| 1 発火原因 | |
| (1) 堆積する紙粉による低温発火 火元と考えられる場所の低圧電気ケーブルは、掃除のしにくい箇所で紙粉が堆積していたと考えられる。 したがって、ケーブルの発熱により紙粉が乾留炭化し、低温発火した可能性がある。 なお、堆積していた紙粉の厚みは、火災により燃えているので不明であるが、堆積粉じんの厚みが大きいほど発火温度が下がり発火の可能性は高くなる。 (2) ドライヤーとGドクターの接触火花 ドライヤーの紙が接触する部分は、原料(パルプ)に添加している薬品やパルプにより薄い被膜(コーティング)が形成されていてドライヤーとGドクターの金属どうしの摩擦を防いでいる。 しかし、被膜のない両耳部分(各約170mm幅)は、金属どうしの摩擦により火花が発生する可能性がある。 (3) 集じん装置のノズル、チェーンの摩擦火花 抄紙機集じん装置のドアや、排気サイレンサー及び排気口の破損状態から集じん機内部で、一次爆発が起こった可能性がある。 この場合、装置内部のノズル摺動部及び摺動用チェーンの金属どおしの摩擦による火花が発生した可能性がある。 (4) 静電気帯電による火花 空気が、冬なので乾燥して抄紙室内の湿度が15%以下になっていたと考えられる。 そのため、摩擦によって粉じん帯電がし易くなり、放電によって発火した可能性がある。 (5) その他 その他、ロール機、モーター等の摩擦熱、加熱等も考えられるが、これらについては日常のメンテンナンスが良くなされており、事故後の状況でも焼け付き等は見られないので発火源となる可能性は少ない。 |
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| 2 紙粉濃度等 | |
| [1] 紙粉は、比重が軽く粒径が大きくても空気中に浮遊しやすい物質である。 室内の湿度は、局部的に15%を下回っていたと考えられ、また、抄紙機等に設置していた乾式集じん装置は、吸引した空気の大部分を再び放出する構造であるため、微細な粉じんの発生を多くしていた。 [2] 紙粉の発生は、抄紙機ドライヤーから紙がロールに巻かれる付近、紙を2枚重ねにしてティッシュペーパーを作るプライマシンの機械付近で多く発生する。 また、集じん装置のダクトに粉じんが堆積していることから、集じん方法及び能力については不十分であった。 |
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