この災害は、県境に位置する国道の峠の一帯が急峻な地形のため線形が悪く、火山地帯特有な脆弱な地質に加え、登記は豪雪のため半年にわたり交通が途絶するので、これを解消するためのトンネル建設工事に伴う取付道路建設の擁壁を設置するための床掘りを急峻なV字谷の底部において行っていたところ、熱水性噴気爆発(以下噴気爆発という。)が発生し、作業中の作業員4名が、高温の土砂に埋まり死亡したものである。
 噴気爆発が発生した場所は、水蒸気がいたるところから立ちのぼり、温泉も自噴し川に流下している。
 作業現場の地質は、中古生層のチャート、粘板岩、砂岩、輝線凝灰岩と中生層に貫入した花崗岩、石英粗面岩を基盤とし、その上を新生代第4記の溶岩類の凝灰角礫岩、古期砂礫、段丘堆積物、崖錐が覆っている。
 このような現場での工事であるため、災害発生当日は、祝日に当たっていたため、作業現場では、交替で休みをとることになっており、当日は当方事業場の現場代理人と職員3名が出勤し、下請からは重機運転者、ダンプトラック運転者及び誘導係の3名が出勤した。
 午前8時30分頃kら作業が開始され、重機運転者は、バックホー及びブレーカーを使用し、岩床掘削及び整形作業を行い、ダンプトラック運転者は土捨場まで掘削土砂をピストン運搬をし、現場代理人と現場員のうち1名は、掘削作業の監視及び確認業務に従事していた。
 午後2時30分ごろ、重機運転者が、バックホーを運転して岩床掘削作業を行っていたところ、A橋台の南側約25mの地点の掘削法面から「ボワッ」という音とともに大規模な噴気爆発が発生し、川の東岸に大量の土砂が噴出した。
 この衝撃で噴出孔上部の西側斜面が幅41m、高さ40〜50mにわたって地滑り状に崩壊し、一時この噴出孔を塞いだが、間もなく金属音ともに大規模な噴気爆発が連続的に発生し、土石混じりの噴煙が60〜70mの高さまで広範囲に吹き上がった。また、噴煙は1,500mの高さにまで達した。
 川の西岸の崩壊土砂の量は、推定8,000〜10,000m3である。
 この一連の噴気爆発及び斜面の崩壊によって、バックホー、ダンプトラック、ブレーカー、軽トラックの各車両は土砂に埋没した。
 バックホーは、爆発の衝撃で約90度右側に回転し、運転席や車体は大きく変形して横倒しになり、ダンプトラックは運転席が大破した。ブレーカーも車体が変形したが、事故後に自走して搬出された。
 被災者の救出が、事故発生直後から続けられた結果、事故発生の翌日、土砂に埋もれていたダンプトラックの助手席から運転者が遺体で発見され、3日後に土砂の中から現場員1名が遺体で発見され、同じ場所で現場代理人が遺体で発見され、4日目に重機運転者が横転したバックホーの西側の土砂の中から遺体で発見された。