「危険性又は有害性の特定」で特定された危険性又は有害性について、どの程度のケガや健康障害が発生しやすいのかを、「[1]リスクが発生する頻度」、「[2]リスクが発生したときに負傷又は疾病になる可能性」、「[3]負傷又は疾病の重篤度」の3つの要素によりリスクを見積もります。
頻度 | 点数 | 内容の目安 |
---|---|---|
頻繁 | 4 | 1日に1回程度 |
時々 | 2 | 週に1回程度 |
ほとんどない | 1 | 半年に1回程度 |
可能性 | 点数 | 内容の目安 | |
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危険検知の可能性 | 危険回避の可能性 | ||
確実である | 6 | 事故が発生するまで危険を検知する手段がない | 危険に気がついた時点では、回避できない |
可能性が高い | 4 | 十分な注意を払っていなければ危険がわからない | 専門的な訓練を受けていなければ回避の可能性が低い |
可能性がある | 2 | 危険性又は有害性に注目していれば危険が把握できる | 回避手段を知っていれば十分に危険が回避できる |
ほとんどない | 1 | 容易に危険が検知できる | 危険に気がつけば、けがをせずに危険が回避できる |
重篤度 | 点数 | 災害の程度・内容の目安 |
---|---|---|
致命傷 | 10 | 死亡や永久的労働不能につながるけが 障害が残るけが |
重傷 | 4 | 休業災害(完治可能なけが) |
軽傷 | 2 | 不休災害(医師による措置が必要なけが) |
軽微 | 1 | 手当後直ちに元の作業に戻れる微小なけが |
加算して得られた「リスクポイント」を下表を用いて「リスク」を決めます。
リスク | 点数 (リスクポイント) |
優先度 | 取扱基準 |
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M | 12〜20 | 直ちに解決すべき問題がある | 直ちに中止または改善する |
L | 9〜11 | 重大な問題がある | 早急な改善が必要 |
K | 6〜8 | 多少問題がある | 改善が必要 |
J | 5以下 | 必要に応じて低減措置を実施すべきリスク | 残っているリスクに応じて教育や人材配置をする |
留意事項
「頻度」と「可能性」の解釈を誤らないようにしましょう。
特に、ここでいう「頻度」とは、作業中に危険性又は有害性と作業者が接触し、リスクが発生する頻度のことで、作業回数ではありません。
台車を使った荷物の運搬作業を考えた場合、リスクが発生する頻度は、荷物が崩れて落ちる頻度です。台車と荷物をひもで縛って落ちにくくする対策を採れば「リスクが発生する頻度」は低下します。
ところが、運搬作業を「リスクが発生する頻度」と考えてしまうと、落下を防ぐための対策を実施しても運搬作業の回数は毎日実施されることから「リスクが発生する頻度」は低下しないことになります。これではリスク低減措置の効果が表れなくなります。
また、「リスクが発生したときに負傷又は疾病になる可能性」は、前述の台車を使った荷物の運搬作業を考えた場合、荷物が崩れて落ちたときに足に落ちてけがをする可能性となります。この事例では、荷に注目しているため危険が把握できて、危険から回避ができると想定されますので、ここでは「可能性がある」と判断します。