炎天下の屋上駐車場で車両の誘導・整理の作業中、熱射病に罹る
業種 | 警備業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 高温・低温環境 | |||||
災害の種類(事故の型) | その他 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100738
発生状況
この災害は、スーパーの屋外駐車場における車両の誘導・整理する作業中に発生したものである。被災者が所属する警備会社は、8月11日から15日の間スーパーの屋外駐車場での車両の誘導および整理の業務の依頼を受け、被災者他5名の警備員を派遣していた。
災害が発生した日、午前10時に、被災者は、前日および前々日同様にスーパー屋外駐車場の車両の誘導および整理の作業に就いた。そして、午後1時30分に同僚と二人で昼食をとり、昼の休憩に入った。
被災者は、休憩後も通常の作業に就いていたが、午後4時頃に、現場責任者に対して気分が悪いと訴えたが、大丈夫と言いながら作業に戻った。その後30分ほど経過したとき、現場責任者は、被災者の顔色が悪いのに気付き、自社の車に乗せて直射日光を避け、濡れタオルで顔を拭くなどしてしばらく休憩するように被災者に言い、その場を離れた。
午後5時過ぎになって、警備員の一人が、被災者が車にいないと現場責任者に告げられ、付近を探したところ、駐車場のフェンスの外側で嘔吐して倒れている被災者を見つけた。直ちに病院に収容したが、熱射病により翌朝死亡したものである。
原因
この災害は、屋外駐車場における車両の誘導・整理する作業で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1
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勤務場所である屋外駐車場において、連日35度を超える炎天下にさらされていたことから、体温調節機構の失調、体温または脳温の上昇を伴う中枢神経障害などを起こしたものと思われること。 | |
2
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炎天下での屋外作業を行うに際して、十分に休憩をとることなく、長時間肉体労働に従事していたこと。 | |
3
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熱射病に関する知識がなかったため、自らの身体の不調が熱射病によるものと気付かなかったこと。 | |
4
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現場責任者をはじめ同僚の警備員たちが、熱射病に関する知識が十分でなかったため、応急措置や医師の診察を受けるなどの措置が不十分あったこと。 |
対策
この災害は、炎天下の屋外駐車場における車両の誘導・整理する作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1
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気温条件、作業内容、労働者の健康状態等を考慮して、作業休止時間や休憩時間を確保すること。 | |
2
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作業場所にスポーツドリンクを備え付ける等水分や塩分が容易に補給できるようにすること。 | |
3
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服装は、熱を吸収、保熱しやすい服装は避け、吸湿性、通気性の良いものとし、通気性の良い帽子等を着用させること。 | |
4
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健康診断等の結果に基づき、適切な健康管理、適正配置等を行い、睡眠時間、栄養指導等日常の健康管理について指導を行うこと。 | |
5
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炎天下での作業に就く者に対して、熱中症の症状、熱中症の予防方法、緊急時の救急措置、熱中症の事例などについての教育を実施すること。 | |
6
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病院、診療所等の所在地、連絡先を把握するなど緊急連絡網をあらかじめ作成し、関係者に周知すること。 また、少しでも熱中症の症状が見られた場合は、救急措置として涼しいところで身体を冷し、水分および塩分の補給を行い、必要に応じ医師の手当を受けさせること。 |