1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | m-ジニトロベンゼン (m-Dinitrobenzene) | ||
製品コード | R01-B-049 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 染料中間体 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | 自己反応性化学品 | タイプG | |
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
急性毒性 (経皮) | 区分4 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | ||
皮膚感作性 | 区分1 | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、血液系、肝臓、生殖器 (男性)) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (中枢神経系、視覚器、血液系、肝臓、生殖器 (男性)) | ||
分類実施日 (環境有害性) | H20年度、政府向けGHS分類ガイダンス (H20.9.5版) (R1年度、分類実施中) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 皮膚に接触すると有害 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 強い眼刺激 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 中枢神経系、血液系、肝臓、生殖器 (男性) の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、視覚器、血液系、肝臓、生殖器 (男性) の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注)”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | m−ジニトロベンゼン | ||
別名 | 1,3-ジニトロベンゼン | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C6H4N2O4 (168.11) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 99-65-0 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 3-445 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。人工呼吸が必要なことがある。医師の診察/手当てを受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。直ちに医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 灼熱感、紫色 (チアノーゼ) の唇・爪及び皮膚、めまい、頭痛、吐き気、脱力感、息苦しさ 皮膚: 吸収される可能性あり、「吸入」参照 眼: 充血、痛み 経口摂取: 「吸入」参照 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | アルコール飲料の摂取により有害作用が増大する。 ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、泡消火薬剤、粉末消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水(ERG) | ||
特有の危険有害性 | 可燃性。火災時に、刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。 | ||
特有の消火方法 | 水を噴霧して容器類を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 専門家に相談する。 こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。 湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 個人用保護具: 自給式呼吸器付完全保護衣 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火禁止。 粉じんの堆積を防ぐ。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 強酸化剤、強塩基及び食品や飼料から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法、国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | |||
管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会 (2019年度版) | 0.15 ppm、1 mg/m3 (経皮吸収) | ||
ACGIH (2019年版) | TLV-TWA: 0.15 ppm、1 mg/m3 (Inhalable fraction and vapor) (Skin) (BMIm) (Dinitrobenzene, all isomers) | ||
設備対策 | 密閉系、粉じん防爆型電気設備及び照明を用いる。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 呼吸用保護具と併用して、顔面シールド又は眼用保護具を着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 (ICSC (2002)) | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 90℃ (ICSC (2002)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 300〜303℃ (ICSC (2002)) | ||
可燃性 | 可燃性 (ICSC (2002)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水 : 533 mg/L (20℃) (HSDB (Access on November 2019)) アセトン、エタノールに易溶、エーテルに可溶 (HSDB (Access on August 2019)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logP = 1.49 (HSDB (Access on November 2019)) | ||
蒸気圧 | 2x10-4 mmHg (25℃) (HSDB (Access on November 2019)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.575 (18℃/4℃) (HSDB (Access on November 2019)) 1.5751 g/cm3 (18℃) : Lide (88th, 2008) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 燃焼すると、有毒なガスやヒューム (窒素酸化物など) を生成する。 強酸化剤、強塩基及び還元性金属 (スズ、亜鉛) と 激しく反応し、火災や爆発の危険を生じる。 | ||
避けるべき条件 | 混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、強塩基、スズ、亜鉛などの還元性金属 | ||
危険有害な分解生成物 | 窒素酸化物などの有毒なヒューム |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 59 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on July 2019)) (2) ラットのLD50: 雄: 91 mg/kg、雌: 81 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on July 2019)) (3) ラットのLD50: 83 mg/kg (DFGOT vol.1 (1990)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1994)、HSDB (Access on July 2019)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1) より、区分4とした。 【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 1,990 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on July 2019)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を示さない (GESTIS (Access on July 2019))。 (2) 詳細は不明だが、ウサギにおいて皮膚刺激性試験で刺激性を示さないとの報告がある (ATSDR (1995))。 【参考データ等】 (3) モルモットを用いた本物質を0.5%含む製剤の皮膚刺激性試験で刺激性を示さない (ATSDR (1995))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) 本物質はウサギに対して軽度の眼刺激性を示す (ATSDR (1995))。 (2) 本物質は眼に軽度の刺激性と皮膚感作性を有する (GESTIS (Access on July 2019))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 406に準拠したモルモット皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陽性と報告されている (GESTIS (Access on July 2019))。 