「4 危険性又は有害性の特定」で特定された危険性又は有害性について、どの程度労働災害や健康障害が発生しやすいのかを、@リスクが発生する頻度、Aリスクが発生したときに負傷又は疾病になる可能性、B負傷又は疾病の重篤度の3つの要素による『加算方式』でリスクを見積もります。
頻度: | 作業中に危険性又は有害性と労働者が接触し、リスクが発生する頻度(接している時間)を判断する。 |
可能性: | リスクが発生したときに労働災害を避けることができるのかを、安全方策の状況や作業者の行動等から判断する。 |
重篤度: | リスクが発生し、労働災害になったときに想定される最も大きな負傷又は疾病を判断する。 |
リスクの見積もり手法には、さまざまな手法があります。厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では、3つの手法を紹介しています。
例1: マトリクスを用いた方法
例2: 数値化による方法
例3: 枝分かれ図を用いた方法
なお、有害な粉じん等、長期ばく露による健康障害のリスクを見積もる手法などもあります。
◆危険予知(KY)活動との違い◆
KY活動もリスクアセスメントと同じく災害防止対策のための予防的手段として事業場で広く活用されています。KY活動は、その日その日、現場で作業を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を作業者がお互いに出し合い、話し合って共有化し、危険のポイントと行動目標を定め、作業の要所要所で指差し呼称を行って安全を確認してから行動する活動です。つまり、日々実践することにより作業者のリスクに対する感受性を鍛え、リスクを回避することで労働災害を生じないようにする活動です。
それに比べリスクアセスメントは、職場のリスクを定量的に見積もり、対策の優先度を決め、リスク低減措置としてリスクそのもの(機械設備や化学物質等)の除去や低減、適切なマニュアルの作成、保護具の使用などの措置を管理者や経営層を含めて検討し、措置を実施することで労働災害が生じないようにする取り組みです。