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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
アセトフェノン
作成日 2003年5月6日
改訂日 2005年12月28日
改訂日 2018年3月16日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称アセトフェノン
化学品の英語名称Acetophenone
製品コードR06-C-069-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限溶剤,香料,医薬品・ケトン樹脂・農薬・ゴム薬原料(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成29年度(2017年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性引火性液体区分4
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2A
生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分3(気道刺激性、麻酔作用)
分類実施日
(環境有害性)
平成29年度(2017年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性-

GHSラベル要素
絵表示健康有害性感嘆符
注意喚起語危険
危険有害性情報可燃性液体
飲み込むと有害
皮膚刺激
強い眼刺激
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
 応急措置火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名アセトフェノン
慣用名又は別名-
英語名Acetophenone
1-Phenylethanone
Acetylbenzene
Phenyl methyl ketone
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C8H8O (120)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号98-86-2
官報公示整理番号
(化審法)
3-1231
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。
気道/呼吸器疾患の刺激が発生した場合:できるだけ早く、グルココルチコイド吸入スプレーを吸入する。.
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
皮膚に付着した場合皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。
ポリエチレングリコール 400 と水を交互に使用してすすぐ。最後に、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。
無理に吐かせないこと。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
中毒の症状は、一定期間遅れて現れることがある。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性: 本物質は、眼を刺激する。 中枢神経系に影響を与えることがある。
慢性: 皮膚の脱脂を起こし、乾燥やひび割れを生じることがある。
以上、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥消火剤、アルコール耐性泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素。
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法火災の場合:区域から退避させ、爆発の危険性があるため、離れた距離から消火すること。
周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
加熱すると圧力が上昇し、破裂や爆発の危険がある。
着火(発火)源を遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項容器とパイプラインにラベルを貼ること
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材こぼれた物質を密閉容器内に収集する。
残留液を、砂または不活性吸収剤に吸収させる
地域規則に従って保管・処理する
ハロゲンフリー有機溶剤およびハロゲンフリー有機物質の溶液の回収容器に入れる。
収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
二次災害の防止策火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
密閉状態での加熱又は鈍性化剤の減少を避けること。
熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
作業場所を清潔に保つこと。
容器を開けたままにしないこと。
補充、移し替え、または開放使用のためには、十分な換気を確保する必要がある。
飛散を避ける。
ラベルの付いた容器にのみ注入すること。
77℃以上では、密閉系および換気。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
接触回避感染性、放射性、爆発性の物質。
ガス。
強酸化性物質。
危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。
以上、GESTIS参照。
衛生対策汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
眼、皮膚、衣類への接触を避けること。眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
国又は都道府県の規則に従って保管すること。
容器を密閉しておくこと。
換気の良い場所で保管すること。
強酸化剤および強塩基から離しておく
容器にはラベルを貼付すること。
できるだけ元の容器に保管すること。
密閉すること。
室温での保管を推奨する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
安全な容器包装材料消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2023年度版)-
ACGIH (2024年版)TLV-TWA: 10 ppm、 50 mg/m3
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。
作業場の換気を良好に保つこと。
床の排水口がある場合はトラップを使用すること。
作業場での洗濯設備を設置する。
洗眼設備を設置し、標識を付ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
緊急時には、呼吸保護具を着用する。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。
以上、GESTIS参照。
手の保護具耐性のある保護手袋の使用を推奨する。
次の材料は、保護手袋に適している(透過時間>= 8時間): ブチルゴム - ブチル(0,5 mm)
次の材料の保護手袋は、4時間以上連続して着用しない(透過時間>= 4時間): フルオロカーボンゴム - FKM(0,4 mm)
次の材料は、劣化、重度の腫れ、または低い透過時間のために保護手袋には適していない: 天然ゴム/天然ラテックス - NR、ポリクロロプレン - CR、ニトリルゴム/ニトリルラテックス - NBR、ポリ塩化ビニル - PVC