【参考データ等】 (2) 本物質はウサギに対して皮膚感作性を示さない (ATSDR (1995))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性と陰性、哺乳類培養細胞の不定期DNA合成試験で陰性の報告がある (ATSDR (1995)、DFGOT vol. 1 (1990)、IRIS (1998))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1) の既存分類結果より、ガイダンスに従い、分類できないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでD (IRIS (1991)) に分類されている。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、精子形成に影響がみられ、雄の生殖能に影響がみられていることから区分2とした。 【根拠データ】 (1) 雄の離乳ラットに12週間強制経口投与し、無処置の雌と交配した試験において、精巣及び精巣上体尾部の無精子、精巣及び精巣上体重量減少、不妊がみられている (ATSDR (1995)、HSDB (Access on July 2019))。 (2) 雄ラットに経口投与した結果、5週間で精子形成低下を生じ、投与したラットの91%が授精能を喪失したが、投与中止5ヵ月で授精能が回復しなかったラットは18%のみであったことから部分的に可逆的であるとしている (ATSDR (1995))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分1 (中枢神経系、血液系、肝臓、生殖器 (男性)) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 電気部品製造工場の女性労働者1名が、本物質 0.5% (w/w) を含む溶液に浸漬された部品を扱う作業の開始3日後からチアノーゼ、全身不快感、食欲不振を生じて入院し、黄疸、触診可能な肝肥大、貧血を示した。この事例の調査を目的として、同様の作業を行なった男性ボランティア1名では、一回の作業直後に血中メトヘモグロビン濃度の増加 (約11%) が認められた。作業時に着用されていた手袋の内側から本物質が検出され、中毒は本物質の経皮吸収によるものと結論された (DFGOT vol.1 (1990)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1994)、ATSDR (1995))。 (2) 本物質及び工業用ジニトロベンゼンの主要な急性毒性影響は、血液系 (メトヘモグロビン生成)、中枢神経系 (呼吸困難、めまい、知覚異常) 及び肝臓 (肝肥大、黄疸) に対する影響であるとの記載がある (DFGOT vol.1 (1990)、GESTIS (Access on July 2019))。 (3) ラットの単回経口投与試験において、本物質20 mg/kgで後肢開脚幅増加 (splayed hind limbs) と前肢の弛緩性麻痺、25 mg/kgで血中メトヘモグロビン生成 (28%) とチアノーゼが認められた (ATSDR (1995)、DFGOT vol.1 (1990))。別のラットの単回経口投与試験において、16 mg/kgでチアノーゼ、48 mg/kgで運動失調と平衡感覚喪失がみられた (ATSDR (1995))。更に別のラットの単回経口投与試験において、25 mg/kgで精巣にセルトリ細胞の空胞形成と生殖細胞の変性・剥離が認められた (DFGOT vol.1 (1990)) 。これらの影響がみられた用量は区分1に相当する。 | |||
【参考データ等】 (4) 工業用ジニトロベンゼンの主成分は本物質から成り、痕跡量のo-ジニトロベンゼン (CAS番号 528-29-0) 及びp-ジニトロベンゼン (CAS番号 100-25-4) が含まれる (DFGOT vol.1 (1990))。 | ||||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(4) より、ヒトの経皮及び吸入ばく露で中枢神経系、視覚器、血液系、肝臓、腎臓への影響がみられている。(5)、(6) より、ラットへの経口投与で区分1の範囲で中枢神経系、血液系、脾臓、精巣への影響がみられている。このうち腎臓、脾臓への影響については血液毒性に伴う二次的変化と考えられる。したがって、区分1 (中枢神経系、視覚器、血液系、肝臓、生殖器 (男性)) とした。新たな情報源を加えて検討を行い、旧分類を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質へのばく露期間が1〜6ヵ月間の3症例、6〜12ヵ月間の3症例、及び1〜3年間の8症例で視力障害がみられたとの報告がある (DEGOT vol.1 (1990))。 (2) ジニトロベンゼン (CAS番号 25154-54-5) は、肺及び皮膚から容易に吸収され、メトヘモグロビンを形成する。ばく露初期症状としてはチアノーゼ、頭痛、悪心、倦怠感などが出現し、形成されたメトヘモグロビンは消失しにくいとされ、肝障害を起こす。体内代謝物のニトロアニリンは溶血作用があり、肝毒性も強いとされる。肝障害時に急性黄色肝萎縮が生じる他、腎の変性、中枢神経の損傷も発現する (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1994))。 (3) ジニトロベンゼン (CAS番号 25154-54-5) の亜慢性/慢性毒性としてチアノーゼが知られ、黄疸や視覚障害を伴う場合もある (DFGOT vol.1 (1990))。 (4) ジニトロベンゼン (CAS番号 25154-54-5) の作業者への慢性ばく露により貧血症が生じ、数例で肝障害が報告されている。視覚障害 (視力低下、中心暗点) が生じる (ACGIH (7th, 2019)。 | |||
(5) ラットに本物質を16週間飲水投与した結果、雄/雌: 1.13/1.32 mg/kg/day (区分1の範囲) で脾臓重量増加、雄/雌: 2.64/3.1 mg/kg/day (区分1の範囲) の雄でヘモグロビン減少、精巣重量減少、精子形成の減少がみられた (ATSDR (1995))。 (6) 雄ラットに本物質を12週間 (5日/週) 強制経口投与した結果、0.75 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で脾臓の髄外造血亢進、1.5 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で脾臓重量増加、精子産生の減少、3 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上でよろめき歩行、平衡感覚の喪失、筋肉の硬直、精巣上体の精子数減少、非運動性精子及び形態異常精子の増加、精細管萎縮、不完全な精子形成がみられた (ATSDR (1995)、HSDB (Access on July 2019))。 【参考データ等】 (7) 工業用ジニトロベンゼンの大部分はm-ジニトロベンゼンから成り、痕跡量のo-ジニトロベンゼン、p-ジニトロベンゼンが含まれる (DFGOT vol.1 (1990))。 (8) 工業用ジニトロベンゼンの毒性はm-ジニトロベンゼンの毒性と大きな違いはない。ヒト及び実験動物では血液、肝臓、中枢神経系が最も影響を受けやすく、脾臓への影響、実験動物では精巣への影響もみられる (DFGOT vol.1 (1990))。 | ||||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 藻類 (クロレラ) の96時間EbC50 = 0.24 mg/L (IUCLID (2000)) から区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 急性毒性区分1であり、急速分解性がない (BIOWIN) ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3443 | |||
国連品名 | DINITROBENZENES, SOLID | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | II | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 152 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【ジニトロベンゼン】 | |||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【273 ジニトロベンゼン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【273 ジニトロベンゼン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第2種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2)【43 メタ−ジニトロベンゼン】 | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
化学物質審査規制法 | 旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)【旧番号411 m−ジニトロベンゼン(平成23年4月1日をもって廃止)】 | |||
消防法 | 第5類自己反応性物質、ニトロ化合物(法第2条第7項危険物別表第1・第5類)【3 ニトロ化合物】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【5 ニトロ化合物】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3443 ジニトロベンゼン(固体)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3443 ジニトロベンゼン(固体)】 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |