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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
トリニトロベンゼン
作成日 2006年4月15日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称トリニトロベンゼン
化学品の英語名称1,3,5-Trinitrobenzene
製品コードR06-C-070-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限爆薬(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
物理化学的危険性爆発物等級1.1
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
皮膚感作性区分1
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2(血液、精巣)
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示爆弾の爆発どくろ腐食性健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報爆発物:大量爆発危険性
飲み込むと有毒
重篤な眼の損傷
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による血液、精巣の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
粉砕/衝撃/摩擦のような乱暴な取扱いをしないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置火災の場合:爆発する危険性あり。区域から退避させること。炎が爆発物に届いたら消火活動をしないこと。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管国又は都道府県の規則に従って保管すること。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名トリニトロベンゼン
慣用名又は別名ベンジット
英語名1,3,5-Trinitrobenzene
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C6H3N3O6 (213)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号99-35-4
官報公示整理番号
(化審法)
3-2753
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。
呼吸が止まっている場合は、呼吸補助具(蘇生バッグなど)や口鼻蘇生法で人工呼吸を行う。口対口蘇生法は緊急事態の場合にのみ行う。
中毒の症状は、一定期間遅れて現れることがある。
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。
直ちに皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで少なくとも10〜20分間洗浄する。
ポリエチレングリコール 400 と水を交互に使用してすすぐ。最後に、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
アルコール、ガソリン、その他の溶剤は絶対に使用しない。
負傷者を静かな場所に横たえて休息させ、低体温症から保護する。
医師に連絡をすること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
直ちに医師に連絡すること。
意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。
医師に連絡すること。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性: 刺激性から眼への腐食作用、血液機能の障害(メトヘモグロビンの形成)、血液を損傷する可能性がある。
慢性: メトヘモグロビン血症、血液を損傷する可能性。
以上、GESTIS参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化炭素)、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法区域から退避させ、爆発の危険性があるため、離れた距離から消火すること。
爆発する危険性あり。区域から退避させること。炎が爆発物に届いたら消火活動をしないこと。
事故が発生した場合は、すぐに避難すること。危険区域の周囲を広く囲み、その区域を封鎖するか、必要に応じて避難させる。安全な場所から消火作業を行う。
周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
着火(発火)源を遮断する。
爆発証明済みの機器のみを使用すること。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。
影響を受ける周囲に警告すること。
周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
容器とパイプラインにラベルを貼ること
装置および工具は、物質が発火できないような材料でできている必要がある。
装置や工具の表面は、物質を吸収できないものである必要がある。
水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏出物を回収すること。
廃棄物をシンクやゴミ箱に入れたり置いたりしない。
こぼれた物質を密閉容器内に収集する。
収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS参照。
二次災害の防止策火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
粉じんを発生させないこと。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集すること。
掃除中に粉じんを起こさないこと。
清掃にブロワーを使用しないこと。
以上、GESTIS参照。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
密閉状態での加熱又は鈍性化剤の減少を避けること。
熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
粉砕/衝撃/摩擦のような乱暴な取扱いをしないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
作業場所を清潔に保つこと。
この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。
容器を開けたままにしないこと。