記載されている時間は、22℃ での測定と一定の接触によって示唆されている。温められた物質や体温などによる温度の上昇や、膨張による有効層厚の弱化により、透過時間が大幅に短縮される可能性がある。必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。層の厚さが1.5倍に増減すると、透過時間が2倍/半減する。このデータは純物質にのみ適用される。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色
臭いアーモンド様
融点/凝固点19.4 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲202.1 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
可燃性可燃性
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1.1〜6.7 Vol% (NFPA (14th, 2010))
引火点76 ℃ (Closed cup) (HSDB in PubChem(2024))
自然発火点570 ℃ (NFPA (14th, 2010))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率1.681 mPa.s (粘度) (HSDB in PubChem(2024))
溶解度水:6130 mg/L (25℃) (HSDB in PubChem(2024))
エタノール、クロロホルム、エーテル、アセトン、ベンゼン:可溶 (HSDB in PubChem(2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:1.58 (HSDB in PubChem(2024))
log Kow:1.63 (GESTIS (2024))
蒸気圧0.397 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem(2024))
45 Pa (25℃) (ECHA CHEM (2024))
密度及び/又は相対密度1.03 g/cm3 (20℃) (GESTIS (2024))
相対ガス密度4.1 (空気=1) (NFPA (14th, 2010))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性物質は可燃性である。
77℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
以上、GESTIS、ICSC参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。
以上、GESTIS参照。
混触危険物質酸化剤および強塩基と反応する。
以上、ICSC参照。
危険有害な分解生成物火災の場合、有害物質が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、900 mg/kg、900 mg/kg、3,000 mg/kg、3,200 mg/kg (いずれもPATTY (6th, 2012)) の4件のデータが報告されている。うち2件が区分4、2件が区分に該当しない (国連分類基準の区分5) に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
経皮モルモットのLD50値として、> 20 mL/kg (比重1.03より> 20,600 mg/kg) (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分に該当しないとした。
吸入: ガスGHSの定義における液体である。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。ラットに本物質の飽和蒸気 (約430 ppm、2.11 mg/L) を8時間吸入ばく露した試験 (4時間換算値: 608 ppm) で、死亡例はなかったとの報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2009)) があるが、このデータのみでは区分を特定できないため、分類できないとした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (524 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入: 粉じん及びミストデータ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性本物質は皮膚刺激性を有するとの記述 (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017)) から、区分2とした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の適用24時間後の評価で強い刺激性を示したとの記述 (PATTY (6th, 2012)) から、区分2Aとした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない
皮膚感作性モルモットを用いた皮膚感作性試験において、2件の試験 (ドレイズ変法及びマキシマイゼーション法) ともに陰性との報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2009)) があるが、ヒトでの情報が得られなかったため、分類できないとした。情報源の内容を見直して旧分類から区分を変更した。
生殖細胞変異原性データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (IRIS (1988)、PATTY (6th, 2012))。
発がん性ヒト、実験動物ともに利用可能な試験データはないが、EPAがグループDに分類している (IRIS (1988)) ことから、分類できないとした。
生殖毒性【分類根拠】
(1)より、ラットを用いた拡張一世代生殖毒性試験において生殖影響(交尾率の低下と難産)、発生影響(着床後損失の増加、生存児数の減少、性成熟遅延等が認められたほか、児動物に神経発達影響、免疫系への影響がみられた。よって、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた強制経口投与(75〜500 mg/kg/day)による拡張一世代生殖毒性試験(OECD TG443、GLP、P0:交配10週間前からF1離乳まで、F1:離乳後(生後22日)から各コホートの期間終了前日まで)において、P0及びF1の一般毒性影響は中用量以上で主に臨床症状(自発運動低下、半閉眼など)、肝臓影響(重量増加、コレステロール・胆汁酸・ALTの増加など)として発現し、NOAELは低用量と判断されている。P0では生殖影響として中用量以上で未交尾動物がみられ、交尾率の低下がみられた。また、交尾確認された雌親動物において、低及び中用量群に非妊娠雌が各1例、妊娠成立雌において難産(分娩困難、非分娩)が低、中及び高用量群で各々3、1及び3例認められた。また、出生児を分娩した雌動物にも生後5日までに全児死亡した雌が中及び高用量群で各3及び11例認められた。この他、高用量群雌で着床後胚/胎児損失の増加がみられ、出生児については、低用量から生存児数の減少(生後4日)、中用量以上で出生児数の減少と生後4日間の生存率低下、高用量では生後21日の生存児数減少、雌雄児動物に性成熟遅延(包皮分離・膣開口遅延)が認められた(コホート1A、2A)。さらに、発達神経毒性影響として雄児に聴覚性驚愕反応の低下(高用量)、脳の形態計測による海馬の厚さの減少(高用量)、特に歯状回及びアンモン角の厚さの減少がみられた(全用量、コホート2A)。さらに、コホート1Aの脾臓細胞、B細胞、T細胞、ヘルパーT細胞及び細胞傷害性T細胞の絶対数の減少が全投与群でみられ、発達免疫毒性影響の可能性も指摘された(EU CLP CLH (2023)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。

