この災害は、移動吊支保の組立作業を行うため、段取り作業を行っていたところ、型枠トラス梁を吊っていたワイヤーが切断し、墜落したものであるが、同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 国道交差部における道路工事において、高度に機械化された支保工と型枠工を用いて行う、新工法の大型移動吊支保工工法を計画する場合は、地形環境調査などの事前調査を十分行うこと。
2 4台のホイストクレーンを操作して、微調整を行う作業など決めこまかいグループ作業を実施する場合は、適切な作業計画及び作業手順を作成し、それにより作業を行うこと。
3 玉掛用具の点検については、点検の必要性を十分考慮し、点検者を定め、法的な作業開始前の点検は勿論のこと、点検基準を定め、その結果を記録し、異常を認めたときは、直ちに補修する等の点検体制の確立及び実施に徹底を図ること。
4 玉掛用具の点検者に対しては勿論のこと、玉掛作業グループについても、玉掛作業の適正な方法及び玉掛用具の点検基準に対しても教育を行うこと。
5 作業の周囲の安全についても、十分注意を行い、正確な玉掛方法と明確な合図により、安全な玉掛作業を行うこと。
6 玉掛用具の使用にあたっては、特にワイヤロープの取扱いの良否が、作業の安全、能率等に影響を及ぼすものであるので、鋭い角を有する品物には、必ず当てものを使用する。また、細くなっているもの、キンク、形くずれ、その他異常のあるものは使用しないこと。
7 ホイストクレーン4台による共づりを行うときは、次の点に注意すること。
(1) 合図は、1人の合図者で行う。
(2) 合図者は、それぞれのクレーン運転士と事前に作業の打合せを十分行う。
(3) それぞれのクレーン等に平均して負荷させる。
8 メインガーターからチェーンで、片側だけを吊り下げられている2本一組の型枠トラス梁を、2.8tホイストクレーン4台で同時に吊り上げて、連結される状態で静止している際の梁内での移動等作業については、墜落防止等の安全帯の使用を考慮すること。
9 最初に切断された12mmワイヤーの、吊り角度を考慮した張力は、最大事で2.73tとなり、このワイヤーの新品の場合の切断荷重は7.24tで、十分であったが、使用による劣化等で、2.73t前後の張力にも耐えられる強度がなかったことを考えると、ワイヤロープの点検について、より具体的な対策を図ること。
10 12mmワイヤーが切断した後、18mmワイヤーの切断状況からみると、ワイヤロープ受金具の取付けボルトの締め付け方、もしくは締め付けの力が不足したことにより、一部切断した後、やがて破断したものと考えられるので、受金具の締め付け方法等についても、具体的な基準を定め、その日の作業開始前には全て点検を行うこと。
11 型枠トラス梁の組立作業を繰り返し、10組の型枠トラス梁のうち7組目まで終了し、8組目を午後5時20分頃から取りかかり、既に日の入りを過ぎ、作業の終了時間も過ぎており、作業時間、作業工程に対する安全の配慮をより考慮すること。