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労働災害事例

ダムウェーター解体工事で、ワイヤロープを切断したため、カウンターウェイトが落下

ダムウェーター解体工事で、ワイヤロープを切断したため、カウンターウェイトが落下
業種 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) 激突され
建設業のみ 工事の種類 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事
災害の種類 その他の飛来・落下
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業手順の誤り
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100403

発生状況

 この災害は、病院の増改築工事において、既設棟の給食用ダムウェーター(簡易リフト)の解体作業中、カウンターウェイトが落下して作業者に激突したものである。
 このダムウェーター(積載荷重300s)は、地下1階から地上5階までコンクリートで囲まれた昇降路の内部に搬器、カウンターウェイト、ガイドレール等が設置されていて、開閉扉は2階を除く各階に設けられていた。
 災害発生当日、解体作業は搬器を地下1階に降ろし、(1)1階部分のコンクリート囲いを60cm程度解体し、昇降路の中に足場板を敷く、(2)5階コンクリート囲いから解体し、解体くずを昇降路内を通して1階足場板上に投下する、(3)1階から解体くずを搬出するという手順で行うこととしていた。
 この作業には、1次下請X社1名、2次下請Y社3名の作業者が従事し、まずダムウェーターの1階の開閉扉付近をコンクリートブレーカで床から約60cmまで解体した後、被災者は昇降路内に足場板を1枚渡して入り、ガイドレールを切断した。次に、搬器とカウンターウェイトをつないでいる巻上げワイヤロープを切断したところ、カウンターウェイトが落下して被災者を直撃した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 ダムウェーターの昇降路内部での解体に当たって、図面および実地に確認して作業計画を作成していなかったこと
 特に、機械部分の解体作業計画が全く樹てられておらず、作業者に任せていた。
2 作業者がダムウェーターの構造をまったく理解していなかったこと
 1階に解体くずの集積場所を確保するため、昇降路の中央にあった搬器の巻上げワイヤロープを切断したことにより、このワイヤロープに結びつけられているカウンターウェイトが落下した。
3 搬器とカウンターウェイトの切り離し作業についての安全作業指示等が全くされなかったこと
 工事現場では、始業前に朝礼を実施し、当日の作業の確認、安全な作業の指示、KY(危険予知)活動を行っていたが、この作業については行われていなかった。
4 安全管理が不十分なこと
 作業者達は、交通渋滞で朝礼には出席できなかったが、特に、作業の確認、安全指示を受けないまま作業に就いた。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 あらかじめ、ダムウェーターの構造について、図面および現場確認を行い、これに基づき解体作業手順、作業者の配置、必要な使用機材、周辺の安全確保等についての作業計画を作成し、関係者に周知すること
2 搬器、カウンターウェイトの解体は、(1) カウンターウェイトが最も重量が大きいので、これを最下段まで下げ、パイプサポートで支える、(2) 両端にアイ付きの玉掛け用ワイヤロープ2本とチェーンブロックで搬器を保持し、チェーンブロックで搬器を上げて、巻上げワイヤロープを緩める、(3) この状態でダムウェーターの巻上げワイヤロープを取り外し、搬器をチェーンブロック等により所定の位置まで降ろして固定した後、カウンターウェイトと搬器を解体するという手順で行うなどの作業手順を作成すること
3 始業前の朝礼においては、当日の作業確認、安全指示などに加えて、当日の作業で予想される危険およびその対策について確認と指示を行い関係作業者に徹底すること
4 作業指揮者を選任し、その者の直接指揮のもとに作業を行わせること