補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。
移送時には、摩擦、物理的、電気的な衝撃を避けること。
こぼれないようにすること。
ラベルの付いた容器にのみ注入すること。
粉じんを発生させないこと。
作業場での溶接はしないこと。
衝撃や摩擦を避けること。
火花の原因となる工具は使用しない。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
接触回避酸化剤、還元剤等
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
容器を密閉しておくこと。
国又は都道府県の規則に従って保管すること。
容器にはラベルを貼付すること。
できるだけ元の容器に保管すること。
涼しい場所に保管すること。
過熱/加熱から保護する。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料消防法、火薬類取締法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2023年度版)(吸入性粉じん) 2 mg/m3
(総粉じん) 8 mg/m3
(第3種粉じん)
ACGIH (2024年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
作業場は換気をすること。
床に排水溝を設置しない。
取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。
本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。
建物にサージ防護機器を取り付ける。
燃焼の危険を引き起こさないように電気システムを構築する。
静電気放電に対する予防措置を講じる。
帯電できるすべての部品をアース(接地)する。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
緊急時には、呼吸保護具を着用する。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。
以上、GESTIS参照。
手の保護具厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。
布製または革製の手袋は不適切である。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
黄色
臭い無臭
融点/凝固点121.3 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲315 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
可燃性爆発的な可燃性
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:492 mg/L (25℃) (HSDB in PubChem(2024))
ベンゼン:6.2 g/100 g (HSDB in PubChem(2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:1.18 (HSDB in PubChem(2024))
蒸気圧0.00000644 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem(2024))
密度及び/又は相対密度1.688 g/cm3 (20℃/4℃) (HSDB in PubChem (2024))
1.76 g/cm3 (20℃) (GESTIS (2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性爆発性の固体。
物理的な衝撃や摩擦、温暖化、その他の発火源に反応し、大量のガスを放出しながら急速に分解する。
以上、GESTIS参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性加熱により分解する(亜硝酸ガス)。
以上、GESTIS参照。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
火気、加熱、高温、静電気、火花
混触危険物質強力な爆発性物質。爆発は、さまざまな発火源によって起こりうる。摩擦や衝撃に敏感である。
重金属およびそれらの塩と反応して、高感度の爆発性塩が形成され得る。アルカリアリール化合物またはアルカリアルキル化合物と反応すると、爆発性物質が形成される。
接触すると爆発する危険性: アルカリ金属、アルミニウム(粉末)、塩基、リン還元剤、水素化物、金属粉末、硫化物
以上、GESTIS参照。
危険有害な分解生成物火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化炭素)、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)より区分3とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:275 mg/kg(ATSDR (1995)、GESTS (Accessed July 2024)、HSDB (同左))

【参考データ等】
(2)本物質は構造類似物質である1,3-ジニトロベンゼン(1,3-DNB:CAS登録番号 99-65-0)と非常によく似た毒性プロファイルを有し、、両物質とも血液毒性(チアノーゼ、メトヘモグロビン形成)を示す(ATSDR (1995)、GESTIS (Accessed July 2024)))。
(3)1,3-DNBのラットのLD50(3件のデータの範囲):59〜91 mg/kg(ATSDR (1995)、MAK (DFG) (1990))。
(4)EUでは本物質、1,3-DNBともにAcute Tox. 2に分類されている(CLP分類 (Accessed July 2024))。
経皮【分類根拠】
(1)より区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(ATSDR (1995)、GESTIS (Accessed July 2024))

【参考データ等】
(2)本物質は構造類似物質である1,3-ジニトロベンゼン(1,3-DNB:CAS登録番号 99-65-0)と非常によく似た毒性プロファイルを有し、両物質とも血液毒性(チアノーゼ、メトヘモグロビン形成)を示す(ATSDR (1995)、GESTIS (Accessed July 2024))。
(3)1,3-DNBのウサギのLD50:1,990 mg/kg(ATSDR (1995))
(4)1,3-DNBを25%(w/w)含む軟膏をネコの背部に塗布した結果、3例全例がメトヘモグロビン血症とチアノーゼを呈した(同上)。
(5)1,3-ジニトロベンゼン(1,3-DNB:CAS登録番号 99-65-0)を100 mg含む軟膏を24時間にわたって3回自己塗布した研究者の症例では、わずか2回塗布しただけで唇、舌、爪が青くなり、3回目の塗布後、チアノーゼは明白であった。回復には3日を要したと報告された(同上)。
