発電所の構内を自動車で巡回中、海中に転落
業種 | 警備業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 乗用車、バス、バイク | |||||
災害の種類(事故の型) | おぼれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100565
発生状況
この災害は、発電所敷地内の巡回警備中に海中に車両とともに転落したものである。被災者の所属する会社は、原子力発電所から守衛、構内の巡回警備を請け負っており、構内には約30名が常駐している。
巡回警備は、発電所全域、建物の周囲、境界線付近の監視柵の点検、防波堤、物品揚卸場および灯台の点灯点検などを行うため、二人一組となって車両で実施している。
災害発生当日の18時すぎに警備員AとBの二人は、定められた順路で敷地内の巡回を開始し、18:15 頃に岸壁の物品揚卸場に到着して入口ゲートを開けた後、Bはゲートの監視のため車を降り、Aは一人で車を運転して物品揚卸場に向かった。
Bは、ゲートのところでAを待っていたが帰ってこないので、正門守衛室に連絡し、同僚Cの応援を得て所定の巡回経路および付近を探したが車もAも見当たらなかった。
そこで、電力会社、警察署、消防署に連絡し、合同で付近の探索を行ったが見当たらなかったので、漁船の魚群探知機で海中を捜索したところ、物品揚卸場の西側の海中に車両らしきものがあることが判明した。
ダイバーに依頼して確認した結果、車に乗ったまま死亡しているAを発見した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 岸壁付近が暗くて境界線が明らかでなかったこと 日没までは、約1時間あったが、天候の悪化により岸壁付近が通常よりも暗くて境界線が明らかでなかった。 なお、岸壁にはジブクレーンが設置されており、必要な時にはその照明を点灯することができるようになっていたが、当時は点灯されていなかった。 |
2 | 十分な高さの車止めが設置されていなかったこと 物品揚卸場の運搬道路の3方の道路端には、高さ15cm、奥行き19cm、長さ90〜200cmの車止めが設置されていたが、巡回警備に使用しているジープを止めるには十分な高さではなかった。 また、岸壁の手前に蛍光塗料による警告ライン等も表示されていなかった。 |
3 | 巡回についての要領、手順が明確に定められていなかったこと 被災者の会社では、気象条件が悪い時には岸壁付近の巡回を省略してもよいことになっていたが、電力会社や発注元からの指示ではなく、常駐者の間での暗黙の了解事項であり、その判断は個々に任されていた。 また、ジブクレーンの照明の点灯についても特段の指示はなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 施設の管理者は海中への転落防止措置を十分に行うこと | |
(1)
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車止めの高さ・幅は、その機能を発揮できるような十分な高さとする。荷の運搬に出入りする車両の条件により一定の制約がある場合には、作業をしていない場合は車止めの手前にバリケードを配置したり、警告ロープを張る。
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(2)
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岸壁のかなり手前の路面に蛍光塗料による警告表示を行う。
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(3)
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岸壁付近の巡回時に使用できる照明設備を設置し、使用させる。
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2 | 巡回要領、手順を明確に定め、周知徹底すること | |
(1)
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巡回時間、経路のほか悪天候時の省略の判断基準などについて明確に定める。
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(2)
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岸壁付近の巡回時の照明点灯手順などを定める。
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(3)
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車両の安全な運行速度を定め、徹底する。
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(4)
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施設管理者、事業者は、随時にパトロールなどを実施し、その履行状況を確認する。
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3 | 車両の制限速度、岸壁付近の巡回時の注意事項、異常または不審事項の発見時の連絡、応援体制、健康の維持などについて十分な安全衛生教育を実施すること |