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労働災害事例

フォークリフトでプレス機械を移動作業中、プレス機械が転倒して作業者が下敷となる

フォークリフトでプレス機械を移動作業中、プレス機械が転倒して作業者が下敷となる
業種 金属プレス製品製造業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) フォークリフト
災害の種類(事故の型) 激突され
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 作業箇所の間隔空間の不足
発生要因(人) 場面行動
発生要因(管理) 動いている機械、装置等に接近し又は触れる

No.100354

発生状況

この災害は、鋼製建具等金属製品製造工場において、フォークリフトでプレスを移動中にプレスが倒れ、作業者が下敷きになったものである。
 作業は、鋼材工場の一部分を仕切って、夏季に冷房することの出来る事務室を作る準備として、事務室の予定位置に置いてあるプレスやテーブルを移動させるものである。
 災害発生当日、作業者2名で作業を行い、手で動かせるものの移動を済ませた後、プレスの移動作業を始めた。
 プレス(高さ2m、重量1.3t、脚部の大きさ0.7×0.9m)の移動には、1mのフォークに幅15cm、長さ2.2m の「さや」を被せたフォークリフト(最大積載荷重2.5t)を使用することとし、作業者Aが運転した。
 先ず、フォークをプレスの脚部に差し込んだが、プレス隣の機械用の架空配線のため、フォークリフト本体を十分にプレスに近づけることができず、さやの先端が脚部から約20cm 突き出した状態で持ち上げようとした。
Aがフォークを数cm上昇させたとき、プレスの重量でさやがたわんだので、水平に戻そうとして、マストを傾けたところ、プレスが倒れ、横にいた作業者Bが下敷きになった。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 本来のフォークに「さや」を被せ、フォークの長さを延長したフォークリフトを使用し、十分にフォークを差し込まない状態で持ち上げようとしたため、プレスの重量でさやがたわみ、バランスが崩れたこと
2 フォークリフト運転技能講習を終了していない者が運転操作を行ったこと
この事業場では、フォークリフト運転技能講習終了者はいたが、特にキーの保管等の管理はされていなくて、無資格者でも容易に使用出来る状態であった。
3 作業方法の決定が担当者のみに任され、安全について十分な検討がされていなかったこと
4 安全管理体制が整備されていないこと
臨時の作業についての安全作業の徹底、フォークリフト運転等就業制限業務の無資格者の配置等について、現場の安全管理が不十分であった。

対策

この災害は、フォークリフトを使用してプレスの移動作業中に発生したものであるが、同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 フォークリフトを使用して、重心の位置高く転倒し易いプレス機械のようなものを運搬するときには、さやの先端に荷を載せるような不安定な方法を避け、フォークを十分に差して運搬するような安定した作業方法によること
2 危険な作業を含む非定常な作業を行うときには、簡単な作業であっても、現場の担当者のみに任せず、安全管理責任者が作業方法の検討を行い、安全作業計画を定めて、作業を実施すること
3 フォークリフトの運転の業務はフォークリフト運転技能講習修了者に行わせること
無資格者が安易に運転することがないように、キーの管理を徹底するとともに、運転者を指名し、フォークリフトの安全運転を徹底する必要がある。
4 安全管理体制を整備し、安全教育を実施するなど安全管理を徹底すること