【参考データ等】
(2)ラットを用いた強制経口投与(75〜750 mg/kg/day、雄:交配前14日間を含む28日間、雌:交配14日前から哺育3日まで)による反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP)では、親動物に明確な一般毒性影響(体重低値/体重増加抑制、不安定歩行、肝細胞空胞性変化、血中電解質変動、ALT増加(雌)等)がみられた高用量で、死産児数増加、生存児数減少、出生率低値(非有意)、生後4日までの全児死亡雌の増加、生存率低下(生後4日)などが認められた(EU CLP CLH (2023)、ACGIH (2009)、 MOE初期評価 (2009)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。
(3)妊娠ラットを用いた強制経口投与(125〜750 mg/kg/day、妊娠5〜19日)による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)では、母動物毒性(体重増加抑制、妊娠子宮重量補正後体重の低値、摂餌量減少、流涎・自発運動低下などの症状等)がみられる中用量以上で胎児に低体重、高用量では平均生存胎児数減少、早期吸収率及び着床後損失率の増加、一腹あたりの両側腰帯の尾側シフト例の発生頻度増加、両側性第14完全肋骨の胎児数及び一腹当たりの発生頻度の増加(非有意だが施設の背景データを上回る)がみられた(EU CLP CLH (2023)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。
(4)妊娠ウサギを用いた強制経口投与(60〜500 mg/kg/day、妊娠6〜28日)による発生毒性試験(ORCD TG414、GLP)では、母動物毒性(体重増加抑制)がみられる低用量では胎児に低体重がみられただけであったが、母動物に強い毒性(死亡、流産、症状(活動性低下、歩行異常、呼吸異常等))がみられた高用量では、着床後損失の増加傾向、総吸収数及び後期吸収数の増加(非有意、施設の背景データの範囲を超える)がみられた(同上)。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)ヒトでは本物質が19世紀に麻酔薬として用いられたとの記述がある (ACGIH (7th, 2001))。実験動物では、マウスの単回経口投与試験で、毒性症状は中枢神経系の抑制であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2009)、PATTY (6th, 2012))。吸入経路では、マウスを用いて本物質の刺激性を評価する試験で、蒸気の短時間 (5分間) の吸入ばく露に反応した呼吸数の低下を測定したところ、RD50値は500 mg/m3であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2009)、PATTY (6th, 2012))。以上より区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、マウスの試験で本物質の皮下注射又は静脈注射による投与は催眠効果を示し、腹腔内投与では400〜500 mg/kgで明確な催眠効果が認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2009))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ヒトに関する情報はない。
実験動物については、ラットを用いた混餌による17週間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲を超える1% (揮発のため0.845% (423 mg/kg/day)) においても影響はみられていない (環境省リスク評価第7巻:暫定的有害評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2009)、IRIS (1988)、PATTY (6th, 2012))。また、ラットを用いた強制経口投与による4週間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である75 mg/kg/day (90日換算: 23 mg/kg/day) 以上の雄で硝子滴腎症、225 mg/kg/day (90日換算: 70 mg/kg/day) 以上で尿による汚れ、流涎、区分2のガイダンス値の範囲を超える750 mg/kg/day (90日換算: 233 mg/kg/day) で体重の低値、前肢握力低下、自発運動低下、不安定歩行の報告がある (環境省リスク評価第7巻:暫定的有害評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2009))。このほか、マウスを用いた蒸気による14日間吸入毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である300 ppm (ガイダンス値換算: 0.23 mg/L) で気管に影響はみられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
以上、神経系に対する影響の報告があるが、区分2のガイダンス値の範囲を超える用量であった。
したがって、分類できないとした。
なお、新たな情報源を用いたため旧分類と分類結果が変更となった。
誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類(ファッドヘッドミノー)96時間LC50 = 162 mg/L(ECETOC TR91:2003)であることから、区分に該当しないとした。
水生環境有害性 長期(慢性)信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性があり(良分解性、BODによる分解度:64.7%(化審法DB:1977))、蓄積性がなく(LogKow:1.58 (PHYSPROP Database:2017))、急性毒性は区分に該当しないであることから、区分に該当しないとした。
残留性・分解性化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号該当しない
品名(国連輸送名)該当しない
国連分類該当しない
副次危険該当しない
容器等級該当しない
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報消防法の規定に従う
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*-
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【16 アセトフェノン】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【57 アセトフェノン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【16 アセトフェノン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【57 アセトフェノン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 【5 第三石油類非水溶性液体】
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) 【(20) アセトフェノン及び1フェニルエタノールの混合物】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」