(6)0.5% (w/w)の1,3-DNBを含む化学物質混合物に浸漬された電子部品を取扱う女性労働者がチアノーゼになり、10日後の入院時には貧血症状がみられた。本症例のばく露条件をボランティアワーカーで再現した結果、1,3-DNBへのばく露から4時間後にメトヘモグロビンレベルが最大11%に達した。1,3-DNBは浸漬した部品を取り扱うために用いたラテックス製手袋を容易に浸透し、ボランティアの呼吸域の気中から1,3-DNBが検出された (同上)。
(7)EUでは本物質、1,3-DNBともにAcute Tox. 1に分類されている(CLP分類 (Accessed July 2024))。
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)EUでは本物質、1,3-DNBともにAcute Tox. 1に分類されている(CLP分類 (Accessed July 2024))。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質は構造類似物質である1,3-ジニトロベンゼン(1,3-DNB:CAS登録番号 99-65-0)と非常によく似た毒性プロファイルを有し、両物質とも血液毒性(チアノーゼ、メトヘモグロビン形成)を示す(ATSDR (1995)、GESTIS (Accessed July 2024))ATSDR (1995))。
(2)ヒトでは、1,3-ジニトロベンゼン(1,3-DNB:CAS登録番号 99-65-0)への急性ばく露後1日以内に顕著にみられた最初の症状はチアノーゼであった。また、結晶化した1,3-DNBの洗浄に従事した6人の作業者全員に全血の比重低下を伴う軽度から中等度の貧血が認められた。なお、気中1,3-DNB濃度に関する情報は不明である(ATSDR (1995))。
(3)EUでは本物質、1,3-DNBともにAcute Tox. 2に分類されている(CLP分類 (Accessed July 2024))。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性IRIS(1997)のウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性が認められなかったとの記述から、区分に該当しないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性IRIS(1997)のウサギを用いた眼刺激性試験で不可逆性の損傷が認められたとの記述から、区分1とした。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性IRIS(1997)のモルモットを用いたBuehler法による皮膚感作性試験で軽度な皮膚感作性が認められた(感作率:85%)との記述から、区分1とした。
生殖細胞変異原性in vitro エームズ試験のデータしかないため、分類できない。
発がん性データ不足のため分類できない。
生殖毒性IRIS(1997)に示されたラットを用いた妊娠中または交配前から授乳期投与試験で、精巣の変性がみられているものの、生殖能や子の発生に対する明確な毒性はみられていない。Priority1の他の出典に有害性を明確に否定する記述がないことから、データ不足のため分類できないとした。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)IRIS(1997)にラット単回経口投与試験でataxiaおよびcatalepsyが認められたとの記述があるが、これらの影響が一時的でないかどうかは不明であり、他に同様のデータがないことから、データ不足のため分類できないとした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)IRIS(1997)のラットを用いた経口投与試験で精巣および血液への影響が区分2のガイダンス値範囲で認められたとの記述、ならびにマウスを用いた経口投与試験で精巣への影響が区分2のガイダンス値範囲をやや超える投与量で認められたとの記述から、血液および精巣が標的臓器と考え、区分2とした。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類(アメリカナマズ)の96時間LC50=380μg/L(AQUIRE、2003)から、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.18(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分1とした。
残留性・分解性-
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号0214
品名(国連輸送名)トリニトロべンゼン、乾性のもの又は湿性のもので30質量%未満の水を含有するもの
国連分類1.1D
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報消防法、道路法、火薬類取締法の規定に従う
特別な安全上の対策消防法、道路法、火薬類取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*112
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)【1388 トリニトロベンゼン】(令和7年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)【1388 トリニトロベンゼン】(令和7年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 【トリニトロベンゼン】
危険物・爆発性の物(施行令別表第1第1号) 【2 トリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、その他の爆発性のニトロ化合物】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第5類 自己反応性物質(法第2条第7項危険物別表第1・第5類) 【3 ニトロ化合物】
船舶安全法火薬類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法輸送禁止(施行規則第194条)
港則法火薬類(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)
火薬類取締法火薬類(法第2条)【ホ 爆発の用途に供せられるトリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、トリニトロクロルベンゼン、テトリル、トリニトロアニソール、ヘキサニトロジフエニルアミン、トリメチレントリニトロアミン、ニトロ基を3以上含むその他のニトロ化合物及びこれらを主とする爆薬】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」