この災害は、狭い橋の上にトラッククレーン(積載型)を止め、アウトリガーの張り出しを行わず、しかも、定格荷重を超えて覆工板を吊り上げ旋回を行っていたところ、横転したものであるが、同種災害の再発防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1. トラッククレーンを用いて作業を行うときは、トラッククレーンの転倒等による作業者の危険を防止するため、あらかじめトラッククレーンを使用する作業場所の広さ、地形の状態、運搬しようとする荷の重量、使用するトラッククレーンの種類及び能力等を考慮し、作業開始前に関係する作業者に対し作業の方法等について周知徹底することが重要である。
2. トラッククレーンを用いて作業を行うときは、そのクレーンの定格荷重を超える荷重をかけて使用しないこと。
3. トラッククレーンを用いて作業を行うときは、アウトリガーを最大限に張り出すこと。
4. 狭い橋の上等でアウトリガーを最大限に張り出すことができない場合は、アウトリガーの張り出し幅に応じたクレーンの定格荷重を十分に検討し、それに応じた吊り上げ方法をとること。
5. 吊り上げ荷重2.93トンのトラッククレーンを用いて玉掛けの業務を行う場合は、有資格者を就かせること。
6. トラッククレーンを用いて覆工板の移動を行う場合は、玉掛けの作業及びクレーンの運転等を単独でなく複数で行わせること。
7. 狭い橋の上でその欄干に接近してトラッククレーンを設置し、覆工板の移動を行う場合、クレーンの転倒を考え運転位置に注意すること。
8. トラッククレーン(積載型)の場合、荷台に積載物がある場合と無い場合でクレーンの性能が異なってくるので、安定度に基づいた空車時定格荷重の値によって行うこと。
 また、空車時定格荷重は、側方の値であり、前方吊りは空車時定格荷重の25%以下となるので注意すること。
9. トラッククレーン(積載型)は、アウトリガーが前方にあるため、真横の側方領域のやや後方部の安定が悪くなるので、その範囲での荷降ろしをさけること。
10. 店社における安全管理体制を確立し、安全管理の充実を図り安全な作業の遂行に努めること。
11. 現場代理人は、関係請負人の責任者等と「トラッククレーンを用いて作業を行う場合の作業計画」について十分連絡及び調整を行うこと。