| 1. 工事の概況 | |
| (1) 工事名 地区管渠布設その−工事 (2) 請負関係 発注者(市)−元請業者−下請業者 (3) 工期 3か月 (4) 請負金額 2000万円 |
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| 2. 工事の内容 この工事は、雨水幹線築造工事との合作工事で次のとおりである。 |
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| (1) 河川両岸の石積み (2) 汚水管の埋設及び舗装 (3) L型擁壁の築造 |
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| 上記工事のうち、下請業者は、(2)の舗装工事と(3)の築造工事を請負ったものである。 | |
| 3. 工事の方法 | |
| (1) 既設の川の両岸を掘削し、そこに石を積み上げる。 (2) 川の両岸を約2メートル掘り下げ、汚水管を埋設する。(全長148メートル) (3) 汚水升とマンホールを設置する。 (4) 川の一部にL型擁壁を築造する。 (5) 汚水管の埋設箇所を舗装する。 |
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| 5. 災害発生当日 | ||
| (1) 災害発生当日は、元請会社から11名、下請業者からは2名が現場に来ていた。 (2) 災害発生当日は、午前7時45分頃から朝礼を行い、その場で現場代理人から作業内容の説明と役割分担の指示がなされた。 当日の作業内容は |
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| (イ) 埋め戻しのための土砂運搬 2名 (ロ) 土砂の敷均しと転圧作業 4名(ドラグショベルによる敷均しとランマーによる転圧) (ハ) 既設のコンクリート舗装部分の切取り作業 4名(切断箇所の墨入れとコンクリートカッターによる切断) (ニ) コンクリートカッターの借り受け1名 |
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| 等であった。下請業者の2名は、歩道部分のレンガ積み作業を行った。 (3) その後、午前8時頃から作業に取り掛かり、被災者は「コンクリートカッターの借り受け」の作業指示を受け、トラッククレーンを自ら運転して、コンクリートカッターをリース会社へ借り受けにいった。 (4) 被災者は、午前8時30分までには、コンクリートカッターを借りて戻ってきたが、その後現場代理人より、覆工板の移動を指示された。 覆工板は、埋め戻しが済んでいない箇所を人や車が通るために橋付近に3枚が敷かれていたもので、コンクリートカッターで墨入れをした際に一部邪魔になったものである。 |
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| 6. 災害発生状況 | |
| (1) 被災者は、覆工板の移動を自分一人で行うこととし、この作業に吊り上げ荷重2.93トンのトラッククレーンを用いることとした。 (2) トラッククレーンを橋の上に止め、ワイヤロープ(10mm)で玉掛けした後に、重量802kgの覆工板を吊り上げ、荷台に積み込もうと約90度旋回した時、クレーンのバランスが崩れ、被災者側に転倒したものである。 (3) 被災者は、転倒したトラッククレーンのアウトリガーと、橋の欄干との間に左大腿部を挟まれ、「左大腿動脈断裂による急性循環不全」により災害発生の約11時間後に死亡したものである。 |
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| 7. その他 | |
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(1) 覆工板 ・ 寸 法 153cm×305cm ・ 厚 さ 2.5cm ・ 重 量 802kg (2) トラッククレーン ・ 所有者 元請 ・ 吊り上げ荷重 2.93トン ・ 最大作業半径 9.76m ・ ジブ形式 4段伸縮 (3) 転倒時のトラッククレーンの状況 ・ ジブの長さ 5.61m(1段) ・ ジブの角度 30度 ・ アウトリガー 最小張出し状態 (地上には降ろされていたが、横への張出しはなされていなかった) (4) 被災者の資格 ・ 小型移動式クレーン運転技能特例講習 ・ 玉掛け 資格なし |
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