停車していたダンプトラックが坂道を逸走し、下方に停車していたダンプトラックとの間にはさまれる
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | 工事現場内における自動車等乗物全般 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置の調整を誤る |
No.100341
発生状況
この災害は、公道の維持補修工事において、落石の除去および未舗装部分の窪みを修復する作業中、ダンプトラックが逸走して作業者が被災したものである。災害発生当日、現場代理人Aがドラグ・ショベルを運転し、作業員Bは4トンダンプトラックを、被災者は2トンダンプトラック(1m3弱の土砂を積載)を運転して補修対象となる道路を走行していた。
午後1時50 分頃、先行していたドラグ・ショベルが「窪み」のある箇所で停車して、代理人Aおよび作業者B、被災者の3人はそれぞれが運転していた車両から降りて、この「窪み」を埋め戻すかどうか、およそ1分程度の打合わせを行った。
打合わせの結果、この箇所では埋め戻しを行わないこととして各人が車両に戻る途中、坂の上方に停車させていた2トンダンプトラックが動き出し、被災者は逸走してきたこのダンプと4トンダンプトラックの荷台後方部分に頭部を挟まれた。
なお、2台のダンプトラックについては、始業点検、週間点検、月例点検は行われていた。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 ダンプトラックのサイドブレーキの引き方が甘かったこと
ダンプトラックを停車させていた場所は、進行方向に向かって約8度傾斜しているところで、被災者はダンプトラックを停車させた時にはエンジンは切り、サイドブレーキも引いていたが、サイドブレーキが車両を完全に停止させる位置までは十分に引かれていなかったために逸走したものと考えられる。
2 逸走してきたダンプトラックに気付かなかったこと
被災者は、日常から腰をかがめて両手を後ろに組み、下を向いて歩行する癖があり、この災害の直前に、打合せが終わってダンプトラックに戻るときも同様に下を向いて歩いていたために、逸走してきたダンプトラックに気付かず、4トンダンプトラックとの間に頭部を挟まれたものと考えられる。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 ダンプトラックなどの車両は確実に停止させておくこと
車両は、平坦な安定した場所に停車することを原則とし、車両から離れる際には、エンジンを停止して、サイドブレーキを十分に引くとともに、ギヤを入れておく必要がある。やむを得ず、傾斜地に停車する場合には、傾斜と反対方向にギヤを入れ、車輪止めを使用する等の措置が必要である。
2 作業中・移動中には、周辺の安全を確認すること
建設用機械、ダンプトラック等を使用する工事現場で作業を行っているときには、周囲の安全を確認してから歩行移動を行うことが必要である。
特に、雨天のような場合には、傘、合羽などで視界が遮られることもあるので、十分な注意が必要である。
3 安全教育を実施すること
建設機械やダンプトラックを運転する者に対しては、車両の運行あるいは停車時の安全について、十分な安全教育を実施することが必要である。