この災害は、鉄道に隣接した場所に建築中の住宅の足場の解体作業中に、取り外した単管が高圧の信号線に接触したため、感電死したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 事前の作業計画の策定
 この災害のように鉄道に隣接した場所や送電線、配電線に近接した場所に住宅を建設することも少なくないが、仕事の開始にあたっては、特に、高圧線等との接触危険について検討し、必要な場合には、高圧線の移設、絶縁用防護具の取り付け等を高圧線を所有する会社と綿密な打ち合わせをなって作業計画を策定し、関係下請け会社、関係の作業者に徹底することが重要である。
 この災害の場合には、古い建物の解体に重機を使用したので、絶縁用防具を取り付けていたが終了とともに、取り外しており、明らかに作業計画が不適切であったと言える。
2 請負関係と連絡調整の徹底
 この災害の前に、2度にわたって鉄道会社の職員から後次の請負業者及び元請会社の職員等信号線への接触危険を注意されているが、そのことが元請け会社等に伝達されていなかった。
 元請け会社は、作業の期間、作業内容等について関係の下請け会社に指示するのみでなく、作業開始後において生じた種々のトラブル、環境の変化等について報告するよう徹底しておくことが望まれる。
3 元請け会社による作業現場の巡視
 災害の発生した現場は、労働安全衛生法で「統括安全衛生責任者」の選任が義務づけられた規模ではないが、かなりの規模の住宅建設現場であり、定期に作業現場を巡視し、必要な安全衛生指導・指示を行うことが望まれる。
4 絶縁用防具の取り付け等
 充電された架空電線に近接する場所で工作物の建設、解体、点検、修理等を行う場合であって、接触による感電の危険があるときには、次の措置をすべきことが労働安全衛生法・労働安全衛生規則で定められているので確実に実施する必要がある。
  (1) 当該充電電路を移設すること。
(2) 感電を防止するための囲いを設けること。
(3) 当該充電電路に絶縁用防護具を装着すること。
(4) 上の3つの措置が著しく困難な場合には、監視人を配置し、作業を監視させること。
 この災害の場合、これらの措置を行う者は親方Cであるが、元請け会社A又は一次下請け会社Bもこれらの措置について指導しておくことが望ましい。
5 作業主任者の配置
 高さが5メートル以上の足場の組み立て・解体の作業の場合には、労働安全衛生法の定めるところにより、技能講習を修了した作業主任者を選任し、次のような職務を行わせることが必要である。
  (1) 材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと。
(2) 器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
(3) 作業の方法及び作業者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること。
(4) 安全帯及び保護帽の使用状況を監視すること。
6 足場の組み立て等の作業時の措置
 高さが5メートル以上の足場の組み立て・解体の作業の場合には、作業主任者の選任のほか次の措置を行うことが必要である。
  (1) 組み立て、解体等の時期、範囲、順序を作業者に徹底すること。
(2) 組み立て、解体等の区域内には関係者以外の立ち入りを禁止すること。
(3) 強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときには、作業を中止すること。
(4) 足場材等の緊結、取り外し等の作業では、20センチメートル以上の足場板の設置、安全帯の使用等墜落防止措置を行うこと。
(5) 材料、器具、工具等を上げ、又はおろす時には、つり綱、釣り袋等を使用させること。
7 作業者教育の実施
 墜落危険のある場所での作業、感電危険のある場所での作業に従事する作業者等については、事前に十分な安全衛生に関する教育を実施するとともに、一定の時期ごとに再教育を実施することが必要である。