この災害は、取付道路建設工事中に熱水性噴気爆発が発生し、近くで作業中の者が噴出物に埋没した重大災害であるが、その原因としては、次のことが考えられる。
1 この噴気爆発が発生した現場附近は、活火山に近く、地下の高温岩体(あるいはマグマ)から熱上昇流の大きい場所であった。
 現場附近には、多くの高温の温泉が存在し、また、事前に実施したボーリングでは地中温度の上昇が認められ、硫化水素等を含む高温の水蒸気の噴出も見られる場所であったこと。
2 今回の噴気爆発は、噴出口の推定断面(長さ20mの楕円形と推定)から算出すると、厚さ50〜100mの不透水岩盤層の下に噴気ガス(水蒸気あるいは熱水)が集積、貯留されていてその圧力が増大して上の岩盤を破り噴出物推定総量4000〜6000m3の熱水性噴気による爆発を起こしたと考えられること。
3 噴気爆発の発生要因としては、地中における水蒸気圧の上昇(エネルギーの存在)と爆発の誘因(引き金)があげられるが、地中の水蒸気圧の上昇は、地下での自然現象として変化に基づくものと考えられること。
4 現場附近は、火山性の地層で、崖錐が堆積した崩壊地であったこと、もともと温泉や水蒸気が自噴する高熱地帯であったこと。地理的状況や小規模とはいえ過去に噴気現象が発生したこと等を考慮すれば、地中における水蒸気圧の上昇を想定し、予想されるあらゆる危険の種類、程度等に応じた詳細等セーフティアセスメントを実施すべきところ実施しなかったこと。
5 発注者及び施工業者が、噴気爆発を想定して、あらかじめ、地下の水蒸気等の状況を観測し、水蒸気圧を低下させるための長尺ボーリングの掘削等の方法をとらなかったこと。