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労働災害事例

簡易リフトの操作ボタンを押したところ、リフトのワイヤロープが切れて搬器が落下

簡易リフトの操作ボタンを押したところ、リフトのワイヤロープが切れて搬器が落下
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
被害者数
死亡者数:− 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 整備不良
発生要因(人) 錯誤など
発生要因(管理) 確認しないで次の動作をする

No.100247

発生状況

 この事故は、有機工業薬品製造工場において、定期修理工事の資材を3 階の工事現場に運ぶため、簡易リフトの1 階の操作装置のボタンを押したところ、ワイヤロープが切れて、2階から搬器が落下したものである。
 この簡易リフトは工場建屋の屋外に付設され、金網で囲った揚程10mの昇降路の底部に固定した巻上機により、ワイヤロープで吊された搬器を昇降させる。ワイヤロープは一端が搬器にクリップ止めされ、もう一端が昇降路最上部に取り付けたシーブを介して巻上げ機のドラムに巻き込まれている。
 事故発生当日、会社は休日であったが設備工事の下請会社の作業者4名は定期修理工事の準備作業を行った。計装材料をX工場3階の工事現場に簡易リフトを使用して荷揚げするように指示された作業者が、X工場の簡易リフトの出入り口の前まできてみると、搬機は3 階に止まっていたので、搬機を3 階から1 階に下ろすために操作盤のボタンを押したところ、一端動き出した搬器は2 階付近で停止して降りてこなかった。再度、ボタンを押すと搬器は動きだしたが、間もなく、ワイヤロープが切れて落下した。

原因

 この災害の原因としては次のようなことが、考えられる。
1 昇降路天井にあるシーブにワイヤロープの外れ止めがないこと
昇降路天井にあるシーブに外れ止めがないので、ワイヤロープが緩んでシーブから ワイヤロープが外れた
2 ガイドローラーの整備が十分行われていなかったこと
点検整備が十分に行われていないので、4個のローラーが同じ速度で回転しなくなり、搬器の速度がワイヤロープの巻き出し速度より遅くなり、ワイヤロープが緩んでシーブから外れた
3 ワイヤロープが緩み検出装置のリミットスイッチが作動しなかったこと

対策

 この事故は、有機工業薬品製造工場において、定期修理工事の資材を3 階の工事現場に運ぶため、簡易リフトの1 階の操作装置のボタンを押したところ、ワイヤロープが切れて、2階から搬器が落下したものであるが同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 昇降路最上部にあるシーブにワイヤロープの外れ止めを付けること。
2 定期にガイドローラーの点検整備をすること。
月次点検毎にガイドローラーの回転の点検を実施し、古いグリースを清掃しグリースアップを行う。
3 ワイヤロープ緩み検出装置は緩みを確実に把握して、シーブからワイヤロープが外れる前に作動するようにセットすること。
4 親会社は、下請会社に機械設備を貸与する場合には、安全に使用できるように点検整備等を行うこと。
5 親会社の休日に下請会社に作業を行わせるときは、下請安全衛生協議会などを通じ、十分な安全指導を行うこと。