この災害は、そば粉の製造工場において発生したフォークリフトのフォークからの転落災害であるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
 荷役運搬機械等を主たる用途以外に使用したことによる労働災害は、数多く発生しており、その代表的ものが墜落である。その意味から、この災害は最も典型的な例とも言える。
 この災害の現場のような2階換気引戸の不具合の調整を行なう場合には、本来、高所作業車・高所作業台を使用するか、足場を組む等安定した作業床を確保することが原則であり、安易にフォークリフトを使用するようなことは厳に慎むべきであるが、併せて次のような対策の徹底が望まれる。
(1) 安全衛生管理体制の整備
 規模の小さい企業においても、作業者の安全と健康を確保するため、安全衛生管理体制を整備し、作業に関する指揮命令系統の明確化と一定のルールに基づいた安全に関する役割分担の徹底が重要である。
(2) 安全衛生教育の徹底等
  イ 就業制限業務の徹底
 無資格者にフォークリフトの運転操作をさせてはならない、また、無資格者が運転をしてはならないことを全従業員に徹底する。
 なお、業務で必要な資格者の確保に努める。
ロ 搭乗の制限に関する知識の付与
 荷役運搬機等の運転席、助手席、その他乗用のための席以外に人を乗せてはならない。
 フォークリフトのフォーク(荷役用の爪)は、人が乗るところではないことを教育する。
ハ 主たる用途以外の使用の制限
 フォークリフトのフォーク(荷役用の爪)に人間が乗って、高所作業車(台)代わりに使用しないように教育する。
(3) 機械設備等の安全化
  イ 特定自主検査の実施
 この災害では直接的な原因とはなっていないが、1年を超えない期間ごとに1回、専門的な知識・技能有する有資格者によって定期的に自主検査を受けなければならないフォークリフトが、期限切れになっていた。
 特定自主検査の期限切れとなっているフォークリフトは、使ってはならない。
ロ 墜落防止措置
 やむを得ず、パレット上で作業を行なう場合には、フォークリフトを転倒のおそれのない場所に置くとともに、パレットの周囲に十分な高さを有する手すり、枠等を設け、かつ、パレットをフォークに固定すること、または作業者に命綱を使用させる。
(4) 安全点検と改善の実施
 換気引戸等については、自発的な行為に任せることなく、会社として定期的に点検し、必要な改善を行う。
 また、改善にあたっては、作業の安全に配意した計画を定め、作業指揮者も定めて実施する。