号)
高圧ガス保安法: 圧縮ガス
(法第2条1)
船舶安全法: 高圧ガス
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法: 輸送禁止

16.その他の情報
参考文献
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50) CERI・NITE有害性評価書 No.16 (2004)
51) 既存化学物質安全性点検データ
52) CERI・NITE有害性評価書 No.12 (2004)
53) NFPA (13th, 2001)
54) NITE初期リスク評価書No.16 (2005)
55) ACGIH-TLV (2005)
56) Dean (15th Ed.)
災害事例
情報なし