「5. リスクの見積り」の結果、原則として優先度が高いと評価されたリスクから安全衛生部門の長が中心となって、リスクの除去・低減措置案を検討します。
リスク低減措置の優先順位を基本に、費用対効果を踏まえながら、具体的な措置案(対策案)を複数検討し、その中から最適なものを採用します。ただし、可能な限り高い優先順位のリスク低減措置(設備面等の抜本対策)を実施することが重要です。
検討されたリスク低減措置の実施が作業性、生産性や品質などにどのような影響を及ぽすのか、作業者などと相談しておくことが大切です。
実施するリスク低減措置と実施の仕方が決定したら、実施担当者がリスク低減措置を実施します。なお、リスク低減措置実施後には、特定された危険性又は有害性について、作業者の意見を求め、再度、リスクの見積りを行い、リスク低減措置の効果と作業性、能率等に及ぼす影響を確認する必要があります。
また、元請業者(ビル管理会社等)の設備等に対してリスク低減措置が必要な場合には、元請業者とのミーティング等の場で検討した内容について伝えることも大切です。
リスク低減措置を実施しても、技術上の問題などで、現状ではこれ以上リスクを低減できず、やむを得ず大きなリスクが残留してしまうことがあります。リスクが低滅されていないものは、無理に下げずにそのままをリスクアセスメントの実施記録に記載し、その内容を作業者に周知させるとともに、必要な保護具の使用、安全な作業手順書の徹底を作業者に教育します。
KY活動もリスクアセスメントと同じく災害防止対策のための予防的手段として事業場で広く活用されています。KY活動は、その日その日、現場で作業を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を作業者がお互いに出し合い、話し合って共有化し、危険のポイントと行動目標を定め、作業の要所要所で指差呼称を行って安全を確認してから行動する活動です。つまり、日々実践することにより作業者のリスクに対する感受性を鍛え、リスクを回避するととで労働災害を生じないようにする活動です。
一方、リスクアセスメントは、職場のリスクを定量的に見積もり、対策の優先度を決め、リスク低減措置としてリスクそのもの(機械設備や化学物質等)の除去や低減、適切なマニュアルの作成、保護具の使用などの措置を管理者や経営層を含めて検討し、措置を実施することで労働災害が生じないようにする仕組みです。