この災害は、橋桁の送り出し作業中、橋桁が後退し、手延べ機を支えていた盛替えジャッキのヘッド部分のボルトが折れ、ジャッキ上の受梁ごと橋脚下に落下したことによるものである。同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1.橋桁の後退についての対策
(1)3回目の送り出しまで台車車輪部分に車止めを行っていたものであるが、それまで台車が動かなかったことから4回目の送り出しの際には台車車輪部に逸走防止措置を講じていなかったために台車が後退したもので、台車車輪部に車止めその他、台車が後方への後退することを防止するための逸走防止措置を講じたことを確認した上で送り出し作業を行うこと。
(2)3回目の送り出しの際にレールの継ぎ目を越える必要があり、レールを掴んだ状態ではレールペイシに引掛かり継ぎ目を越えられないため一度開放し、レールの掴み部分のチャックを外して継ぎ目の乗り越えを行ったものである。この時のチャックの取付状態が悪かったので、レールクランプを開放し、チャックの修正を行った直後であり、レールクランプは開放のままの状態であったため、台車が後退したものであり、レールクランプはチャックで確実にレールを掴ませたことを確認した上で送り出しを行うこと。
2.受梁等の落下防止対策
(1)安全管理計画を作成するにあたり、盛替えジャッキは水平力がかかることを考慮に入れて設計し、予測される水平力に十分に耐えられる構造のものとすること。
(2)受梁等部材をワイヤーロープ等で支持物に確実に固定する等、ジャッキ、受梁等部材の落下防止措置を講ずること。
3.予測される危険を考慮し、作業員を安全な場所に配置するとともに、安全帯等墜落防止対策を確保すること。
4.作業手順が明確になっておらず、また、徹底されていなかったために前記1のような基本的事項が行われなかったものであることから、作業手順を定め作業手順書を作成し、その周知徹底を図ること。
5安全管理計画については作業計画、作業手順、作業方法、人員配置、安全対策等が明確に示され、実行が期待されるものとすること。
6.元請として、作業における不安全状態、不安全行動等についての指導、指示を適切に行うために、作業時の立ち会を行うようにすること。